[写真]グレート・ベア・レインフォレスト地域
グレート・ベア・レインフォレスト地域 〜 Greenpeace/Aikman

カナダのブリティッシュコロンビア(B.C.)州政府は、7日、グレート・ベア・レインフォレスト ( 注1 ) での新たな地域の保護地の決定を明らかにした。グリーンピースなどのNGO ( 注2 ) や先住民族グループが10年以上取り組んできているB.C.州の温帯雨林保護活動の末、今回新たに、200万ヘクタールの森林の保護、および伐採対象地域の伐採方法の大幅な改善を行うことをB.C.州政府は表明した。グリーンピースは、この同州政府の決断を大いに歓迎する。

グリーンピースは1993年からグレート・ベア・レインフォレストから林産品を購入する国際的市場に働きかけるキャンペーンを展開 ( 注3 ) し、2001年4月にB.C.州の伐採企業との間に森林保護と利用に関する合意を達成している。今回決定された地域は、この合意に引き続く新たな保護地となる。

今回保護された地域は、樹齢1000年ものベイスギやシトカスプルースなどの樹木が存在し、希少種のスピリットベア、ハイイログマ、オオカミ、ワシなどの鳥類、絶滅を危惧されるサケの魚群等が生息している。この地域の凄まじい速度での森林破壊が国際的に懸念され、これまでに、BBC Worldwide Publishing(英国)が伐採企業に伐採方法の改善を求めたり、また三菱商事株式会社、ベルギー木材貿易連盟など含む80社以上の企業が、この地域を含むグレートベア・レイン・フォレストから生産される林産品の購入停止を表明してきている。

[写真]グレート・ベア・レインフォレストの湿地を歩くハイイログマ
グレート・ベア・レインフォレストの湿地を歩くハイイログマ 〜 Greenpeace/Mizukoshi

「今回のB.C.州政府の決断は温帯雨林の保護にとって大きな前進だ。世界に残された原生林が守られていくためには、保護地のネットワークの確立が必要で、グレート・ベア・レインフォレストの保護は、その第一歩になる。」グリーンピース・ジャパン、森林問題担当尾崎由嘉は語る。

グリーンピースは、グレート・ベア・レインフォレストの保護をベースとした斬新で多様なエコ・ツーリズムなどの経済活動の発展に向けて、約1億2000万カナダ・ドルの資金調達のイニシアチブをとることにも関わっており、今日までに、B.C.州政府からの3000万カナダ・ドルを含んだ9000万カナダ・ドルの調達が実現されている。今後も、グリーンピースは、同州政府がこの決定の実施を確実にし、グレート・ベア・レインフォレストが生態系に配慮した森林利用の世界的モデルとなっていくことを目指し監視していく。

注1
地球上に残された温帯雨林の25%が、カナダ、ブリティッシュコロンビア州にある。そのなかでも最大級の温帯雨林が、グレート・ベア・レインフォレスト。ハイイログマの世界最大級の個体群や、クロクマ、さらに、この地域でしか見られない希少なスピリットベア(クロクマの純白の亜種)が生息していることにより、「偉大なる熊の棲む雨林」と名付けられた。

注2
グリーンピースのほか、Sierra Club of B.C. 、Rainforest Action Network、Forest Ethicsが保護活動を行ってきている。

注3
森林問題キャンペーン カナダ~最大の温帯雨林を守る~ 参照

お問い合わせ
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話03-5338-9800
FAX 03-5338-9817
森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当 城川桂子