第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)に正式オブザーバーとして参加するグリーンピースのメンバー

エジプトで開催されているCOP27での最初の一週間は、どの国が、気候変動の被害を受けた国への経済支援を支払う責任があるのか、異常に長い議論が続き、もどかしいものとなりました。

COP27の2週目が始まり、閣僚たちが最終交渉と最終文書の完成のために到着する今、COP27の1週目の良かった点、悪かった点、そしていま必要とされる点をご紹介します。

COP27とは?

COPとは、Conference of Parties(締約国会議)の略で、1992年にまとめられた国連気候変動枠組条約の締約国会議のことを指し、地球温暖化に対する具体的政策を定期的に議論する会合です。

前回のCOP26は、2021年11月にスコットランドのグラスゴーで開催され、約200カ国から指導者と代表者が集まりました。 今回のCOP27が開催されるエジプトのあるアフリカ大陸は、気候変動に脆弱な地域です。

アフリカは、気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量が他国に比べて少ないにも関わらず、熱波、干ばつ、洪水など気候変動が原因で深刻な損害を被っています。 

そのため、議長国のエジプトは、気候変動の危機に直面するアフリカ諸国の人々の暮らしを守るため、「食の安全保障」をアフリカの適応の重要課題の一つと捉えており、今回はそのための資金調達などの議論に注目が集まっています。

まずは、良い点からご紹介します。

「損失と損害」が正式に議題に追加された

気候変動対策には、気候変動を抑制するための「緩和」、緩和策を実施した上で抑えきれない気候変動の影響に適応するための「適応」、それでも避けられない損害を最小限にするための「損失と損害」の3つのフェーズがあります。

これまで富裕国がCOPの開催国となった際は、既に気候変動の影響を受けている開発途上国の「損失と損害」への経済的支援がメイン議題として取り上げられていませんでした。

今回、「損失と損害」が議題になったことで、気候変動に大きく加担してきた国々は、この問題についての話し合いを避けることができなくなりました。責任に対し公正な負担をすることが期待されます。

気候行動ネットワークは、COP27への期待を示し、損失と損害の資金、気候資金、適応資金、緩和プログラムなど、COP27の成功に不可欠な主要要素について、オープニングプレスブリーフィングを開催(2022年11月)

フランスが深海採掘の禁止を支持することを宣言

フランスが、深海採掘に反対する国々に加わり、深海採掘の全面的な禁止を求める野心的な動きを見せました。

COP27のメインテキストに化石燃料の「段階的廃止」を追加するよう求める声が高まる

現在、より多くの国が、今回のCOP27の主要な政治的決定に「化石燃料の段階的な廃止」を加えることを求め、支持を表明しています。

昨年のCOP26の焦点のひとつになった、年間CO2排出量の40%を占める石炭の使用の廃止に関しては、議長国である英国は石炭火力の「廃止」を求めましたが、中国やインドなどからの意見を考慮し「段階的に廃止」ではなく、「段階的な削減」というより弱いコミットメントとなりました。

市民が声を届けた

COP27期間中のDon’t Gas Africaの様子。キャンペーン参加者は、アフリカにおける化石燃料によるエネルギーアパルトヘイトの終結を求め、クリーンで分散型の再生可能エネルギーを拡大するよう求めた(2022年11月)

アクションのための厳しいガイドラインをクリアして、若者、 先住民族のリーダー、そして気候危機の影響を最も受けている人々が、会場内でバナーを掲げ、声を上げ続けました。

COP27では、初めて「こどもと若者パビリオン」が設けられ、世界から集まった次世代リーダーたちが活発な議論をする場も用意されました。

次に、最初の1週間であまり結果が良くなかった点を見ていきましょう。

今週発表された調査によると、600名以上の化石燃料ロビイストがCOP27への参加を認められ昨年のCOP26より25%も多いことが明らかになりました

また、各国政府は、さらに10年間の森林破壊を容認する協定に調印しました。森林破壊ゼロと先住民族の権利保護という約束を実際に実現するための具体的な政策は相変わらず欠けたままです。

COP26の会場でカーボンオフセットに反対する先住民族(2021年11月)

これからCOP27で発表される正式な合意文書について、交渉が始まります。

気候変動の影響を最も受けている国やコミュニティからの圧力が高まる中、まだ多くの課題が残っています。

損失と損害の金融ファシリティーの設立

「損失と損害」に対応するための資金調達の取り決めが合意された議題であるにもかかわらず、最も豊かで歴史的に最もCO2排出に責任のある国々は、COP27において、途上国が緊急に必要としている損失損害金融ファシリティの設立に関する進展を妨げ続けています。

気候変動の影響がますます威力を増し、頻度も増えている中で、現状に適応するためにも資金が必要です。交渉の前進を阻んでいる国々は、その理由を明確にする必要があります。

化石燃料:段階的に廃止。資金を投入し、自然エネルギーへの公正な移行を

COP27 の最終決定文書では、先週の各国の呼びかけに応え、化石燃料の段階的に廃止に合意し、開発途上国が再生可能エネルギー容量を拡大できるように十分な資金を富裕国が支援すると約束しなければなりません。

資金調達:年間1,000億ドルの約束を果たす

富裕国は、未だに約束が果たされていない1,000億ドルの資金援助の確固たる計画を提示する必要があります。

グリーンピースは、気候変動に脆弱な国の人々の要求と声を会議指導者に伝えるため、公式オブザーバーとして、COP27に参加しています。このような活動もサポーターによるご支援のおかげです。皆さんも寄付を通じて、私たちの活動に参加しませんか?

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