2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、私たちの生活から社会規範までを一変させる一年となりました。生態系の破壊によってこうした未知のウイルスとの接触機会が増える可能性が指摘されるなど、私たちの健康や公衆衛生が、地球環境と深く関わっていることを再認識した方も多かったのではないでしょうか。
緊急事態宣言の発令や外出自粛要請を受け、みなさまの生活にも大きな変化が訪れたことと思います。グリーンピース・ジャパンでも、在宅勤務に切り替えましたが、普段から海外のオフィスとテレビ会議を行なっていたため、大きな混乱もなく、移行ができました。

また、気候変動に関連する異常気象や山火事、豪雨や熱波など、私たち人間のあり方を見直さなければと改めて考えさせられる1年ともなりました。2019年9月に発生して以来、オーストラリアでは前例のない規模の山火事で1,100万ヘクタール近くが焼け、10億匹以上の動物が命を落としました。この規模の火災は気温が3度上昇した世界では当たり前になると言われています。
また、北極圏でも山火事が発生して燃え続けました。2020年6月20日、地球上で最も寒いと言われる街ベルホヤンスクで摂氏38度を観測。北極圏の過去最高気温となりました。

気温が1度上昇するごとに、海からの水蒸気が増え、大気中の水分量が7%増えるという研究もあります。気温の上昇を止められなければ、豪雨や洪水はさらに悪化します。熊本県でも、2020年7月豪雨の影響で、洪水や土砂崩れが発生し、広い範囲で甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

グリーンピース・ジャパンでは、2020年も地球温暖化とその影響で起きている気候変動を食い止めるため、様々なことに取り組みました。世界最大レベルの二酸化炭素排出国でもある日中韓3カ国が温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「ネットゼロ宣言」をしたり、石炭火力発電に出資しているメガバンクと時間をかけて対話を続け、三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループが新規石炭火力事業への投融資停止を発表したりしたことは、皆さまとともに実現した成果です。

さらに、2020年は「ファッションと環境」というテーマにとって、特別な意味のある年でした。グリーンピースが、2011年から10年間に渡って展開した『デトックス・キャンペーン』において、世界の80ものブランドが、2020年までに有害化学物質の排出をゼロにすることを目指してきたからです。
日本では、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正社長との面会や経営陣との議論を経て、同社は全ての有害化学物質の使用と排出を2020年までに全廃すると2013年に発表しました。同社は2020年末時点で、99.8%以上の排水基準遵守率を達成したと発表しています。今後もグリーンピース・ジャパンは企業の取り組みを見守って行きます。

グリーンピースは、2021年に創立50周年を迎えます。全世界が手をとりあって、二酸化炭素排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)への行動を加速させる重要な年となります。市民の後押しでカーボンニュートラルを表明する自治体数を全国に増やしながら、2030年までの中期目標を引き上げるため、日本の気候目標への提言なども積極的に行います。また、温室効果ガス排出や環境汚染の原因である使い捨てプラスチックの大幅削減の方針をとるよう、日本企業へのはたらきかけにも力を入れていきます。

地球の恵みを、100年先の子どもたちに届けるためにも、これからもぜひ、グリーンピースと一緒に行動してください。

グリーンピース・ジャパン
事務局長  サム・アネスリー

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