氷がない?北極の氷が溶けています
この投稿を読むとわかること
北極の氷が完全に溶けてなくなるのはいつ?
海氷学者たちがよく聞かれる質問です。
最近の報告では、北極圏の夏の海氷の減少が進んでいることが明らかになっています。さらに、実際の減少は気象予測モデルの予報より速いペースで進んでおり、2030年代に北極海に氷のない夏が来るであろうと言われています。1

北極の氷の減少は気候の年間変動と、人間の活動が原因で起こる大気中の二酸化炭素濃度の増加による温暖化が関係しています。
世界各地の研究所とグリーンピースの科学者たちは、北極の氷の量が最も少なくなる9月の夏の海氷の観察を続けています。
世界中で熱波や森林火災が猛威を振るう中、北極の気温は今夏もさらに上昇し、海氷域も縮小を続けています。7月には1981年から2020年の海氷域の平均を27%下回るほど縮小しています。2このまま気温が上がり、氷が溶け続ければ、今年の9月にはさらに最小記録を更新する可能性があります。3

北極が気候変動で受ける影響は?
ホッキョクグマは海氷を生活の場とし、狩りや繁殖、移動を行います。海氷が溶けることで、狩りができなくなり、食べ物の調達に苦しむことになるでしょう。しかし、苦しんでいるのはホッキョクグマだけではありません。

海氷は地球の温度にも大きく影響しています。太陽の光を反射する明るい表面は、大きな鏡の役割を果たしています。この地域を覆う海氷の塊がなくなるにつれ、熱エネルギーが暗い海に吸収されるため、それがこの地域で平均を上回る気温の上昇を引き起こすことに繋がっています。極地の氷が溶けると4、海水面が上がり、高潮のリスクが高まります。温暖化が進んで嵐がさらに激しくなれば、海岸地域はより深刻な被害にさらされます。このような現象が、全世界の海岸地域に起こってくることになります。5

私たちは調査を続け、見直し、変化を起こします
繊細で壊れやすい北極の生態系を守り、地球温暖化による海面の長期的な上昇傾向を測定するためには、継続的な調査が必要です。
グリーンピースは何年にもわたって海氷を調査してきましたが、今年9月には科学者たちと共に北極の海氷の特別な調査航海を開始します。この地域の生態系と、気候と北極の海氷の関係を調査し、さらなる分析のためのサンプルを集めることが目的です。現地からの情報を記録し、地球の健康状態や北極の状態を見守ってくれている多くのサポーターのみなさんにシェアします。北極で何が起こっているのかを一緒に、目撃しましょう。

© Denis Sinyakov / Greenpeace
今こそ、大気中への二酸化炭素の排出量を抑え、北極の夏の氷を守るために行動を起こす時です。これ以上海氷を失ってもいいののか、失わないために何ができるのか、という問いにあらためて向き合う必要があります。
化石燃料の燃焼による二酸化炭素排出量を増やしたことで、私たちの時代は気候危機に直面しています。
気候危機への取り組みは簡単ではありません。しかし、私たちが協力し、可能性を信じて行動すれば、国際社会のリーダーたちに、その強い思いを伝えることができます。
より良い未来を作ることができるのは私たちです。今すぐ参加してください。
グリーンピースは企業や政府からは100%独立しています。私たちの環境保護活動はすべて、個人一人ひとりからのご寄付のみによって運営されています。

(1) 米国雪氷データセンター(NSIDC)は世界の海氷面積の調査をしている。海氷面積とは雪や氷、氷河、凍土などで構成される地球の雪氷圏のことである。NASAと共同で、北極の海氷のモニタリングを行なっている。http://nsidc.org/arcticseaicenews/
(2) https://www.japantimes.co.jp/news/2020/08/06/world/science-health-world/arctic-sea-ice-record-lows/
(3 )過去から現在まで、北極海は年間を通して氷に覆われていた。しかし、2012年に北極圏の海氷域は観測史上最小面積を記録し、339万平方キロメートルだった。2番目に低い海氷面積を記録したのは2019年で、昔に比べ半分にまで減少した。海氷域は415万平方キロメートルでここ13年間で2番目の低さを記録した。
(4) 極域、グリーンランド、南極大陸には巨大な氷河がある。気温が上がると、氷河は新雪を蓄積する前に溶けてしまう。これらの氷床や氷河が溶けると、海に流れ込み、海水面が上昇する。
[協力:翻訳ボランティアAzusa]