都会だって人にも地球にも優しくなれる 街づくりへの4つの提案

耳を澄ますと、何が聞こえてきますか?
救急車のサイレン、町内放送、それとも鳥の鳴き声でしょうか。
この3カ月間、どの国、どの街においても、私たちは大切なものを失う恐怖や痛みを感じ、医療従事者をはじめ、最前線で新型コロナウイルスと闘う方々を誇りに思い、みんなで協力し合ってきました。「会えない」という状況が、人々の絆を強くしました。
格差の拡大も目の当たりにしました。
セーフティーネットがキャパオーバーとなり、危機を悪用して気候変動を促進させる産業が優遇されるなか、何世代にも渡って不平等に苦しんできた、才能あふれる人たち、家族、コミュニティはより大きなリスクにさらされています。
このような経験は過去に例がありません。新型コロナウイルスの流行によって、街から人がいなくなり、世界の経済システムに衝撃を与えました。かつて活気のあった街が空っぽとなった姿は、パンデミック危機のシンボルとなってしまいました。
この空いた場所をどう埋めるかは、私たち次第です。
私たちの55%は都市圏に住んでおり、この数は増加し続けています。今こそ災害に強く、誰も置いて行かれることのない、市民全員の福利を中心とした、健康や幸せやつながりを感じられる街づくりのチャンスです。地球の貴重な資源の消費を減らし、もっと生活を楽しめるような街です。
私たちは人々にも地球にも健全な街を作る必要があります。パンデミックや経済危機は、現在進行中の気候危機とも繋がっています。私たちはこれらの問題を一緒に取り組まなければなりません。
その方法を、いくつか提案します。
1.もっと環境にやさしい交通機関
道路や駐車場を含めて、自動車は平均して都市の50%を占めます。都市に暮らす人々は、平均して毎年100時間も渋滞にはまっている可能性があります。そして、交通は気候危機の原因のうち最も急成長している分野です。
何か工夫できそうだと思いませんか?
都市は自動車のためではなく、人々のためにつくられるべきです。
今、私たちは街のモビリティを再設計するチャンスです。例えば、
・より安全な歩道
・より快適な電車やバスのシステム作り
・一部自動車通行の禁止
など、安全で手頃な、そしてCO2が少ない方法で街を移動できる手段が必要です。
市長の皆さんは、思い切った対策をする必要があります。渋滞がなくなれば、わたしたち住民の場も確保でき、環境にやさしい地域を実現することができます。
2.もっと環境にやさしい食べ物

多くの街がロックダウンを始めたとき、人々が心配したのは全員に食料が充分に行きわたるのかということでした。
危機下の都市では食料供給が不安定になり、食の不平等が拡大します。危機に対し非常にもろくなってしまったのです。
食料生産の過程で排出される温室効果ガスは、世界全体の排出量の24%を占めます。
動物の飼育、食肉生産、酪農は14%、食品廃棄物や生ごみは8%をそれぞれ占めます。
都会の畑や自分が住む地域の中など、地元で食べ物が作られている生活を想像してみてください。
そこには、生態系の循環に沿って作られた、旬な作物があります。農家や市民、市長、コミュニティが、食物の未来を築くことで自分たちが住む街をもっとしなやかで強くしようと協力しています。都会の畑や家庭菜園、屋上菜園、バルコニーで食物を作ったり、ファーマーズマーケットや生協を通じて安全な食物を買うことができたり、公共の食堂やレストランでは野菜を基本としたものをより多く出しているかもしれません。たくさんの人が、信用できるかわからない、輸送にCO2も出る輸入食品より地産で旬の作物を選んで、自ら作り、購入し、調理しています。
そんな都市を実現できたらいいですよね。
3.もっと環境に優しい経済

私たちは限りある地球の恵みのもと、暮らしています。しかし、現代の私たちの消費を満たすためには、地球が3個必要です。より多くの物を消費する大量消費主義は、全世界の温室効果ガス排出量のうち60%の根本的な原因の1つです。地球の気温上昇を1.5℃以下に抑えるチャンスを望むなら、持続不可能な習慣から抜け出すことが必要です。
新型コロナウイルスによるロックダウンの間、私たちは、豊かな暮らしのためにはそれほど多くの物を必要としないことに気づきました。
私たちは、良いものを厳選して購入するという消費習慣にリセットする必要があります。
消費する量を減らすために、都市にもできることがあります、例えばリユースやシェアリング、修理や物々交換を促進すること、そしてどこでも修理店や不用品の交換所があるようにすることができます。
リサイクルは、長い製品寿命をまっとうした製品の最後のステップです。これにより、新たな原材料の必要性が低くなり、廃棄物が減少することに繋がるでしょう。
4.街中に緑あふれる都市
公園や緑地と人々の幸福が関連しているという研究が増えるにつれて、都市の緑地への需要が増えています。
世界保健機関(WHO)は、緑地から300メートル以内のエリアに住んだ方がよいと提案しています。
しかし、多くの都市では、まだ公園や緑地はぜいたくなものとみなされ、一部の人のみが利用できる場所となっています。
私たちの都市に緑地があれば、もっと運動をしたり、くつろいだり、遊んだり、他の人たちと時間を過ごすことを楽しめるようになるでしょう。
空き地を市民農園や緑地に変えることは、私たちが作りたい社会への変化を体験でき、私たちが望む都市の再生を可視化する1つの方法です。都市型農業は、多くをの人を巻き込みながら、食料を育て、都市を再生していくことができます。緑地は、私たちを都会のストレスから解放してくれます。
空き地を緑化する、使い捨ての消費よりもモノ・ヒトのつながりを優先する、汚染を減らして危険を回避する。これが、これから実現可能な私たちの都市の姿です。
より安全で、より暮らしやすく、よりクリーンな都市は、段階的に、経済的選択と調整し、政治的議論を重ね、そして市民がリードしながら作られていく必要があります。
これからの都市を作るのは今日から、そして全ての人の行動から始まるのです。
あなたは、どんな都市になって欲しいと思いますか?