猛暑に襲われた米カリフォルニア西海岸(2024年7月)

35℃を超える「猛暑日」が増え続けています。猛暑が増えている最大の原因は、地球温暖化による気温上昇です。くわえて高気圧の影響や、都市部でのヒートアイランド現象など複合的な要素が重なり、猛暑がさらに悪化しています。世界の平均気温は、パリ協定で地球温暖化の影響を防ぐために設定された「1.5℃」の目標を、2024年に上回りました。日本でも、最高気温の記録を更新するなど、暑さが深刻化しています。本記事では、猛暑の原因や「いつまで続くのか」という疑問、健康への影響、そして私たちが今できる対策まで、科学的根拠をもとに解説します。

猛暑日とは?

猛暑日とは1日の最高気温が35℃以上となった日を指します*

かつて35℃を超える日は「異常な暑さ」と考えられていました。しかし現在では、猛暑日の年間日数が全国的に増加し、猛暑が日常的な現象になりつつあります。

気象庁が「猛暑日」という言葉を正式に定義した2007年、全国の猛暑日の平均日数は年間2.8日程度でした。つまり、1年間で35℃を超える日は平均で3日もなかったのです。

ところが、近年は状況が大きく変化しています。2025年には全国平均で10日を超え、猛暑日が珍しい現象ではなくなりました。

2025年は異常な暑さ。40℃越えの「酷暑日」も

特にここ数年の暑さは異常ともいえるレベルです。

2025年8月5日には、群馬県伊勢崎市で41.8℃を観測し、日本の歴代最高気温を更新しました*また北日本・東日本・西日本では、2025年の夏の平均気温が1946年の統計開始以降で最も高くなりました。全国153の気象台のうち132地点で、夏の平均気温が歴代1位を記録したのです。

日本の過去の、年平均気温は2024年が最も高く、2023年、2025年とこの3年間が上位を占めました。

こうした状況を受け、日本気象協会は2026年4月に1日の最高気温が40℃を超える日を「酷暑日」とする新たな予報用語を制定しました*。40℃超えが珍しくなくなり、より強い警戒を呼びかける必要が出てきているのです。

最高気温ごとの予報用語

猛暑はいつまで続く?今後の見通し

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、地球温暖化が進行するほど、猛暑や熱波などの極端高温の発生頻度・強度が増加すると報告しています*地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出が大幅に減らない限り、猛暑は今後さらに増える可能性が高いと考えられています。

実際に、日本の年平均気温は長期的に上昇を続けています。

今年、2026年の夏も、全国的に平年より高温の予測が出ており、2023年から2025年の暑さに匹敵する猛暑になる可能性があります。さらには、暑さの到来が早まる見込みです*

気象庁は今年の6~8月の気温が平年より高くなる確率は60%~70%と発表しました。地球温暖化の影響に加え、海面水温が高くなるエルニーニョ現象が発生する可能性があるためです*

さらに太平洋高気圧が強まれば、35℃以上の猛暑日が全国で続き、40℃以上の「酷暑日」が発生する可能性も指摘しています*

猛暑が増える原因は?地球温暖化との関係

ドイツ・ケルン近郊の石炭発電所での抗議行動(2019年1月)

気温の上昇要因は、気圧や地形に左右されますが、猛暑日が増えている最大の原因は、地球温暖化が進行しているためです。

気象庁は2025年9月の発表で、 「2025年夏ほどの記録的な日本域の高温は、地球温暖化がなかったと仮定すると、ほぼ発生し得ないことがわかった」とし、日本の高温と地球温暖化を明確に関連付けています*

一方で、地球温暖化が進行している中でも、2025年の暑さは稀に見る高温だったとし、その背景には太平洋高気圧やチベット高気圧が平年より強まったことなども指摘しています。

猛暑が酷くなっている主な原因は地球温暖化ですが、その他に、都市部ではアスファルトやコンクリートの蓄熱、緑地の減少、エアコンの排熱などが重なり、夜間も気温が下がりにくいヒートアイランド現象が発生し、猛暑をさらに悪化させています*

ヒートドーム現象とは?米国や欧州を襲う危険な熱波

猛暑に襲われた米カリフォルニア西海岸(2024年7月)

猛暑日の増加をはじめ、極端な熱波は、日本だけではなく世界各地で観測されています。

なかでも記録的な熱波を引き起こしているとされるのが「ヒートドーム」現象です。

ヒートドーム現象とは、高気圧が上空に居座り、熱い空気を押し下げてドーム状に閉じ込める現象です。熱が逃げにくくなることで、危険な暑さが長期間続きます。 米国気象学会が熱波の原因を説明する現象として、この言葉を使用しています*

これにより、2024年には米国で40℃後半を記録する地域もあり、死者も発生しました。

今年に入り、欧州でもヒートドーム現象が発生しています。2026年5月にはロンドンで気温が34度を超え、5月の最高気温の記録を104年ぶりに更新しました*

日本ではヒートドームという言葉は使用されていませんが、日本でも同様の現象が起きていると指摘する専門家もいます*

「ヒートアイランド現象」と似ている言葉ですが、ヒートアイランドは都市構造や人口排熱により局地的に高温になる現象であり、高気圧が原因のヒートドーム現象とは要因が異なります。

暑さがもたらす健康リスクと「気候変動関連死」

写真:Adobe Stock

2024年、熱中症による死者数が過去最高の2000人を超えました。死亡総数のうち85%は65歳以上の高齢者ですが、20代や30代、ときには10代の若い世代も暑さにより亡くなっています*

世界では毎年55万人近くが猛暑の影響で命を落としているとされます。これは1年間に約1分に一人が暑さで命を落としている計算です*

世界経済フォーラムは、2050年までに「気候変動関連死」が約1,450万⼈に上ると報告しています*。その最も深刻な原因は気候変動を要因とする「洪水」です*

それだけでなく、干ばつや、マラリア・デング熱といった感染症も気候変動関連死の原因となっています。また、気候関連災害によるストレス・トラウマ・避難は、不安障害・うつ病・心的外傷後ストレス障害(PTSD)をはじめとする精神疾患の急増をもたらすとも指摘されています。

猛暑で深刻化する食糧危機

猛暑や気候変動は、食料生産にも大きな影響を与えています。

米中の研究チームは、世界の平均気温が1℃上昇すると、小麦・コメ・大豆など主要作物の生産量が減少し、世界全体で1日あたり1人120キロカロリー分の食糧が失われる可能性があるとの推計を出しています。これは茶わんのご飯0.5杯分にあたります*

日本でも高温による農作物被害が深刻化しています。
2024年にはコメの民間在庫量が過去最少となり、高温障害による品質低下や収穫量の減少も問題になりました*

また北海道では、強い日差しによりかぼちゃが変色し、数十トンが廃棄処分となったほか、1日に約700~800キロのトマトが不良品や規格外になり、栽培を諦めた農家も出ています*

猛暑は、食卓や、生産減少に伴う物価にも影響する問題なのです。

猛暑で電力需給が逼迫。省エネ推進、再エネへの転換を

グリーンピース・ジャパンが開催した学校教室の暑さを体験するイベント(2024年7月)

毎年、暑さによる冷房需要の急増により、電力不足が深刻化しています。強い暑さとなる中で、冷房機能は必須ですが、電力はますます足りなくなり、さらには電力消費が増えることで、それに伴う温室効果ガス排出も増えるという悪循環に陥っています。

この悪循環を断ち切るために、グリーンピースでは省エネ・再エネを推進しています。

省エネにおいて効果的なのは建物の断熱性能を高めることです。断熱材を使用すると、外気の熱が室内に伝わりにくくなり、冷房効率が向上します。

その結果、室内温度の上昇を抑えて快適な環境を維持でき、省エネにつながります。すぐに建物全体の断熱性能を高めることが難しい場合、窓など一部を断熱改修することでも効果があります。

グリーンピース・ジャパンは、気候変動による猛暑から子どもたちを守るため、学校施設の断熱改修の必要性をひろく訴えています。市民や自治体が連携した断熱ワークショップや署名活動を通じて学校環境の改善を目指しています。

同時に地域に根差した再エネへの転換も必要です。太陽光や風力などの再エネは温室効果ガスを排出しない、クリーンなエネルギー源です。自宅の電力を再エネへ切り替えることは、一人ひとりができる簡単で、大きなインパクトのあるアクションです。

グリーンピース・ジャパンでは個人のアクションにとどまらず、社会全体で再エネを急速に普及していけるようキャンペーンを行っています。

よくある質問