記事の投稿-海洋生態系
海洋生態系に関する投稿は、以下の一覧からご覧いただけます。
43件の投稿
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地球上でいちばん大きい海洋保護区を南極につくろう!
悲惨なことが、南極で起こっています。今年、南極海に住むアデリーペンギン40,000羽のコロニーでは、2羽のヒナ…
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3分の1が違法か無報告!輸入シーフードのリスクが明らかに
みなさんは、ウナギと聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?…
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合格率60%で安心できる?〜太平洋クロマグロを絶滅から守るために〜
おはようございます。海洋生態系担当の岡田幸子です。今年に入ってから相次いだ、「クロマグロの漁獲量日本は年間漁獲枠を超える」[1]や、「クロマグロ違法操業、報告漏れ」[2]などのテレビや新聞などの報道を覚えている人も多いのではないでしょうか?そうです!近頃、世間を騒がせている『太平洋クロマグロ』。この資源を回復させるための国際管理規制について、8月28日・月曜日から5日間、韓国は釜山で『中西部まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会(NC)』という国際会議がひらかれ、議論が繰り広げられようとしています。次世代に本マグロをちゃんと残すことができるの?ブログ常連読者のみなさんには耳ダコかもしれませんが、『太平洋クロマグロ』は2014年に絶滅危惧II類に指定され、2016年に発表された最新のデータによると、資源量が初期資源(漁業を行なっていない場合にあるとされる資源量)の2.6%しか残っていません。それからすでに1年以上の月日が経っています。その間に、『太平洋クロマグロ』の国際管理規制を決定する機会は数回ありました。10%を下回ると『資源崩壊』といわれ、「みんなが合意できる具体的な長期管理目標が決まんないね〜」なんて悠長なことをしている暇は1分1秒たりともないはずなのです。現行のゆる〜い暫定回復目標を達成するために決められた管理措置ですら守れていない日本。本当に資源を回復させる気はあるのでしょうか?5日間の会議で何を話すの?北小委員会では、マグロ以外にも、マグロ漁によってサメやウミガメなどが犠牲になってしまう混獲問題や、監視員制度、漁船監視システムなど、各国の代表者たちが話し合うべきことは山ほどあります。しかし、ハイライトは何といっても、2.6%しか残っていない太平洋クロマグロの規制管理についてです。北小委員会の下で管理されている『太平洋クロマグロ』の規制に関しては、本来、北小委員会からWCPFCの本会議に提言し、そこで最終決定となります。ですが、昨年の北小委員会では各国代表者すべての合意をえる事ができず、長期的な回復目標の提案などは持ち越しとなりました。そして、まさかの本会議のほうから、早く決めなさいよと、お達しがきたという異例の今回の北小委員会。昨年のように、のらりくらり何も決まらずということはないにしても、決定される長期回復計画が、残り資源が2.6%しかないという事実に見合ったものであることを望んでいます。日本が提案したのは、不十分な資源回復でも漁獲を増やせるという案!日本が既に提出している長期回復目標を見ると、「やはり、本気で太平洋クロマグロを守る気はあるの?、次世代に残す気はあるの??」という内容。残り2.6%の危機感は全くありません。ちょっと小難しい単語が並びますが、その内容を見て行きましょう!既に決定している目標と方策親マグロの数を、2024年までに、いまの約17,000トンから約41,000トンまで、60%の確率で回復させる30kg未満の小型マグロの漁獲量を、2002-2004年の年間平均漁獲量の半分にする30kg以上の大型マグロの漁獲量が、2002-2004年の年間平均漁獲量を超えないようにする上記目標に関し、日本が提案した追加方策回復の確率が60%を下回った場合、30kg未満の小型マグロの漁獲量をへらす、または、小型マグロの漁獲をやめ、その分、30kg以上の大型マグロをとる、などし回復確率を最低60%に保つ回復の確率が65%以上になったら、小型マグロの漁獲量をふやす事ができる上記目標達成後、10年以内に達成すべき目標(遅くとも2034年までに)漁業が行われていないと仮定した時の親マグロの20%である約128,900トンまで、60%の確率で回復させる親マグロが約128,900トンまで回復した後の管理措置目標とすべき資源量(目標管理基準値)は、のちに決定するこれより下回ってはいけない資源量(限界管理基準値)は41,000トン高校・大学受験に置き換えると?漁業に関心や知識がなければ、上に書いた日本の提案を読む限り、「なんでダメなの?」「グリーンピースは厳しすぎ!」と思われる読者の人もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。回復する確率が60%。例えば、これが高校や大学受験だとし、全国模試の結果が「60%の確率であなたは志望校に合格します」だったら、安心しますか?「志望校合格に十分な学力がある」と思いますか?普通、学校や予備校だって合格率80%を目指して指導し、生徒もそれを目標に勉強に励むってもんです。もっと上を目指す人だっていることでしょう!さらには、65%以上の回復見込みで漁獲量上限を増加出来るなんて、合格率65%以上になったら、勉強手を抜いても良いよと言っているのと同じです。あり得ません・・・。しかも、最初の回復目標である41,000トンっていう数値、初期資源量のたったの7%程度なんです。先にも言いましたが、10%を下回っていると『資源崩壊』です。それくらい低いレベルの回復目標でしかもその達成確率はたったの60%。東京大学に合格率60%と言ってるのとは、訳が違うのです。しかもしかもしかも、親マグロの数が128,900トンまで回復したら、「この値を下回ったらヤバいよ!」という限界管理基準値を41,000トンにするって、どういうこと?41,000トンって『資源崩壊』レベルなんですよ!全くもって意味不明です。だって、それって、今まさに禁漁して然るべきって言ってるのと同じですよね?グリーンピースは、確実に健全なレベルまで回復させる長期計画が導入されない限りは、全ての商業的漁業を禁止すべきと考えています。日本の提案は、どこをどう考えても納得のできるものではありませんが、一縷の望みをもって、一緒に行く末を見守りましょう!!最後に、『太平洋クロマグロ』を取り巻く状況を知ってくれたみなさんにお願いしたいことがあります。日本の太平洋クロマグロの漁獲のほとんどは、小型マグロ、しかも1歳に満たない幼魚です[3]。大量に巻き網で獲られたものの、売れ残って叩き売りされていると言われています[4]。本来、資源が2.6%しか残っていない、しかもマグロの最高峰である『太平洋クロマグロ』が、こんな形で無駄にされるべきではありません。そこで、みなさんには、「メジ」「ヨコワ」などと表示のある幼魚の購入を控えて欲しいのです。消費者行動は、必ずマーケットを変える力になります。マーケットが変わればその先も変わらざるを得ません。一緒に太平洋クロマグロを守って、次世代に残していきましょう!! オススメの読み物「太平洋クロマグロ保護、政府案では不十分ーーマグロの資源管理を話し合うWCPFC開幕へ」http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20170824/「あなたのツナ缶サステナブル度をチェック」http://act-greenpeace.jp/ocean/tunacan/海をまもりたい!facebookグループ「OCEANHOLIC」は、海にいなくても、24時間海を感じていたい!考えてたい!そんなOCEANHOLICな人々のための交流と発信の場所として国際環境NGOグリーンピース・ジャパンがつくったグループです。グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?寄付する 参考資料[1]「クロマグロ漁獲量日本は年間漁獲枠を超える」2017年4月17日http://www.news24.jp/articles/2017/04/27/06360080.html[2]「クロマグロ違反操業・報告漏れ、7県でも水産庁調査」2017年2月3日http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H3P_T00C17A2PP8000/[3]「太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について:平成29年8月」水産庁https://www.greenpeace.org/japan/wp/wp-content/uploads/2018/12/bluefinkanri-9.pdf[4]…
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世界で拡大中!サステナブルでエシカルなツナ缶って?
突然ですが、皆さんはツナ缶(ツナおにぎりやツナサンドイッチ)、お好きですか?嫌いっていう人を私は、見たことも聞…
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いまがチャンス!世界の水産業をもっとサステナブルに変える
こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。…
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遠洋漁船が「大海の孤島」に…タイ水産業界で人権侵害・違法漁業が終わらない理由
皆さま、おはようございます。海洋生態系担当の岡田です。長い人では9日間のお休みとなった今年のゴールデンウィーク。いかがお過ごしでしたか?金曜日ともなれば休みボケもすでに解消されているはずですが、、、長期休暇の後の5日間連続勤務はやはり疲れやすいもの。今日は、その疲れた頭も冴える少々ショッキングな内容を含むレポート『変化の波ータイの遠洋漁業における人権侵害と違法漁業』の紹介です。このレポートは、グリーンピース・東南アジアの調査チームが、タイの水産業界のサプライチェーンにおける、1年にも及ぶ独自の調査を基に書いたレポート『TurnTheTide』の日本語版です。漁船運営業者は洋上転載がお好き?冷蔵機能がついた大型の運搬船、いわゆるリーファーを利用し、海上での漁獲物の積み換えをすることを、洋上転載と言います。リーファーは、同時に漁船に食料などの物資の供給や労働者の補充なども行なっており、これにより漁船は一度も港に戻ることなく、何カ月も何年も操業を続けています。漁船を運営する会社にとっては、このように長い間、帰港せず操業を続けられるので、燃料や時間を大幅に節約でき、ひいては1隻あたりの漁獲効率も上がります。洋上転載で漁船は「大海の孤島」に!洋上転載により、漁船は監視の目のない広い洋上で長いあいだ孤立します。漁船の乗組員、特に人身売買され過重労働を強制されている漁師にとっては、この環境が何を意味するか誰の目にも明らかでしょう。どんな扱いを受けても逃げ出す事のできない地獄のような大海の中の孤島となってしまう可能性があるのです。漁師たちの衝撃的証言漁師A「ここから逃れるために海に飛び込んでも、サメに食べられるかもしれないと思うと恐ろしかった。実際6人のタイ人漁師が過重労働と虐待に耐えられず海に飛び込んだが、4人は捕まって体罰を与えられ、他の2人は嵐の海に姿が見えなくなった。」漁師B「消費者には、彼らが食べている魚介類は、我々の過重労働、虐待・苦しみによって得られたものだと伝えたい。魚を食べる時には、我々のことを思い出して欲しい。」脚気の集団発生グリーンピースの調査チームは、漁師の死亡事件を調査し、驚いたことに、死因は遠洋底引き網漁船で集団発生した脚気(かっけ)だったと突きとめました。脚気は21世紀の現代では容易に防ぐことができる病気です。ましてや、何億ドルをも稼ぎ出すマグロ漁船上で集団発生するような病気ではないはずなのです。しかし、不十分で偏った食事による栄養失調(ビタミンB1欠乏)・過重労働・洋上転載に起因する長期の連続勤務が原因で集団発生した脚気により、入院を余儀なくされた人たち、さらには死を伴う犠牲者も出ました。アオウミガメなどの海洋生物の脆弱な楽園が違法漁業の餌食にマダガスカル島北端から1,300kmほどの位置にあるサヤ・デ・マルハ・バンク。およそ4万km2の海域です。その10-20%がサンゴで覆われており、それ以外はすべて海草藻場です。この海域は、アオウミガメの餌場であり、シロナガスクジラやザトウクジラの主要な繁殖地でもあります。この脆弱かつ生態系の豊かな海域は実質、無規制海域で、環境や生態系に負荷の高い中層・底引き網漁を中心に操業が行われています。さらには、違法に獲られたサメを洋上転載し、タイの水産拠点に運送していました。人権問題・IUU漁業に由来するお魚を私たちが食べる可能性レポート『変化の波ータイの遠洋漁業における人権侵害と違法漁業』では、人権問題やIUU漁業などの違法行為を通して獲られた魚が、「すり身」の原料として使用されています。こうして作られた「すり身」の多くは、日本に輸出され、カニカマなどの練り物やペットフードなどに使用されています。つまり、洋上転載を行なっている限り、人権問題やIUU漁業に由来する魚を口にする可能性をゼロにすることは不可能に近いのです。スーパーに声を届けよう!!レポート『変化の波ータイの遠洋漁業における人権侵害と違法漁業』(リンクはこちら)では、タイ遠洋漁業界にはびこる深刻な人権問題、違法(illegal)・無報告(unreported)・無規制(unregulated)漁業、いわゆるIUU漁業は、洋上転載により助長されていることを明らかにしています。長期にわたり人権侵害を受けている漁師さん達、不必要にダメージを被っている海洋生物やその生息域を守るためにも、“洋上転載に由来する海産物を売らないでほしい”と思った皆さん。消費者がその声を伝えることにより、ペットフードメーカーのネスレやマースは洋上転載を取り締まることを発表しました(リンクはこちら)。私たち一人ひとりの力が企業を、社会を変えるのです。皆さんもお近くのスーパーに声を届けましょう。スーパーに声を届けよう>グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?寄付する おすすめの読み物『日本もはじめました!チリの海をサーモン養殖の影響から守る署名』『食卓のサーモンが、イルカやクジラの海を汚す』