第21回目調査
福島県の福島市、伊達市で測定した空間放射線量

東京電力福島第一原発事故から2年半が経ちました。
福島県の田村市では、原発から20キロ圏内を含む自治体としてはじめて、避難指示が解除され、2013年11月にも住民の本格的な帰還が始まると言われています。

国際環境NGOグリーンピースは、10か国16人からなる放射線調査チームを編成し、2013年10月1日~5日までの5日間、福島県の田村市内18,442カ所の空間線量、および同市内にて10点の食品・土壌サンプルの放射能調査をしました。
 

【調査内容】

田村市では以下の点を重点に調査しました。


 

【調査結果】

除染後も政府目標値を上回る放射線量を測定
田村市の20キロ圏内は、政府による大規模な除染が2013年6月に完了しています。ところが、20キロ圏内の道路で今回調査した約1万8000カ所のうち39%で、政府が目標としている毎時0.23マイクロシーベルトを上回る放射線量が記録されました。

これは、除染が十分でないこと、および除染後に再汚染が起こっていることが原因と考えられます。

除染が完了しても、もとの暮らしは遠く

放射線調査と並行して、原発事故後、田村市内で避難を続けている方や、自宅修理等のために原発20キロ圏内に戻っている方12名に、生活状況の聞き取りを行いました。

除染が実施された場所は放射線量が下がってはいるものの、原発事故によって一変した住民の生活は回復していません。

除染作業は、耕作地や道路沿い、住居から20メートルの範囲で実施されたに過ぎず、さらに、子どものいる家庭は放射線量の低い地域での避難を続けるなど、「家族が一緒に住めなくなった」、「地域のつながりが分断された」といった声が聞かれました。

・ 空間放射線量 測定値と測定場所 (PDF) >>
※上記データシートは、田村市内で周辺環境を目で確認しながら計測した262地点の詳細データです。
なお、上記地図Dに示す18,180カ所の測定地点は、車で移動しながら1メートルの高さで1秒ごとに放射線量を計測し、田村市内における、原発から20キロ圏内の主要道路を網羅しました。詳細は地図D上で確認できます。

・ 食品・土壌 測定値とサンプル名 (PDF) >>
・ 食品・土壌 放射能測定結果報告書(分析: ちくりん舎) (PDF) >>

【関連ブログ】
・ 「終わることのない原発事故の影響―福島県田村市に生きる方の声」>>
 
 
ビデオ 「グリーンピース放射線調査チーム(第21回目調査)@福島県田村市」

【結論】

今回の調査を通して、政府は以下を行う必要があるとグリーンピースは考えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
使用機材

 


調査チームメンバー紹介

 

リアナ・トゥール(オランダ出身、チームリーダー)
グリーンピース・インターナショナル エネルギー担当、放射線防護アドバイザー
アムステルダム総合大学で物理化学の博士号を1997年に取得し、2002年よりグリーンピース・オランダに原子力問題担当として加わる。
核技術や放射線防護について専門的に学び、チェルノブイリ、イラク、ロシア、ニジェール、ブラジル、柏崎刈羽など、各国で放射能汚染の環境調査に参加してきた放射線防護のエキスパート。

ヤン・ヴァンダ・プッタ
(ベルギー出身)
グリーンピース・ベルギー 放射線防護アドバイザー
オランダのデルフト工科大学卒。チェルノブイリなど、ロシア、ウクライナ、スペイン、ベルギー、フランスで放射能汚染の環境調査に従事している専門家。東電福島第一原発事故直後に来日し、現地の放射線調査を実施。以来、継続的に福島での放射線調査を行っている。

高田久代
グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当
東電福島第一原発事故直後から、福島でのグリーンピース放射線調査を支援。2012年はグリーンピース福井アクションセンターに駐在し、関西電力大飯原発の再稼働について福井の人々とともに活動。2013年からは「原発にもメーカー責任を」キャンペーンを展開。2010年より現職。

他13名 各グリーンピース オフィスより
Jehki Harkonen(フィンランド)
Prentice Koo(香港)
Yuting Ray (北京)
Florian Kasser(スイス)
Heinz Smital(ドイツ)
Karuna Raina(インド)
Adarsh Vansay(インド)
Cedric Counard(オーストラリア)
Stan Vincent(インターナショナル)
野田沙京
鈴木まい
柏木愛
宮地大祐

photos: © Noriko Hayashi / Greenpeace


 

 

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