高校生13人が気候変動テーマに新聞制作学ぶーー滋賀でオリエンテーション、学識者・新聞記者・環境NGOが講師務める
全国でも高校新聞部の活動が盛んな滋賀県で、高校生の新聞部員に、気候変動をテーマに新聞制作について理解を深めてもらおうと、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は7月20日、滋賀県守山市のチカ守山パブリックスペースで、県内の高校3校(虎姫高校、東大津高校、八幡工業高校)の生徒を対象にしたオリエンテーションを開催しました。オリエンテーションでは、グリーンピースのほか、琵琶湖の水環境の研究者や現役新聞記者が講師を務め、参加した各校の新聞部員13人は、1日かけて気候変動や琵琶湖の環境問題、新聞制作の技術について学びました。今回のオリエンテーションの写真や動画、議論で使ったメモなどは、8月にグリーンピースが大津市で開催する気候変動をテーマにしたアート展「HELP展」の滋賀巡回展で展示される予定です。
グリーンピース・ジャパンのプロジェクト・マネジャー、高田久代によるセッション1のテーマは「気候変動と国際交渉」。高校生らは気候変動を解決するために行われている国際交渉の現場のロールプレイを行い、日本やアメリカ、インド、サウジアラビアなどの政府代表を演じて各国で異なる現実や主張を体験しました。また、後半のロールプレイでは、世界各国の子供や先住民族、ホッキョクグマや琵琶湖のアユなど、気候変動の影響を受けやすい立場になり、異なる視点から環境問題を考えることに挑戦。生徒らからは「違う国のことを知れて勉強になった」「立場を変えて考えることが大事だなと思った」などの声が上がりました。
続くセッション2では、京都大学生態学研究センターの中野伸一センター長が講師として登壇し、「琵琶湖と気候変動」をテーマに講演を行いました。中野センター長は、富栄養化による琵琶湖の水質汚染と、その改善方法について解説。研究でプランクトンを捕獲するための特殊な網も披露しながら、水が綺麗になりすぎるとプランクトンを餌とする生き物が減ってしまうという、環境保全と生物多様性のバランスの難しさについて講義しました。
この日最後に行われたセッション3では、京都新聞の松村和彦記者が「記事の書き方と報道写真の撮り方」について講義を行いました。生徒らは、セッション2で学んだ「琵琶湖と気候変動」をテーマにした記事を書くための編集会議を実施。高校ごとに発表し、記事を作る上で大切にするべき視点やポイントを学習しました。さらに、メッセージが伝わる写真を撮るための実戦的なポイントや、松村記者が国際写真展に出展した自身の写真と記事を参考に、新聞というメディアを通じた表現方法について学びました。
約6時間にわたって行われたオリエンテーション。参加した新聞部員らは、「環境問題や琵琶湖で何が起こっているか知ることができて良い機会になった」「いろんな立場から考えることの大切さを知った」「環境と生物多様性をテーマに新聞を作る予定で、今日学んだことは驚きの連続だった。その驚きを伝えられる新聞を作りたい」などとこの日1日で学んだことやこれからの目標について、真剣な表情で話していました。
日本における気候変動の影響をアートで感じる展覧会「HELP展 30年後には消えてしまうかもしれない In SHIGA」は、8月10日(土)、11日(日)の2日間、滋賀県大津市の旧大津公会堂にて開催されます。8月11日には、滋賀巡回展のオリジナル企画として「琵琶湖と気候変動」をテーマにしたトークイベントを予定しています。詳細情報は公式サイトから。https://help-ex.jp/