リユース移行で化石燃料消費量や水使用量が大幅低減、カフェ・コンビニの使い捨てカップーー報告書『変革を先導する』を発表
【報告書の一部訂正】2024年11月24日、リリース本文中にリンクされています日本語版報告書に誤りがあったため、以下の通り当該箇所を訂正し、リンク先の報告書を正しいものに差し替えました。ご迷惑おかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
訂正箇所 日本語版報告書16ページ表6
(誤)「2003年 市場シェア (%)」「2003年全店売上高 (兆円)」
(正)「2023年 市場シェア (%)」「2023年全店売上高 (兆円)」
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は本日、大手カフェおよびコンビニエンスストアの使い捨てカップや容器包装の消費量を明らかにした報告書『変革を先導するー日本のコンビニエンスストアとカフェチェーンの企業責任およびリユースの解決策』を発表しました。本報告書では、日本の大手カフェチェーン(スターバックスコーヒージャパン、タリーズコーヒー、プロント)および大手コンビニチェーン(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)によるプラスチックや紙の使い捨てカップや容器包装の消費量を明らかにし、テイクアウト飲料の提供をリユースカップシステムへ移行した場合の環境影響評価(LCA)を調べました。その結果、カフェやコンビニが2023年に消費した使い捨てカップをリユースカップシステムへ移行した場合、CO2換算排出量、化石燃料の消費量、水の使用量などの項目で環境負荷が大幅に低減されることがわかりました。
報告書全文(日本語版)はこちら
報告書全文(英語版)はこちら
<報告書の主なポイント>
- スターバックス、タリーズ、プロントによる2023年の使い捨てカップ消費量の推定は4億7,480万個で、2020年の3社の消費量を1億3,000万個上回った。最多はスターバックスで3億4,200万個。次いでタリーズの1億1,140万個、プロントは2,130万個だった。
- セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンによる2023年度の使い捨てカップ消費量の推定は19億個で、セブン-イレブン9億1,400万個、ファミリーマート7億3,400万個、ローソン3億2,800万個の順で多かった。
- セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンによる2023年度の使い捨て容器包装の推定消費量は、おにぎり34億個、弁当8億1,100万個、寿司5億1,100万個だった。
- 1日のテイクアウト飲料を100%リユースカップで提供した場合、使い捨てカップと比較して、1カップあたりCO2換算排出量は57%、水の使用量は36%、化石燃料の消費量は62%削減される。
- 上記6社が2023年にテイクアウト用に消費した22億個以上の使い捨てカップを、レンタルリユースシステムに100%移行した場合、46万5,000平方メートルの水、8,800万キロのCO2換算排出量、石油換算3,700万キロの化石燃料消費量を節約できる。
グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当、大館弘昌
「プラ汚染対策に関する国際条約交渉が進むなか、抜本的な対策として企業が使い捨て容器包装に依存するモデルを見直し、可能な限りリユースを導入するなど、脱使い捨てのビジネスモデルへの転換が求められます。国内でもこうした国際的な動きをきっかけに、リユースに関する積極的な議論と取り組みを進めるべきです。大手カフェやコンビニ、その他の業界、市民社会と連携してリユース拡大に向けた取り組みを推進することで、社会全体を変革できる可能性が本報告書に示されています。困難を伴う変革ではあるが、1社や1つの業界だけでは限界があるからこそ、特に使い捨て容器包装の消費量が多い対象企業6社をはじめとする大手企業が業界を超えて連携することが必要です」
<参考資料>
・報告書:『リユースが拓く未来ーー東アジアにおけるリユースカップシステムと使い捨てカップシステムの環境パフォーマンスに関するライフサイクル比較評価』(2023年11月)
・報告書:『日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状』(2022年7月)
(2024.11.15追記:調査報告書の英語版リンクを追加しました)