「地球のため」は私たちのため 市民とともに未来を見据えた変化を

2022年は、自然環境にとって画期的な前進も多くありましたが、その一方で世界中の何千万人もの人々が、異常気象や戦争の恐怖、エネルギー危機、続くパンデミックに脅かされた年でもありました。その中で、多くの人がこれまで当たり前としてきた暮らしにおいての優先度、働き方や、地域とのつながり方など、生き方への問いが多く生まれることになりました。

世界中が大きな不安に翻弄されながら変化しつつある今、目指されるべきは環境と命が守られる世界であり、核の脅威やプラスチック汚染のない世界であり、紛争や暴力のない世界です。そしてこれらの問題は互いに深く結びついています。

グリーンピース・ジャパンは、グリーンピースの中でも最大組織の一つであるグリーンピース・東アジアと連携を強化し、北京、香港、台湾、ソウルといった他のグリーンピースのオフィスとグローバルに行動を行い、常に変化の先を見据えてきました。

私たちが目指す未来はいつでも、市民の暮らしがより良く変わることへと繋がっています。

2022年の活動の成果として、ご報告できることは多くあります。

プラスチックキャンペーンでは、カフェチェーンごとの使い捨てカップの消費量を日本で初めて明らかにし、最も多くの使い捨てカップを出しているスターバックスとの継続的な対話が実を結び、スターバックスは2023年に入って全国の店舗の8割で、繰り返し使える店内用グラスを導入することを発表しています。

市民とともに地方から仕組みを変える取り組みでは、グリーンピースが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」が建築物省エネ法改正に貢献し、2025年からはすべての新築の建物に断熱が義務付けられることになります。これは日本の省エネの大きな前進です。

このように、気候変動を好転させるための変化は、自然環境のためだけのものではなく、市民のより良い暮らしと密接に繋がり、ひいては企業、政府にとっても望ましい前進であるといえるのです。

グリーンピースの使命は、20年、30年、さらに先を見据え、子どもたちが幸せに生きられる地球の未来から逆算し、今の変化をつくっていくこと。

日本には多くのグローバル企業があり、政府の選択も国際的な注目を浴びています。その一つに変化を起こすことは、大きな影響力と相乗効果をもって世界を変化させ得ます。

私たちは、数多くのサポーターとともに歩んだ50年を超える軌跡の中で得た、実績、スキル、専門性、つながりを最大限に活かし、仕組みを変えうる力を持つ機関に対し積極的にアプローチし、市民のための変化を実現させていきます。

グリーンピースは、独立した活動を守るため、政府や企業からの財政支援を受けていません。だからこそ、国や企業からの干渉を受けず、独立した立場で環境保護活動を行うことができています。これらの活動はすべてみなさまの支えなくしては、実現することのできないものです。改めて力強い支援に感謝申し上げます。そして、今後より一層未来のために「行動するNGO」として、科学的根拠に基づく徹底した現場主義を軸に活動していくことを固く約束します。

美しい地球と大切な命を守るために、これからもどうかグリーンピースと一緒に行動してください。

グリーンピース・ジャパン 

事務局長  サム・アネスリー