2月上旬に日本にやってきたグリーンピースのキャンペーン船、虹の戦士号。約2カ月の活動を終えて、次の活動地・韓国へと旅立って行きました。

虹の戦士号は、世界各地で起きている、深刻な環境問題の現場に赴き、その現状を世界に伝えるための船。

今回の使命は、東京電力福島第一原発事故から5年となる今年、いまも続く事故の被害に日本中、世界中から注目を集め、事故の教訓から学んで、自然エネルギーへと転換するよう、改めて日本社会に訴えることでした。

わたしたちは、虹の戦士号に菅直人元首相を招いて、福島第一原発を沖合から視察、福島県沖の海洋と琵琶湖での放射線調査、横浜・舞鶴での船の一般公開での活動紹介など、さまざまな活動を展開してきました。


この活動を支え、応援してくださったみなさんと一緒に、この2カ月間を振り返りたいと思います。

菅直人元首相と世界のメディアを乗せて

菅直人元首相、福島県沖を航行する「虹の戦士号」に乗船しました。

原発事故をきっかけに反原発に転じた菅元首相。菅元首相は、ご自身が反原発に転じた心境を同乗した国内外メディアを通じて多くの人に伝えました。

「紙一重で、5000万もの人が福島第一原発の250km圏内から逃げなければいけなくなるような、重大な危機に直面したのです。」
今から5年前に発生した東京電力福島第一原発事故当時に日本の首相だった菅直人議員が、今回、グリーンピースの船「虹の戦士号」から福島第一原発を見ながら語った言葉でした。

虹の戦士号に同乗した各国のメディアは、虹の戦士号に乗って5年前を振り返る菅元首相と、5年がたった福島第一原発の様子を伝えました。
スペイン El Paisアメリカ CNN中国 The Paper韓国 JTBC ほか

放射能調査:5年たってわかること

グリーンピースで本格的な海洋調査を実施するのは、2011年4月以来になります。

この5年の間に、環境省はじめ水産庁、IAEA、様々な大学や研究機関そして東京電力、なども福島県の海洋放射能汚染調査を行っています。多くのデータが蓄積されています。

今回の調査にあたっては、「今さらグリーンピースがやる必要あるの? 計画を聞いてみると、もう他でもやってるような内容でしょ?」というご指摘もいただきました。 しかし、海外メディアからの取材でも「日本で公表されている数値は正確か?」と問い合わせを受けることも少なくありません。

「情報が足りないな」 「国や国際原子力機関のような、原発を推進するところから資金提供されていない調査はないのかな?」「国際的に認知されたグリーンピースの調査なら信頼できるんじゃないか?」

そう考えてくださるたくさんの方々に対して、独立した第三者機関として測定した結果をお伝えするために、福島県沖の海洋生態系調査を行うことに決めました。また、森に降り注いだ放射能が、これからも人々の生活と生態系に、長期的な被害を及ぼす可能性を指摘するレポートも発表。その実態を確かめるため、陸上の調査も並行して実施しました。

調査の様子も、世界のメディアから注目を集めました。
AFPイギリス Daily MailClean Technica ほか

福島の人々とともに迎えた3.11

3.11は、「祈」のバナーを虹の戦士号のマストにかかげ、福島第一原発沖を航行し、地震発生時刻の14:46には黙祷を捧げ、東日本大震災で犠牲になった方々を思い、200本の花を船から献花しました。
東京では、「悲劇を二度と繰り返したくない」という思いを同じくするボランティアとスタッフが集まって、祈りを伝えました。
虹の戦士号には、福島県飯舘村出身の安斎さんも同乗してくださり、クルーとスタッフに、事故と事故後の日々の体験についてお話を聞かせてくださいました。

1400万人の水瓶・琵琶湖:原発のリスク

福島県での調査を終えた虹の戦士号は、一路南周りで日本海へ。高浜原発など、関西電力の原発が集中する福井県若狭湾を航行しました。

同時に放射能調査チームは、滋賀県・琵琶湖で放射能調査を行いました。

関西電力の原子炉は、琵琶湖から30kmから50kmしか離れていません。琵琶湖は、大阪や京都などの1450万人に飲料水を提供しているだけでなく、2009年、国際的に重要な湿地として登録され、60以上の固有の種の住処でもあります。琵琶湖が放射能に汚染された場合の影響ははかりしれません。生態系の観点からだけでなく、文化面から言っても、被害は甚大になるでしょう。

「とめよう再稼働」オンライン署名37,503筆を福井県知事に提出

4月4日、福井県西川知事に、「とめよう再稼働」オンライン署名計37,503筆を提出。

関西電力高浜原発の立地・高浜町は、町をあげてビーチに関する国際的環境認証の”ブルーフラッグ認定”をめざしています。そのキャッチフレーズは「100年後もキレイな海を子どもたちに」。

次の世代、さらにその先の地球環境への安全を取るか。原発が地域経済や電力会社にもたらす短期的な利益と効果をとるか。

5年前の福島第一原発事故を経験した私たちが取るべき道は決まっている。そうわたしは思います。

横浜・舞鶴でみなさんに活動をご報告

3月19日、20日に横浜で、4月2日、3日に舞鶴で、虹の戦士号の一般公開イベントを行いました。300名以上の方が虹の戦士号に遊びに来てくださり、クルーの案内で船をご覧いただきました。
甲板では、活動を紹介するビデオをご覧いただいたり、太陽の力を感じられるソーラーワークショップも体験してもらったりと、「原発をなくす」「自然エネルギー利用を増やす」といった、エネルギーチームの活動の内容も紹介させていただきました。

グリーンピースはこれからも、東京電力福島第一原発事故の現状に向き合い、世界に発信する活動を継続していきます。そして、自然エネルギー100%の日本を実現するため、関西地方・福井県での活動を通して、原発から、省エネルギーと自然エネルギーへのシフトを加速するモデル地域にすることを、地元の皆さんと一緒にめざしていきます。

安全でクリーンな未来のためには、わたしたち一人ひとりの声が必要です。これからも力を合わせて、自然エネルギー100%の未来に向けて、一歩ずつ進んでいきましょう。

グリーンピースの活動は、おひとりおひとりの個人の寄付で行っております。自然エネルギー100%の社会実現するために、ぜひご寄付でのご支援も、よろしくお願いします。

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