国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、モーリシャス沖で発生した貨物船座礁事故について、運航会社の株式会社商船三井(東京都港区)と、船主の長鋪汽船株式会社(岡山県笠岡市)に公開状(注1)を送付し、これに対する両社からの回答(注2)について、本日、以下の声明を発表しました。

公開状では両社に対し、(1)汚染者負担原則の完全履行(2)第三者による調査の費用負担と公開(3)事故を起こした航路の使用中止(4)化石燃料からの撤退ーの4点を求めました。これに対する両社の回答のポイントは以下の通りです。


商船三井

  • 法令に則り、当局による調査等に対して積極的に対応する等、適切に対処する
  • 事故を起こした航路及び化石燃料については、今後本件のような事態が二度と発生しないよう取り組む
  • 当局との連携、情報収集、油濁拡大防止、流出油回収の支援を目的に、社員を現地に派遣、また物資の調達及び輸送を開始。人員の追加派遣や物資輸送を検討する
  • より一層環境を含むサステナビリティに配慮した事業運営を行うべく取り組む

長鋪汽船

  • 船主として責任を痛感し、責務を全うするため、油回収に全力で取り組んでいる
  • 発生した損害について、法律に則り、日本船主責任相互保険組合とともに誠意をもって対応する
  • 事故原因の究明、流出油の回収、貴重な自然環境回復に積極的に対応する
  • 事故を起こした航路及び化石燃料については、今回のような事故を二度と起こさないための対策を講じる
  • 2 名の社員を派遣し、当局との連携、情報収集、油濁拡大防止、 流出油回収の支援を行っている。今後も追加派遣や支援を検討する
  • より一層、自然環境への負荷の軽減、再生可能エネルギーの活用などを念頭に、 サステナビリティに配慮した事業運営を心掛け、取り組んでいく


グリーンピース・ジャパン  気候・エネルギー担当、関根彩子
「両社は回答の中で、損害への対応や、調査協力、再発防止策などを講じる意向を明らかにしており、一定の評価はできます。一方で、法的義務を果たすだけでは、現地の環境や暮らしの回復は困難です。また、航路の見直しや化石燃料からの撤退がなければ、再発防止を確かなものにはできません。両社には、加害企業としての責任を果たすため、これらの問題に対して、真正面から取り組むことが求められます。

モーリシャス当局が、分断された貨物船の前半分を海底に投棄する作業を開始したと報じられていますが、有害物質や油が残留したままでの投棄は、被害を悪化させるだけでなく、事故原因の全容解明を困難にすることになり、許容できません。

今回のような油の流出事故は、世界中で過去何度も繰り返され、そのたびに海の生態系や周辺住民の生活・経済を危機に追いやってきました。今こそ事故の根本的な問題に向き合うため、自らの企業責任に厳しい姿勢で向き合い、一歩踏み込んだ対応をとるべきときです」


(注1)公開状は8月14日、両社宛てにメールと郵送で送付。回答期限の8月20日に、両社から文書で回答を受け取った。

(注2)公開状に対する回答文


<参考>

貨物船投棄計画に対する声明(8月20日)

公開状全文(8月14日)
公開状プレスリリース

座礁事故に対するグリーンピース・アフリカ声明(8月7日)

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