国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区、以下グリーンピース)は2月18日、政府が「第7次エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」を閣議決定したことを受け、以下の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、鈴木かずえ

第7次エネルギー基本計画について

「日本政府の低すぎる再エネ目標や石炭火力に依存し続ける方針に強く異議を唱えます。今回閣議決定された2040年の再エネ比率は40〜50%ですが、1.5度目標に整合させるためには、2040年の電源構成で最低でも72%以上の再エネ比率(注1)の設定が必要であり、現在の技術と適切な政策介入により十分に実現可能です。火力に関しては、『2035年までに電源のほぼすべてを脱炭素化する』という2022年G7合意と整合させるため、2035年までに石炭火力の段階的廃止目標を設定し、その他の化石燃料についても2040年までに大幅な削減を目指すべきです。原発についても、地震対策や使用済み核燃料の処理、設備の老朽化など多くの課題を抱えているにも関わらず、東京電力福島第一原発事故からわずか14年で原発推進へ方針転換する姿勢を容認することはできません。さまざまなリスク対策を整備し、公正な移行に基づく原子力からの脱却を求めます」

地球温暖化対策計画について

「今回閣議決定された計画の『2035年度に温室効果ガスを2013年度比で60%削減』はあまりにも低すぎる目標です。1.5度目標を達成するための炭素予算の観点から、また工業先進国としての責任から、2035年度の温室効果ガス削減目標は、目標に整合する78%削減(注2)を目指すべきです。また、本計画には建築物のネットゼロ化について規制的措置がなく、義務である断熱性能についても非常に低いレベルです。集合住宅含む住宅・非住宅について屋根置き太陽光発電設備の設置を義務化し、断熱など省エネ性能についても、より高いレベルでの義務化をすべきです。本計画は、国民のライフスタイルの変容や、今後の技術開発に過度に期待するものとなっています。ライフスタイルの変容は、脱炭素社会に向けた方向性や目標を国が明確に示し、仕組み作りをすることで、結果としてもたらされるものであり、まずは国が意欲的な方針を明示することを改めて求めます」

計画の審議システムについて

「両計画は、極めて問題の多いプロセスを経て政策決定がなされました。政府の審議会における委員の年齢や性別、属性は公平性に欠けており、委員の多くは化石燃料を中心とした既存システムからの脱却に消極的でした。アカウンタビリティーの強化、パブリックコメント(注3、4)の反映、原発の近くに住む住民の声など、多様な国民の声が真に反映される審議システムによって、エネルギー政策を決定すべきです」

(注1)地球環境戦略研究機関 IGESシナリオ分析概要(2024年12月3日発表)

(注2)Climate Action Tracker”1.5-aligned 2035 targets for major emitters and Troika countries” (2024年11月発表)

(注3)グリーンピース・ジャパンが提出した「第7次エネルギー基本計画案」に対するパブリックコメントはこちら

(注4)グリーンピース・ジャパンが提出した「地球温暖化計画案」に対するパブリックコメントはこちら