グリーンピースレポート 『クリーンな電力会社、選べる?』発表ーー既存大手10電力会社、電源構成表示など全4指標で新規参入電力会社の平均値下回る
電力自由化を前に27電力会社のアンケート調査結果をまとめ
国際環境NGOグリーンピースは本日、電力会社の「クリーン度」について、アンケート調査を元にまとめたレポート『クリーンな電力会社、選べる?』(注)を発表しました。4月1日から開始する電力小売市場の全面自由化を前に、新規参入小売電気事業者や地域独占の大手電力会社179社に、何から電気を発電しているかを示す「電源構成」の割合と表示の有無等について聞くアンケート調査を1月12日から2月29日にかけて実施しました。本レポートは、既存の10電力会社と、回答のあった新規参入事業者の合計27社の結果をまとめたもので、10電力会社の平均値は全ての指標において新規参入事業者の平均値を下回ることが明らかになりました。
本調査は、クリーンな電力会社を選ぶことで、「原発ではなく自然エネルギーの電気を使いたい」と考える消費者の選択に役立つよう実施しています。2月8日までに登録された新規小売電気事業者169社と、地域独占の大手電力会社10社の合計179社を対象としました。大手10電力会社からの回答は1社のみでしたが公開情報を元に評価、そして「電源構成」(下記1)について回答した新規事業者17社 を加えた合計27社の「クリーン度」を評価しました。評価の手法は、下記4指標をもとにグリーンピースが独自に作成し、アンケートの回答内容に従って「クリーン度」のポイントを付与しています。
電源構成に占める自然エネルギーと原発・石炭火力による電気の割合[40ポイント満点]
100%自然エネルギーへのコミットメント[以下、20ポイント満点]
原子力・石炭産業との関係(関連産業からの出資または原発・石炭火力への投資がないこと)
情報の透明性(電源構成、二酸化炭素排出量、放射性廃棄物量のホームページや広告、請求書での表示)
電力会社を乗り換えない場合、一般家庭は引続き既存大手電力会社の電気を使うことになりますが、新規参入の小売電気事業者17社の平均合計ポイントは45ポイントだったのに対し、大手電力10社の平均は18ポイントと大きく下回り“クリーン度の低さ”が際立つ結果となりました。大手10電力会社は、電源構成についてはホームページに表示しているものの、原発の再稼働や、石炭火力発電所の稼働、新規石炭火力発電所建設に投資をし続けていることから合計得点を下げています。
「4. 電源構成の表示」については、経産省が制定する「電力の小売営業に関する指針」 にて“望ましい行為”とされているものの、同設問に回答した26社の新規の小売電気事業者の内「表示する」と回答したのは9社と限られ、「ホームページに表示する」としたのは9社、「広告、請求書に表示する」と回答したのはそれぞれ5社、2社に留まることが分かりました。
グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の柏木は、「電力自由化は、これまで電力会社を選べなかった消費者が、自らの選択によって自然エネルギーの増加に貢献できる大きなチャンスです。消費者が電気に求めるものは安さだけではありません。電力会社を選択するためには、電源構成など透明性の高い情報をすべての電力会社が分かりやすく表示することが必要です」と話しました。グリーンピースは、クリーンな電気の選択肢を実現するために下記が必要だと考えています:
使用済核燃料の処理費用や原発事故の賠償、気候変動への対策費など、発電方法ごとに異なる “真のコスト”を明らかにすること
新規参入の電力会社が既存の大手電力会社と比べ不利にならないような条件・環境が整っていること
情報の透明性が確保されること
グリーンピースは、電力会社を選択する「意思表示」を呼びかけるオンラインアクション「iSwitch(アイ・スイッチ)」を2月25日から実施しています。参加者には「クリーン電力会社乗り換えガイド」を4月中旬頃に無料提供する予定です。