アラスカの先住民が地球温暖化の影響について行なった証言を、本日環境保護団体グリーンピースが「アラスカ先住民の証言:ベーリング海とチュクチ海に対する気候変動の影響(Answers from the Ice Edge)」にまとめ、ワシントンで(ワシントン時間13日午後1時)発表する。
このレポートは、北極地域で観察されている多くの変化を集約したもので、先住民は今回初めて証言を行なった。

7月の地球全体の平均気温は16.5度を記録し、観測史上最も暑い月となった。アラスカ西部では、およそ地球平均の3~5倍の速さで温暖化が進んでいる。アラスカ先住民と気候科学者は「アラスカはすでに地球温暖化の影響を経験している」と共に認識している。

「狩猟、漁業、植物採集などの伝統的な活動は、アラスカの先住民の生活様式にとって大変重要である。長期間にわたる気候の微妙な変化でさえも、両親や祖父母が行なっていた生活を行なって行く上で、私達に影響を与える可能性がある。伝統的価値、文化、精神を保持するためには、健全な環境が必要である」と、
アラスカの非営利団体アークティック・ネットワークの議長でもあり、ウナラックリート(Unalakleet)の住民であるアート・イヴァノフ(Art Ivanoff)は述べている。

アラスカ先住民は、このレポートを発表するため、アークティック・ネットワークやグリーンピースに協力した。2年間にわたって収集された証言は、何千年もの間この地域に伝わる生活知識に基づいている。
気候変動政府間パネルの結論など西洋科学の記録と比較すると、気候変動の科学者に結論づけられた内容とアラスカ先住民の伝統的知識は、レポートのなかで驚くべき相似が認められている。

ベーリング海からチュクチ海にかけてのサヴンガ、ガンベル、ウェールズ、ディーリング、コツェブエ、ポイントレイとウェインライトなどの村の人々は、家族、地域そして生活様式における地球温暖化の影響について記録を残すために、この計画に参加した。

彼らの証言は、今日人類を地球温暖化の科学に直面させている。
しかしアラスカや世界のほかの地域への温暖化の影響にもかかわらず、クリントン政権は先週アラスカの広大な野生保護地区を新しい石油開発のために開放した。

サヴンガ村に住む古老で捕鯨船の船長ジョン・クロウィイー(John Kulowiyi)は、「自分が若かった時はよく氷上に行ったものだった。氷は、本当に厚く固かった。しかし年々氷は薄くなっていく一方だ」と述べている。

伝統的食物の収集活動は、アラスカ先住民の生活にとって不可欠である、とグリーンピースは理解し認識している。石油が燃焼されればされるほど、アラスカ地域は地球温暖化に脅かされることになる。