グリーンピース・ジャパンから依頼で、グリーンピースインターナショナルは東海村のウラン加工工場で起きた核事故について詳しい情報を収集するために、専門家を含む調査チームを派遣した。チームはオランダ人1人、ドイツ人2人の3名で、10月1日にアムステルダムを出発し、3日に東海村で調査を始めた。

「施設周辺の放射能レベルと汚染の程度を明らかにしたい」と、原子力物理学者でありオランダで放射線防護の資格を持っているディードリック・サムソン(チームリーダー)は語った。
彼は続けて、
「現在、住友グループの子会社であるJCOと日本政府からのはっきりした情報がない」
「フランスのラ・アーグとイギリスのセラフィールドにある再処理工場から海に流れ出る放射能の廃棄物を調査した時と同じように安全を最優先している」
「独立機関として、積極的に貢献したい」と語っている。


【東海村】

木曜日に臨界事故が起きてから数日間がたち、日本政府は「放射能レベルは通常に戻った」と発言した。しかし、東海村のある区域で放射能レベルは、現在でもバックグラウンドレベルより高いレベルである。

3日(日曜日)の午後4時ごろに、グリーンピースの調査チームが測定したところでは、昨日JCOウラン加工工場の横にある県道62号線の中央付近で1時間あたり0.54マイクロシーベルトになっていた。バックグラウンドレベルは、0.1マイクロシーベルトで、昨日の測定は通常より5倍ほど高い。
4日(月曜日)に取ったレベルは、0.4マイクロシーベルトになっていて、放射能レベルがゆっくりと落ちていることと考える。

工場から100m離れた場所では、バックグラウンドレベルより2.5倍高くなっていて、工場から200m離れたところで、バックグランドのレベルに戻っていた。その他の公道で取った測定に関しては、500~600m離れたところでバックグラウンドあるいは通常のレベルになっていた。このレベルも昨日と比べて、20パーセント低くなっていた。

濃縮ウランが臨界事故を起こしたため、施設から350m以内に住んでいる住民が避難させられたし、10キロ圏内には、屋内待避勧告が出された。
しかし、土曜日に野中広務官房長官が「施設から350m半径の区域での放射能レベルは通常に戻ったことを確認した」と発言し、避難勧告が解除された。

「日曜日に得た高いレベルの放射能の測定値は、その24時間ほど前に日本政府によって通行禁止が解除された、県道62号線(原研道路)の中央付近でとったものである。バックグラウンドレベルより相当高いレベルが出ている間は、日本政府はこの道路を立ち入り禁止にすべきである」と、
グリーンピースの調査チームリーダーであるディードリック・サムソンが語った。

この高い値は、加工工場の建物からいまだに核分裂によって生成された核物質からベータガンマ線核種がでているか、あるいは建物内に残留している核分裂生成物からの放射線が原因と考えられる。この放射能を遮蔽するために、建物の廻りには、関係者が3mの高さに砂袋の壁を設けた。現在、この原因を確認するため、グリーンピースの調査チームはサンプルをとっている。

残っている放射性物質の除去に関して、グリーンピースは懸念している。撤去計画についての情報はほとんど提供されず、除去計画についての情報公開をグリーンピースは強く要求する。

「今回の事故は、日本政府の原子力政策の誤りを象徴する事故だ。この失敗について国民はもとより世界に向かっても、きちんと情報を公開するべきだ」と、
グリーンピース・ジャパンの事務局長、志田早苗が言った。