【選挙】気候変動の視点から選挙結果を考える
7月10日の参議院選挙は、自民党が単独で63議席を獲得し、与党が改選議席125の過半数を確保する結果となりました。 気候変動解決において重要となるエネルギー政策について、各政党はどのようなマニフェストを掲げており、どのような政策が世界から求められているのでしょうか。これから、私たちにできることと共に考えてみましょう。 |

参院選は自民が単独で改選過半数の結果に
7月10日の参議院選挙で、自民党は単独で63議席を獲得し、与党が改選議席125の過半数を確保する結果となりました。投票率は52.05%と前回より3.25ポイント上がりました。
これまでの各党の獲得議席は、選挙区と比例代表をあわせて、自民党が63議席、公明党が13議席、立憲民主党が17議席、日本維新の会が12議席、国民民主党が5議席、共産党が4議席、れいわ新選組が3議席、社民党が1議席、NHK党が1議席、参政党が1議席、無所属が5議席となっています。
また政党ごとの男女比率には大きく差がありますが、35人の女性候補が当選し過去最多となりました。
各政党の環境政策と必要とされる政策

特定の政党・候補者を応援したり支持したりするものではありません。
昨年のCOP26では、科学的な知見や世界各地で洪水や熱波など深刻な気象災害の被害が相次いだことから、「2度目標」では不十分とする機運が高まり、産業革命前からの気温上昇を「1.5度」に抑える努力を追求するとした合意文書が採択されました。
合意された「1.5℃目標」に整合する温室効果ガスの削減経路として、二酸化炭素排出量が世界第5位の日本は、2030年までに62%の排出量削減と2030年までの石炭火力全廃が求められています。*
現在、日本は2030年までに46%の温室効果ガス削減を目標として掲げており、達成目標としては不十分であることはもちろん、現在進めている気候変動政策はこの目標すら達成できないのではないかと考えられます。
しかし、政党の選挙公約(マニフェスト・政策)をもとに、気候ネットワークが作成した各政党の地球温暖化対策に関連する政策の評価分析によると、与党には石炭火力発電の廃止に関して明確な目標がありません。また温室効果ガスの削減目標もさらに踏み込んだ数値設定が必要です。
温室効果ガス削減目標や石炭火力の廃止目標において、「1.5℃目標」に整合する目標を掲げている日本共産党や社民党の議席数は合わせて5議席と少なく、温室効果ガス削減目標は55%以上を掲げる野党第一党の立憲民主党は、改選前の23議席を下回り17議席にとどまりました。
現状の与党の気候変動における政策方針では、気候変動を解決することはできず、今後、もっと踏み込んだ環境政策が求められます。
これから私たちにできること
人々の暮らしに関わる大切な争点がたくさんある中、気候変動という争点においては政策方針が不十分である政党が現在の国会の過半数以上を占めています。
では、選挙が終わってしまった今、私たち市民は何もできないのでしょうか?
グリーンピース・ジャパンが事務局を勤める「ゼロエミッションを実現する会」では、たくさんの市民たちが自分たちに身近なところから社会を変えるため活動しています。
私たち市民は、当選した国会議員へ気候変動への危機感を伝えたり、情報提供したりすることで、気候変動を政治の重要なトピックに押し上げ、国会に法案改正案を提出することができます。
また、自治体などに働きかけることにより、一人ひとりが暮らす市や県単位から気候変動対策を加速させることもできます。選挙が終わっても、議員や行政に働きかける形で、現在は不十分である気候変動対策を変えていくことができるのです。
「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいて、気候危機回避のために頑張る人をサポートできます。ご参加リクエストをお待ちしています。
最近では、今国会での提出は不可能だと言われていた「建築物省エネ法改正案」の国会提出に貢献しました。
「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいて、気候危機回避のために頑張る人をサポートできます。ご参加リクエストをお待ちしています。