国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は11月7日、トヨタ自動車(愛知県豊田市)に対し、同社の気候変動対策に関する公開質問状を送付しました。気候変動の影響についての議論が世界的に加速する中、日本の年間総排出量の約半分に相当する温室効果ガスを排出する同社の動向は、日本だけでなく世界の気候変動対策にとって非常に重要です。公開質問状の回答期限は11月20日とし、同社に対し、以下の3項目について見解を求めています。同社の回答についての詳細は、弊団体のウェブサイト等で公表する予定です。

<質問項目>

  • 温室効果ガス排出削減目標の根拠
    • 「2030年までに33%以上、2035年までに50%以上(いずれも2019年比)」とするトヨタの温室効果ガス排出削減目標と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す気温上昇を2度以下に抑えるための「2030年までに48%削減、2035年までに65%削減、2040年までに80%削減(同)」とするシナリオとの整合性についてどのような見解を持っているのか。
  • 電気自動車(EV)の販売目標と温室効果ガス排出削減の関係
    • 佐藤恒治社長は今年5月、「EVのカテゴリーにプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を含める」との見解を示した。また、トヨタは9月、2026年のEV目標台数を150万台から100万台に下方修正した。これにより、同社の「2030年までにライフサイクルにおける温室効果ガス排出量を33%削減(2019年比)」という目標の達成は難しくなると理解してよいか。
  • 気候変動が脆弱な立場に置かれた人々へ及ぼす影響と途上国の資金ニーズ
    • 気候変動による気象災害の増加が事業活動へ及ぼすマイナスの影響について述べる一方で、気象災害の多発化や深刻化が脆弱な立場の人々の生命や生計に与える影響については言及していない。(1) 現行の炭素削減目標は、気候変動が途上国の人々に与える影響を速やかに緩和していくために十分なものであると考えているか、また (2) 日本を代表するグローバル企業として、気候危機に起因する自然災害の予防や対応のための資金を提供することも今後視野に入れていくのか。

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グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、塩畑真里子

「11月11日からアゼルバイジャンでCOP29が開催されます。先週のスペイン大洪水に見られるように気候危機の深刻さは目に見えて増しています。カーボンニュートラルは2050年までに達成すればよいという性質の課題ではありません。これから2030年までに異次元の取り組みをしなければ気温上昇を抑えることが難しいことは多くの科学者が指摘していることです。。私たちは世界一の自動車販売実績を有するトヨタに対し、より野心的な気候変動対策を取るように今後も働きかけていきます」


以上