関西電力のプルトニウム計画は、福井県を核兵器貯蔵所にしてしまう「これは日本社会に対する脅威だ」グリーンピースが福井から警告
【福井発】
福井県全体の原子炉でプルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使おうという関西電力の計画は、この地域を巨大な核兵器貯蔵所にするに等しいと、グリーンピースは今日警告した。
国際的環境団体グリーンピースは、県と国の両者が、関西電力の大規模なプルトニウムMOX(プルサーマル)計画の持つ本当の意味合いについて、この地域の人々に隠してきたと述べた。
米国政府の文書によると、プルトニウム燃料を使う核施設における保安体制は、米国の核兵器取扱施設で適用されているものと同じでなければならないことになっている。
米国エネルギー省が採用した勧告は、
「完全な核兵器の貯蔵に適用されている保安体制や計量管理と同じ高さの基準が、余剰の核兵器利用可能物質についても維持されるべきだと」している。
このいわゆる「貯蔵核兵器基準」は、MOXの使用を検討している米国の少数の電力会社に適用されることになっている。
「この地域の人々は、プルトニウムMOX燃料を日本の原子力平和利用計画の中の一つの発展に過ぎないとの印象を与えようと必死になっている産業に欺かれてきた。だが、事実は異なる。プルトニウムMOX燃料は、核兵器利用可能物質なのである。しかし、政府も関西電力も、安全保障上の脅威について語ろうとしない。
この地域の人々は、日本のプルトニウム計画のあらゆる面について相談を受ける権利を有している。産業側も日本政府も、プルトニウムMOXの全ての真実を明かせば、国民の抗議の声が耳をつんざくようなものになることを知っているのだ」
と、グリーンピース・インターナショナルのショーン・バーニーは述べた。
最近まで、日本の原子力施設での保安という概念は、まったくなかった。日本のどの原子力施設にも、武装警備員はいない。しかし、ほとんど議論の無いまま新たな事態が生じようとしている。
日本の防衛庁は、2000年の予算に特殊対ゲリラ部隊の訓練用等として50億円を盛り込むことを提案しているが、これには、核施設に対するゲリラ攻撃への対応策が含まれている。しかし、ここで提案されているものでは、原子炉サイトからの核兵器利用可能なプルトニウムMOX燃料の盗難を抑止・防止することは決して出来ない。
盗難が起きれば、壊滅的な事態を招来する恐れがある。たとえ、政府が、高浜のようなMOX利用原子炉で重装備の高度な保安システムを確立しようとしても、100%の有効性を保証することはできない。そして、その有効性を米国の国防省の勧告するレベルにまで高めようとする試みは、すでに米国で起きているように、日本社会に大きな影響を与えることになるだろう。
日本のプルトニウム利用は、まだ低いレベルにある。日本政府と電力会社のプルトニウム計画が実現されれば、何千キログラムものプルトニウムが毎年、日本全土で輸送、貯蔵、使用されることになるだろう。
グリーンピースは、プルトニウム経済の本格的な展開に至る危険な道程の第一歩となると考える。プルトニウム経済は、民主的社会とは相容れないということが何十年も前から認識されている。
現在、最初のプルトニウム燃料の到着に合わせるために、グリーンピースのアークティック・サンライズ号が日本に来ている。
プルトニウム燃料を乗せた英国籍の2隻の武装核物質輸送船は、ヨーロッパから日本に向っているところである。
その1隻、パシフィック・ティール号には、32体の燃料集合体に入った221kgのプルトニウムが積まれている。これは、東京電力の福島原発で使うためのものである。このプルトニウムは、国営会社コジェマ社がラアーグで運営する核施設で再処理し、それをベルゴニュークレア/FBFCがベルギーでMOX燃料に成形加工したものである。
また、パシフィック・ピンテール号には、8体の燃料集合体に入った225kgのプルトニウムが積まれている。福井県にある関西電力の高浜原子力発電所で使うためのものである。このプルトニウムは、英国の国有会社BNFLが英国セラフィールドで運転する施設で再処理したのもである。MOX燃料への加工も同社が行なった。
2隻の船は、7月21日フランスの海岸を出発した。これらの船には、約60個の核兵器を作るのに十分なプルトニウムが積まれている。
2隻は現在、ソロモン諸島のスチュワート島の東60マイル程の地点にいると見られている。2隻が確認された最後の地点は、グリーンピースが9月5日に明らかにしたもので、この時グループの監視用航空機はロード・ハウ島の東約210海里の海域で2隻の姿を捉えている。
向こう10年間ほどの間に、ヨーロッパから日本に向けて同じような輸送が80回も行なわれる可能性がある。合計50トン近いプルトニウムが運ばれ、それは、原子炉の敷地内に数週間から数ヶ月に渡って貯蔵されることになる。
プルトニウムが5~10kgあれば、大きな都市を破壊できるような核爆弾を作ることができるのである。
「世界で日本の計画に匹敵するようなプルトニウム計画を持っている国は、核保有国だけだ。このような大規模なプルトニウム計画が安全保障にとって持つ大きな意味合いについて日本の人々は知らされていない。
日本は、安全保障にとっての悪夢であると同時に、非経済的であり、原子炉の安全性を現在以上に脅かすプルトニウム経済を推進するのではなく、核の野望を放棄し、持続可能な別のエネルギー源を求めるべきだ」
とグリーンピース・ジャパンの志田早苗事務局長はアークティック・サンライズ号の船上で語った。
グリーンピースのアークティック・サンライズ号は現在、福井県敦賀市の港に入っている。
日本の原子力計画の中心地、福井県には原子力発電容量の32%が集中している。世界でも最大規模の集中である。
前回グリーンピースの船が敦賀の港を訪れたのは、1994年4月、日本のプルトニウム計画の中核をなす高速増殖炉「もんじゅ」が運転を始めようとしていたときのことだった。深刻な事故の危険性についてのグリーンピースの警告にも関わらず、50億ドルの原子炉のスイッチが入れられた。
そして、20ヶ月後の1995年12月、ほとんど運転していない段階で、「もんじゅ」は、ナトリウム冷却材の漏れを起こし、運転停止となった。
歴代の政権がその大規模なプルトニウム計画を正当化するものとして挙げてきた日本の高速増殖炉計画は、一般に失敗だと考えられている。しかし、日本は、その核兵器利用可能のプルトニウムの蓄積量を増やし続けている。
福井県全体の原子炉でプルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使おうという関西電力の計画は、この地域を巨大な核兵器貯蔵所にするに等しいと、グリーンピースは今日警告した。
国際的環境団体グリーンピースは、県と国の両者が、関西電力の大規模なプルトニウムMOX(プルサーマル)計画の持つ本当の意味合いについて、この地域の人々に隠してきたと述べた。
米国政府の文書によると、プルトニウム燃料を使う核施設における保安体制は、米国の核兵器取扱施設で適用されているものと同じでなければならないことになっている。
米国エネルギー省が採用した勧告は、
「完全な核兵器の貯蔵に適用されている保安体制や計量管理と同じ高さの基準が、余剰の核兵器利用可能物質についても維持されるべきだと」している。
このいわゆる「貯蔵核兵器基準」は、MOXの使用を検討している米国の少数の電力会社に適用されることになっている。
「この地域の人々は、プルトニウムMOX燃料を日本の原子力平和利用計画の中の一つの発展に過ぎないとの印象を与えようと必死になっている産業に欺かれてきた。だが、事実は異なる。プルトニウムMOX燃料は、核兵器利用可能物質なのである。しかし、政府も関西電力も、安全保障上の脅威について語ろうとしない。
この地域の人々は、日本のプルトニウム計画のあらゆる面について相談を受ける権利を有している。産業側も日本政府も、プルトニウムMOXの全ての真実を明かせば、国民の抗議の声が耳をつんざくようなものになることを知っているのだ」
と、グリーンピース・インターナショナルのショーン・バーニーは述べた。
最近まで、日本の原子力施設での保安という概念は、まったくなかった。日本のどの原子力施設にも、武装警備員はいない。しかし、ほとんど議論の無いまま新たな事態が生じようとしている。
日本の防衛庁は、2000年の予算に特殊対ゲリラ部隊の訓練用等として50億円を盛り込むことを提案しているが、これには、核施設に対するゲリラ攻撃への対応策が含まれている。しかし、ここで提案されているものでは、原子炉サイトからの核兵器利用可能なプルトニウムMOX燃料の盗難を抑止・防止することは決して出来ない。
盗難が起きれば、壊滅的な事態を招来する恐れがある。たとえ、政府が、高浜のようなMOX利用原子炉で重装備の高度な保安システムを確立しようとしても、100%の有効性を保証することはできない。そして、その有効性を米国の国防省の勧告するレベルにまで高めようとする試みは、すでに米国で起きているように、日本社会に大きな影響を与えることになるだろう。
日本のプルトニウム利用は、まだ低いレベルにある。日本政府と電力会社のプルトニウム計画が実現されれば、何千キログラムものプルトニウムが毎年、日本全土で輸送、貯蔵、使用されることになるだろう。
グリーンピースは、プルトニウム経済の本格的な展開に至る危険な道程の第一歩となると考える。プルトニウム経済は、民主的社会とは相容れないということが何十年も前から認識されている。
現在、最初のプルトニウム燃料の到着に合わせるために、グリーンピースのアークティック・サンライズ号が日本に来ている。
プルトニウム燃料を乗せた英国籍の2隻の武装核物質輸送船は、ヨーロッパから日本に向っているところである。
その1隻、パシフィック・ティール号には、32体の燃料集合体に入った221kgのプルトニウムが積まれている。これは、東京電力の福島原発で使うためのものである。このプルトニウムは、国営会社コジェマ社がラアーグで運営する核施設で再処理し、それをベルゴニュークレア/FBFCがベルギーでMOX燃料に成形加工したものである。
また、パシフィック・ピンテール号には、8体の燃料集合体に入った225kgのプルトニウムが積まれている。福井県にある関西電力の高浜原子力発電所で使うためのものである。このプルトニウムは、英国の国有会社BNFLが英国セラフィールドで運転する施設で再処理したのもである。MOX燃料への加工も同社が行なった。
2隻の船は、7月21日フランスの海岸を出発した。これらの船には、約60個の核兵器を作るのに十分なプルトニウムが積まれている。
2隻は現在、ソロモン諸島のスチュワート島の東60マイル程の地点にいると見られている。2隻が確認された最後の地点は、グリーンピースが9月5日に明らかにしたもので、この時グループの監視用航空機はロード・ハウ島の東約210海里の海域で2隻の姿を捉えている。
向こう10年間ほどの間に、ヨーロッパから日本に向けて同じような輸送が80回も行なわれる可能性がある。合計50トン近いプルトニウムが運ばれ、それは、原子炉の敷地内に数週間から数ヶ月に渡って貯蔵されることになる。
プルトニウムが5~10kgあれば、大きな都市を破壊できるような核爆弾を作ることができるのである。
「世界で日本の計画に匹敵するようなプルトニウム計画を持っている国は、核保有国だけだ。このような大規模なプルトニウム計画が安全保障にとって持つ大きな意味合いについて日本の人々は知らされていない。
日本は、安全保障にとっての悪夢であると同時に、非経済的であり、原子炉の安全性を現在以上に脅かすプルトニウム経済を推進するのではなく、核の野望を放棄し、持続可能な別のエネルギー源を求めるべきだ」
とグリーンピース・ジャパンの志田早苗事務局長はアークティック・サンライズ号の船上で語った。
グリーンピースのアークティック・サンライズ号は現在、福井県敦賀市の港に入っている。
日本の原子力計画の中心地、福井県には原子力発電容量の32%が集中している。世界でも最大規模の集中である。
前回グリーンピースの船が敦賀の港を訪れたのは、1994年4月、日本のプルトニウム計画の中核をなす高速増殖炉「もんじゅ」が運転を始めようとしていたときのことだった。深刻な事故の危険性についてのグリーンピースの警告にも関わらず、50億ドルの原子炉のスイッチが入れられた。
そして、20ヶ月後の1995年12月、ほとんど運転していない段階で、「もんじゅ」は、ナトリウム冷却材の漏れを起こし、運転停止となった。
歴代の政権がその大規模なプルトニウム計画を正当化するものとして挙げてきた日本の高速増殖炉計画は、一般に失敗だと考えられている。しかし、日本は、その核兵器利用可能のプルトニウムの蓄積量を増やし続けている。