国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は本日5月20日、広島で開催されている主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言案が明らかになったことを受け、以下の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン 政策渉外担当、小池宏隆

「地球温暖化が進み、世界各地で気候災害が増加・激化する中、日本が議長国を務めたG7サミットは、野心的な気候変動対策で合意することができませんでした。日本は、石炭が世界のCO2排出量の約40%を占めているにもかかわらず、2030年までの石炭廃止に反対した上、ゼロエミッション車(ZEV)の販売を加速させるための具体的な目標合意にも反対し、リーダーシップを発揮することができませんでした。また、途上国や新興国の支援において、日本は、他のG6諸国からも疑問視されているアンモニア混焼や、CO2回収・貯留・利用(CCSU)技術など、長期的なロックイン効果を持つ、誤った解決策を積極的に推進しようとしています。これらのアプローチは、科学的根拠と多くの途上国が掲げる温室効果ガス排出削減目標(NDC)と矛盾しており、産業界の利益に貢献するだけです。誤った解決策を輸出することは、気候変動に対処するための世界的な取り組みを阻害することになります。再生可能エネルギーと省エネルギー技術が唯一の解決策であることは技術の進展と市場の動向からみて明らかであり(注1)、G7はこれらを大きく進めるべきです。

一方、2019年のG20大阪サミットで合意した『2050年までに海洋プラスチック汚染を追加しない』という目標を超えて、2040年までにすべての環境における追加的なプラスチック汚染の追加をなくすことに合意したことは、十分に評価します。ただ、そのための唯一の実現可能な解決策は、プラスチックの生産量を制限することです。今月末から始まる国際プラスチック条約の策定に向けた第2回政府間交渉委員会(INC2)において、G7各国がこの提案を支持することに期待します」

グリーンピース・インターナショナル(本部)グローバル気候政策エキスパート、トレーシー・カーティー

「今回、G7各国の首脳は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の警告を無視しました。化石燃料を段階的に削減する緊急の必要性に直面しているにもかかわらず、新たにガス(注2)を推奨しているのです。G7の野心と気候科学が求めるものとのギャップは拡大するばかりです。G7の指導者らが変化を拒否すれば、現在と将来の世代は気候危機の影響をさらに大きく受けることとなるでしょう。G7がガスを支持することは、すなわち気候変動の緊急事態を真っ向から否定することになります。現在、化石燃料の最大の脅威のひとつは、急速に拡大する液化天然ガス(LNG)産業からもたらされるものです。ガスは最も汚染度の高いエネルギーの一つであり、液化した状態では、その炭素排出量は石炭と同程度になります」

以上

(注1)LAZARD LEVELIZED COST OF ENERGY ANALYSIS ver 14.0

(注2)一般に「天然ガス」と呼称されますが、グリーンピースでは「天然」という表現が化石燃料という実体と乖離していると考え、この表記を使用していません