2017/09/21 プルトニウム輸送は核拡散と安全への脅威ーー破綻した日本の計画は中止するべき

プレスリリース - 2017-09-21
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、関西電力高浜原発4号機用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を載せた輸送船が、本日9月21日早朝、福井県高浜港に到着したことを受けて、「今回の輸送は核拡散のリスクを増大させるもので、日本はプルトニウム使用計画をやめるべき」とする声明を発表しました。日本時間の7月6日にフランスを出港したパシフィック・イグレット号は、プMOX燃料集合体として、736kgものプルトニウムを積載しています。

(写真:フランスのシェルブール港で、MOX燃料輸送に抗議するグリーンピースの活動家。2017年7月)

グリーンピース・ドイツ 核問題シニアスペシャリスト ショーン・バーニー
「日本のプルトニウム貯蔵量は、世界第5位で(注1)あり、他の4カ国はすべて核兵器保有国です。日本は、保有しているプルトニウムを平和利用するとしていますが、プルトニウムを含む核燃料であるMOX燃料を原発で使用する計画は破綻しています。日本がプルトニウム貯蔵量を増加させていくことは北東アジアの核拡散リスクを増大させます。日本は使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理計画をやめるべきです。再処理計画を放棄することは、北東アジアの安全保障上の緊張緩和に大きな貢献となります」

日本は2016 年末時点で、国内に約10トン、フランスと英国に約37トンものプルトニウムを貯蔵しています(注2)。2011年の東京電力福島原発事故前の計画では、MOX燃料を16-18基の原発で使用するとしていましたが、電力会社はこの計画を断念、現在高浜3、4号機と伊方1号機の3基で使用しているのみです。プルトニウムを増やさないことは国際公約ですが、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す使用済み核燃料再処理工場(青森県)が、2018年に操業を開始すると、核兵器に転用可能なプルトニウムがさらに増えます。

グリーンピース・ジャパン エネルギープロジェクトリーダー高田久代
「MOX燃料の使用は、原子炉の安全余裕を下げ、事故時の被害を拡大させます。ウラン燃料使用時の事故より、さらに多くのプルトニウムを環境に放出する可能性が高く、福井県と関西地方の住民をがんのリスクにさらします。破綻した再処理計画のために住民を危険にさらすことは許されません」

高浜原発3、4号機では、すでにMOX燃料がそれぞれ24体、4体が使用されています。グリーンピースは、地元市民団体とともに、2016年8月に製造元の仏アレバ社に品質管理データを要求していますが、アレバ社からの返答はありません(注3)。

注1)"Global Fissile Material Report 2015" 図7 (P25)

注2)我が国のプルトニウム管理状況 (内閣府 原子力政策担当室)

注3)グリーンピースと地元市民団体からアレバ社へのレター
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