第16回目放射線調査
第16回目調査
千葉県の船橋港、富浦港、相浜港、千倉港、東京都の八丈島 で行った海洋調査
調査結果
東京都と千葉県のおよそ5つの海域で漁獲された合計8サンプルの魚介類を採取し、第三者機関で核種分析を行いました。
時化(しけ)の影響でサンプル数は少なくなりましたが、 東京湾奥 に位置する船橋港の代表的な魚であるスズキ、房総半島の東側を回遊するアジ 、西側で獲れたカワハギ、伊豆諸島の八丈島で獲れたオナガダイなど、房総半島を中心に様々な海域に生息する魚を調査しました。
分析の結果、すべてのサンプルから、放射性セシウムは検出されませんでした。検出限界値はサンプルごとに異なりますが、最も大きい値で、1キログラムあたり3.3ベクレル(セシウム134+セシウム137)です。
※測定値の単位はベクレル/キログラム
※ゲルマニウム半導体検出器による測定
調査の背景
千葉県で漁獲/水揚げされる魚の大部分からは放射性物質が検出されていません。ですが、東京電力福島第一原発から大量の放射性物質が流出した東日本太平洋沖や、河口近くの海底土の汚染が話題となった東京湾などで穫られた魚について、小さな子どもを持つ家庭を中心に不安は根強く残り、「千葉県産の魚は普通に売られているけど大丈夫なの?」という声もグリーンピースに寄せられています。
そこで、魚と海と私たちをつないでくれる漁業・水産業をサステイナブル(持続可能)にするための『ママうみ』プロジェクトの一環として、千葉県の水産関係者の方たちと協力して、2012年7月より県内の多様な環境に位置する漁港で水揚げされる魚介類を調査しています。
ご協力いただいた方との座談会を開きました。
ぜひご覧ください。
「ママうみ座談会~千葉の漁港を訪ねて 漁業関係者からの声~」 >>
調査日程
2012年11月12~14日、17日
調査場所・範囲
千葉県:船橋港、富浦港、相浜港、千倉港 東京都:八丈島
グリーンピースの提案
現在、政府や自治体によるスクリーニング検査は「主要漁港で週に一度」程度でしか行われておらず、千葉県の小さな漁港だと、2カ月に一度しか県がサンプリングをしないところもあります。これでは、汚染された魚の流通を防ぐことは困難です。
また、検査結果や漁獲海域が消費者に分かりやすく公表されていないことから、消費者は魚を食べることに対して漠然とした不安を抱えています。
さらに、牛肉では実現しているトレーサビリティー体制(いつ、だれが、どこで生産し、どのような経路で流通したかを追跡することができる仕組み)が魚介類で確立されていないことが、消費者の不安を払しょくできないことに拍車をかけています。
消費者の不安を解消することが、漁業復興の実現に必要不可欠です。そこで、グリーンピースは下記3つの取り組みを提案します。
- 汚染された魚介類の流通を防ぐ
魚介類が水揚げされる漁港は流通のスタートです。
すべての漁港でより多くの検査が実施されることが必要です。 - 魚介類のトレーサビリティー体制をつくる
スーパーや回転寿司などに並ぶ魚介類が、いつ、どこで、誰によって獲られたか、そしていつ、誰が、どのように流通したかを追跡できる流通システムをつくる必要があります。 - 安心して買い物ができるような情報を提供し、風評被害も防ぐ
「1キログラムあたり○○ベクレル」という具体的な数値に加え、実際にその魚が獲られた海がどこなのかが表示されることで、消費者は自身の基準と照らし合わせて魚を選ぶことができます。
もちろん、二度と同じ被害を生まないよう、一刻も早く原発依存から脱却し、自然エネルギーへとシフトする政策が必要とされています。
グリーンピースの取り組み
© Jeremy Sutton-Hibbert/Greenpeace
- 地元の漁業者と協力し、魚介類に含まれる放射性物質の調査を計画的に継続します。
- 消費者と一緒に、大手スーパーで販売される魚介類の抜き打ち検査を継続します。
- すべての調査結果を、消費者に分かりやすく発表します。
- 消費者と一緒に、安心して買い物ができる情報が提供されるよう、大手スーパーに交渉します。
- 日本政府に対して、検査の強化やトレーサビリティーの体制づくりを急ぐよう交渉します。
大切なご支援ありがとうございます
グリーンピースは、東電福島第一原子力発電所事故が起きた直後の2011年3月末から放射線調査チームを結成し、福島で放射能汚染の実態調査を行ってきました。
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