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2009/10/05 クジラ肉裁判 証拠の不開示は日本国憲法と国際条約違反 ―― 仙台高裁の即時抗告却下を受け最高裁に特別抗告

プレスリリース - 2009-10-05
クジラ肉裁判 証拠の不開示は日本国憲法と国際条約違反 ―― 仙台高裁の即時抗告却下を受け最高裁に特別抗告

2009年10月5日

【10月5日 東京】本日、調査捕鯨船団乗組員によるクジラ肉の組織的横領を告発する際に窃盗と建造物侵入罪で起訴されたグリーンピース・ジャパンの職員、佐藤潤一と鈴木徹の弁護団は、仙台高等裁判所が9月28日付で下した証拠開示に関する即時抗告の棄却決定を不服とし、最高裁判所の判断を求めるべく特別抗告を行った。

弁護団は、両名の弁護に不可欠の証拠について検察官が十分に開示していないとして7月17日付で青森地裁に証拠開示命令請求をしたが、同地裁は8月10日付けでその証拠の全面不開示を決定した。さらに弁護団は、その決定を不服として8月13日付で仙台高裁に即時抗告をしていた。しかし9月28日付で同高裁が弁護団の請求を棄却したため、今回特別抗告を行って最高裁判所の判断を求めるもの。

特別抗告申立書では、検察官が所有する証拠を不開示とすることは刑事被告人の諸権利を定めた日本国憲法37条2項や国際人権(自由権)規約14条3項(b)などで保障された公平な裁判を受ける権利に違反し、国際的な基準から逸脱しているなどと主張する。

弁護人の海渡雄一弁護士は、「仙台高裁の決定内容は青森地裁の決定よりも一歩進んだ」として最高裁での決定に期待を寄せながらも、「そもそも検察官の手持ち証拠を全面開示することは民主国家における国際スタンダードだ。国連が過去三度にわたり、日本の刑事司法制度における証拠開示システムが不十分であることを名指しで非難している」として、証拠開示の徹底が日本の司法システム改革には不可欠であることを強調した。

被告人の一人で、「緑の党」の招待で先月オーストラリアを訪問し、環境大臣、外務大臣、商務大臣のチーフ・アドバイザーや、政府関係者、議員、報道関係者と数多くのミーティングを持ち、この裁判と捕鯨問題について話し合った鈴木徹は、「オーストラリアでのこの裁判に対する高い関心を肌身で感じた。捕鯨問題に関連して、日本の情報公開制度やこの裁判の経過で隠されている情報の多さを説明したら、だれもがその不十分な開示のありかたに信じられない様子だった」と語った。

グリーンピースは、11月の調査捕鯨船の南極海への出航までに、水産庁と調査捕鯨をめぐる天下り構造やヒモつき補助金の利権構造を明らかにし、調査捕鯨そのものを見直すよう新政権に訴えるとともに、鯨類の科学調査として国際的に計画されている非致死的調査に日本政府も積極的に参加することを求めていく。

ブログご紹介:
鈴木の「本音トーク」――オーストリア、緑の党との話し合い報告など
佐藤の「被告人日記」――調査捕鯨と水産庁の"天下り""利権"構造を暴く

お問い合わせ: グリーンピース・ジャパン 広報 村上京子