国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは11月28日、韓国・釜山で開催中のプラスチック汚染対策に関する国際条約を議論する第5回政府間会合(INC5)で、協議中の条約の第6条項「持続可能な生産」に関して、80以上の国が賛同した提案書に日本が賛同しなかったことを受けて、以下のコメントを発表しました。本条項は、プラスチック生産規制をめぐる交渉が難航するなか、有志国が同日午後に提案書にまとめました(注1)。

<第6条項に関する提案書の内容>

  1. 締約国会議は、その第1回会合において、一次プラスチックポリマーの生産を持続可能なレベルまで削減する世界目標を附属文書で採択する
  2. 各締約国は、第1項で言及される世界目標を達成するため、プラスチックの全ライフサイクルにわたって対策を講じるものとする
  3. 各締約国は、一次プラスチックポリマーの生産、輸入および輸出に関する統計データ、ならびに第1項で言及する世界目標を達成するためにとられた措置を報告する
  4. 締約国会議は、その第1回会合において、本条項を実施するための様式、時期、方法論および指針を採択する
  5. 締約国会議は、補助機関による科学的および経済的評価に基づき、5年ごとに、本条項の実施の進捗状況を検討し、適当な場合には、第1項に言及する世界目標を更新する

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「INC5交渉の争点となっているプラスチック生産規制について、80以上もの国々が意欲的に着地点を見出そうとしているにもかかわらず、日本はその提案に賛同しませんでした。G7の中で参加しなかったのは米国と日本だけです。日本政府には、野心の低い国々とともに、この条約を廃棄物管理中心の効力の弱い条約に留めるのか、世界の多くの国々と共に、プラスチックがライフサイクルの過程で排出する温室効果ガス排出量のうち約90%を占める生産の規制を含む実効的な条約にするのか、立場を明確にすることを求めます」

賛同国は以下の通りです。

アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、オーストラリア、バングラデシュ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カーボベルデ、カメルーン、カナダ、中央アフリカ共和国、チャド、チリ、コロンビア、コモロ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボワール、エクアドル、赤道ギニア、エスワティニ、エチオピア、欧州連合およびその27加盟国(オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、 ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン)、パナマ、ガボン、ガンビア、ジョージア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、アイスランド、イスラエル、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、モルディブ、マリ、モーリタニア、モーリシャス、 メキシコ、モルドバ、モナコ、モザンビーク、ナミビア、ニュージーランド、ニジェール、ナイジェリア、ノルウェー、フィリピン、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、セネガル、セーシェル、シエラレオネ、南スーダン、スーダン、スイス、トーゴ、ウクライナ、英国、ザンビア

(注1)https://resolutions.unep.org/incres/uploads/text_proposal_-_article_6_-_panama_on_behalf_of_a_group_of_countries_1.pdf