夏の猛暑が世界を襲っています。

(2020年8月17日更新)
日本でも記録的な猛暑が続いており、一部地域では摂氏40℃を超える気温が観測されています。

今年6月20日、北極圏のベルホヤンスクの小さな町は、摂氏38度を記録。それより前の4月には、ロシアのあちこちで山火事が起きていました。

そしてアメリカのアリゾナ州でも6月中旬に大規模な森林火災が発生しています。猛暑の中、いたるところで起きた火災で、何百年も生きてきた森の木々たちが失われました。

グリーンピース・ドイツでは、6月17日を「砂漠化と戦う日」と定めました。

2019年、長期間にわたる干ばつによって、ドイツの首都ベルリンから20キロ離れた場所で森林火災が発生、面積25万ヘクタールが焼失しました。

「森の墓場」と化した光景は、世界中の人が気候変動に対してさらに強い危機感を持つきっかけになりました。異常気象によって森林は徐々に失なわれ、地球の気候の防衛線は脆弱になってきています。

6月17日、グリーンピース・ドイツは長年の干ばつが引き起こした山火事の被災地で活動を開始。スローガンには「私たちの森が死んでしまう。今すぐに気候危機対策を取ろう!」
© Greenpeace

2019年の森林火災は過酷だった

気候危機の観点から見ると、異常気象の頻度はますます高まっています。

気温が上がり、空気が乾燥することで、山火事が多発し、その規模も鎮火できないほどになってきているのです。オーストラリア各地で多発した「メガ火災(大規模森林火災)」は、2019年9月から4カ月以上にわたり猛威をふるいました。

オーストラリアの連邦内務省(The Federal Department of Home Affairs)によると、焼失した森林面積は1710万ヘクタール(北海道の2倍以上)に達し、火災の直接の犠牲になったり、生息地や食料が消失したことにより、命を奪われた動物は4億8千万にものぼりました。

オーストラリアを象徴するコアラが焼け死んだり、黒く焼け焦げた姿になってしまうのは、思わず目を覆ってしまいたくなるほど凄惨な光景です。巨大な火災は、もはや人間の手で鎮火できるものではありません。人間はただ、天から雨が降り注ぎ、悪魔のような炎を消してくれることを祈ることしかできません。

2020年はじめに発生したオーストラリアのメガ火災は、人の手で消し止めることはできなかった。© Kiran Ridley / Greenpeace

少しさかのぼってみると、2019年8月、アマゾンの熱帯雨林でも宇宙からも確認できる規模の火災がありました。

アマゾン川流域では、牧畜や単一の商品作物の栽培のために森を焼くことが一般的に行われているため、毎年のように火事がありますが、そこに干ばつと森林の劣化が加わったため、制御しきれない火災になってしまったのです。2019年6月初め、北極圏近くのシベリアの針葉樹林帯を襲った森林火災もやはり、鎮火できないまま、430万ヘクタール(四国の2倍以上)を焼きつくしました。また、同年、インドネシアの森林火災で焼失した森林は、32万8千ヘクタール(東京都の約1.5倍)に及びました。

アマゾン熱帯雨林の火災の航空写真ー2019年8月、グリーンピースの調査チームが撮影 © Victor Moriyama / Greenpeace

世界中の記録的な森林火災は多くが気候変動が引き金になっており、制御や鎮火が困難です。2019年のオーストラリアのメガ火災がその例です。オーストラリアでは干ばつが3年間も続き、その間の合計雨量は過去の半分にも届かず、さらには気温は摂氏48.9度にも達し、カラカラになった土壌と枯草によって、火がさらに燃え広がったのです。

森林は陸上における「二酸化炭素吸収源」として最も大きな役割を担っています。樹木の太い幹や根、根元の土壌中に保持されている二酸化炭素は、火災によって空気中に大量に放出され、気候危機の悪循環をさらに増幅させます。そして、被災地の住民の健康や暮らしにも悪影響を及ぼします。同じ地球に暮らしている私たちの未来も、その影響から逃れることはできません。

2019年12月グリーンピース・オーストラリアがシドニーでのデモ、Sydney Public Street Initiativeに参加。気候危機を緩和するために化石燃料の開発の停止を求め、声をあげた。© Dean Sewell / Greenpeace

気候危機対策のカギはエネルギー転換

私たちは今、異常な熱波、深刻な干ばつ、水源の危機的状況など、地球温暖化と深刻な異常気象に直面しています。

今、行動しなければ、このような災害はこれからもっと頻繁に起き、被害ももっと深刻になります。私たちがすべきことは、気候変動のスピードを緩やかにし、エネルギー転換を加速することです。

グリーンピースはこれからも、世界規模の気候危機対策の後押しをしていきます。企業や政府に対し、石炭火力発電所の撤廃や化石燃料の抑制、脱炭素政策、自然エネルギーの開発などの取り組みを行うよう、多くの人の賛同を得ながら、はたらきかけていきます。

韓国で三番目に大きい風力発電所。発電量は年間1億3400万キロワット(約2万4千世帯の年間電力消費量に相当)。© Greenpeace

わたしたちの努力は、決して無駄にはなりません。

一人でも多くの人々が関心を持つと、必ず良い変化が起こります。その証拠に、FacebookやApple、Google、Samsungといった企業に続き、世界中の多くの企業は、すでに消費電力の100%を自然エネルギーにすると約束しています!さらに今年5月、Googleは石油や天然ガスを採掘する企業へはAI技術を提供しないと発表。

韓国の与党は温室効果ガス排出ゼロの達成を公約として掲げ、二酸化炭素排出税の導入と2050年までの石炭事業への融資停止を発表しました。進行中の世界的な気候危機に対応して、与党が包括的な「グリーンニューディール(気候変動と経済的不平等の両方に対処することを目的として提唱された経済刺激策)」を採用したのはアジアで初めてです。 このマニフェストを掲げた選挙で与党は勝利しました。

そんな今だからこそ、電力の大口顧客に対してより多くCO2排出量の削減責任を担わせる仕組みを求めるなど、温暖化ガス削減やそれに関連する法制度について、政府への政策提言を継続することが重要です。

最近日本政府は従来の方針を大幅に転換し、日本のCO2排出量を継続的に削減すべく、2030年までに非効率な石炭火力発電所100カ所を閉鎖する意向を示しました。

2019年、フィリピンを襲った台風は多くの人々の命を奪い、暮らしの安全を脅かした。© Basilio H. Sepe / Greenpeace

気候危機を解決するために、いま、あなたのサポートが必要です

自家用車よりも公共交通機関を利用したり、肉よりも野菜を多く食べたり、節電したり。わたしたちは日常生活の中で気候変動問題のためにできることがたくさんあります。

友だちや家族とこの問題について話しあったり、関心を持ってくれる人をひとりでも増やすことも大切です。それは政府や企業が気候変動問題解決のために方針を変えていく、大きな後押しになりえます。

世界は生命の共同体です。海も森も大気も、わたしたちの命と深く結びついています。

グリーンピース は半世紀近くにわたって環境問題にとりくんできましたが、いまも、地球は危機にさらされています。

いますぐ、あなたの力が必要です。

あなたのサポートが、グリーンピースの地球規模での環境保護活動をより強く支えます。

生きものたちにとって安全な地球は、わたしたち人間にとっても、安心して暮らせる地球です。

そんなやさしい未来のために、あなたの力を、いま、貸してください。