活動報告の投稿-原発
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【2016年最新版】放射能調査の結果報告
こんにちは。エネルギー担当の柏木です。グリーンピースが支持される最たる理由のひとつが、政府や企業から独立した国際機関としての独自調査です。今日は、独立した科学者の先行研究の結果と、福島県沖・河川と滋賀県・琵琶湖の放射能調査の最新結果をまとめたレポート、『水に沈む放射能』を21日に発表しましたので、みなさんにお知らせします。東京電力福島第一原発事故からまる5年を迎えた2016年。2月から3月にかけて、グリーンピースのフラッグシップ船「虹の戦士号」とともに、フランスの独立放射能測定機関の方を含む国際チームが福島県沖と福島県内の川岸で堆積物の放射線調査を行ったその結果発表になります。そして再稼働が進められる福井県の原発から数十キロにある滋賀県の琵琶湖でも、事故前のベースライン調査を行うために、湖底の堆積物を採取する調査を実施しました。川岸の堆積物の放射線量、海底の200倍に(c)GavinNewman/Greenpeace水中の調査は、ROVという遠隔捜査ができるロボットを利用しました。リアルタイムで水中の放射線量を計測しつつ、付属するカメラで海底の様子を確認しながら、堆積物が採取できるんです。この技術の組み合わせ、グリーンピースのちょっとオタクな専門家たちが考え、世界でもおそらく初の試みでした。海洋調査の結果での最大線量は、原発から60km南にある鮫川河口で採取したサンプルの144Bq/kg(セシウム134とセシウム137の合計値)でした。実は、この値は福島第一原発から2キロのところで採取した数字と一緒だったのです。これまで、グリーンピースは何度も伝えてきたことの1つですが、放射能汚染のレベルは距離によって決まるものではない、ということがよくわかります。一方、河川の土手で採取したサンプルで、新田川で採取したものからは、最大で29,800Bq/kg(同)が検出され、海洋でもっとも高いサンプルと比べて200倍の差であることがわかりました。川岸と比べて、海底の堆積物の線量が低いのは、福島第一原発は、つよい潮流のある広大な太平洋沿いにあり、放射性物質が拡散しやすいためです。原発事故後、森林や湖が放射能の「貯蔵庫」に福島原発事故の発生以来、グリーンピースは主に陸での空間放射線調査を実施してきました。これまでの総数は、25回。その結果から、陸上ではいまだに高い放射線量が見られることがわかっています。特に、除染が実施されてない森林の汚染は深刻です。福島県で森林が占める割合は7割。しかも、いま大規模に行われている除染作業は、住宅や道路などから半径20メートルの範囲と、限定的に行われているんです。そのため、多くの森林は、除染されないまま。それどころか、放射性セシウムは、植物に欠かせない栄養素、カリウムと似た化学的性質があるため、樹木を栄養素と一緒に循環します。こうして、生態系の環のなかに入り込んだ放射性物質は、ゆっくりと、移動しつづけることになります。下のイラストにあるように、森林から河川や湖を通じて、放射性物質は海に移動します。今回のグリーンピースの調査からは、海底で高い値はみつかりませんでした。でも、「だから安心」という訳ではないんです。河川や海洋、森林の放射能汚染のぞれぞれについては、様々な研究が実施されてきていますが、生態系のなかで放射性物質がどのように振る舞うのか、そして生き物にどのように影響するのか、十分な理解にまでは及んでいない、というのが現状です。また、福島第一原発の汚染水の問題も、まだ解決していません。だからこそ、独立した科学者の、献身的な調査研究の継続は欠かせません。関西の水がめ、琵琶湖への懸念福島の教訓を学ぼうともせず、全国で原発の再稼働の手続きが進んでいます。いま、グリーンピースの「再稼働をとめる」活動でもっとも力を入れている関西電力の原発のうち、美浜3号機では、再稼働にむけた審査が来週にも一歩進むと報道されています。©ChristianAslund/Greenpeace福島原発事故の教訓を関西にあてはめると、大きな懸念のひとつとなるのが、福井県にある関西電力の美浜原発と高浜原発から、それぞれ44・64キロメートルの場所にある琵琶湖です。もし、万が一でも、関西電力の原発で過酷事故が起これば、放射能汚染が琵琶湖にも及ぶ危険があります。もしも事故が起こった場合、その影響がわかるようにと、琵琶湖沿岸でのベースライン・サンプリング調査を行いました。4つのサンプルのうち、2つのサンプルは検出限界値未満、そしてべつの2つのサンプルからは7.1〜13Bq/kgのセシウム137が検出されました。これは、1960年代の核実験と、チェルノブイリ原発事故の影響と考えられます。今回の調査でもっとも放射線量の高かった、福島県の新田川で採取したサンプルとは2000倍の差があります。琵琶湖は、世界でも有数の古代湖で、350万年以上も前から存在しています。太古から生き物を育んで、固有の生き物は約60種に及びます。豊かな環境に、ひとの暮らしも支えられてきました。関西地方の1400万人の水がめになっていることはもちろん、周辺の文化、経済も密接にかかわっています。現在、再稼働の事前の了解について聞かれるのは、原発のたつ立地自治体となっていますが、もっと広い範囲の自治体や市民の声が聞かれるべきです。でも、放射能汚染は立地自治体のみにとどまりません。実際に、琵琶湖のある滋賀県知事、そして琵琶湖の北側にある滋賀県高島市の市長さんは立地自治体と同じレベルの安全協定を求めています。また、住民の方は再稼働への懸念を強くもっています。原発事故による放射能汚染は、原発からの距離で決まるものでもなく、そして事故直後だけの問題でもありません。また、除染をしたからといって、すべてが解決する問題でもありません。今回の調査からも、原発事故から5年がたっても、放射能が循環したり、移行するプロセスがゆっくりと進んでいる様子が見受けられました。何ものにも代えられない琵琶湖が汚染されるリスクは、何としても避けなくてはなりません。>>『水に沈む放射能:東京電力福島第一原発事故から5年淡水域および海水域の堆積物に対する放射能調査と分析』>>2016年7月21日発表プレスリリース 今すぐあなたができる原発を再稼動させないための一歩は、原発由来の電気を使わないこと 今後も科学的見地や住民の方のインタビューを通して調査を行います。こうした調査や活動は、個人のみなさまのご寄付で行っております。ぜひ、ご寄付で今後の活動へのご支援・ご協力をお願いいたします。寄付する 【関連ブログ】同時にOK!電力会社スイッチとソーラーパネル設置:じぶん電力【電力会社レポート】いま、グリーンピースが福島県沖海洋調査をする理由日本一の原発集中地域・関西地方&福井県で活動する理由「マグロがいる海がいい」ですよね?マグロが絶滅したらやばい、3つの理由ハッピー「ワールドオーシャンズデイ」!世界の海でステキな変化が【関西電力】再稼動は危険なギャンブル【東京電力】汚染水の海洋放出は禁止を裁判でがんばる。動かさない。20年延長?原発はそんなにもたない携帯電話の機種変更よりも簡単で拍子抜け【電力会社スイッチ体験談#1】
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要約版『自然エネルギー革命シナリオ』
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1607人の応援を心に!高浜裁判傍聴記
こんにちは!エネルギーチームの鈴木かずえです。「関西電力の高浜原発1、2号機(福井県)古すぎです。廃炉にしてください」と求める裁判を、グリーンピース・ジャパのシニア・グローバル・エネルギー担当のケンドラ・ウルリッチとともに傍聴してきました。ケンドラも私も、裁判の原告になっています。初めての口頭弁論であるこの日のために、約3週間にわたって全国からの応援の”顔”を集めてきました。集まった応援の”顔”は、1607。この裁判の原告は76名ですが、これだけの人が応援してくれているのだと思うと、本当に勇気付けられます。参加してくださった皆さん、本当にありがとうございます。全国からの応援の気持ちとともに、入廷法廷に入るのは、すごく久しぶりでドキドキしました。写真撮影や携帯電話の使用もできません。なので、法廷の中に、全国からの応援を詰め込んだバナーを持って入りたかったけれど、もちろん、NG。でも、みなさんからの気持ちはしっかり持って、入廷しました〜♪厳かな法廷法廷の壇上には3人の裁判官。その向かい両側の向かって左に原告側の弁護士、右側に被告(国)側の弁護士が座ります。中央に机とマイクがあります。(絵を描いてみました)国側の机の席に座っていたのは、中年男性一人と、若い男性二人。その後ろに女性を含む3〜4人が座っていました。原告側は、北村弁護団長、藤川弁護団事務局長ほか、後ろの席にも弁護士、原告が20人以上ぎゅうぎゅうになって座わりました。傍聴席にもギッシリ原告、そして報道関係者が座っています。傍聴席は80席くらいだったのでしょうか。席が限られていたため、傍聴は抽選となり、はずれた方もたくさんいました。立法も行政も原子力ムラに飲み込まれている今、原発を止めるのは司法しかない最初に、北村弁護団長が、この裁判を始めるにあたっての思いを訴えました。行政も、立法も、原発を止めない以上、止めるのは、司法しかないと語りかけました。続いて、弁護団の弁護士が東京電力福島原発事故以降にできた新規制基準の不備、想定する地震の揺れが過小評価されていること、老朽化の問題など訴えのポイントを説明していきます。とくに私たちが問題視しているのが老朽化の問題。40年ルール老朽原発でもあった東京電力福島原発の事故を受けて作られた「運転期間40年を超えた原発は廃炉」という40年ルール。40年ルールは厳格に適用されるべきであり、すでに40年が経過している高浜原発1、2号機が、果たして本当に十分な安全性を備えているのか、災害の防止上支障がないといえるのか、厳格に審議してもらいたいのです。ケーブル問題また、新規制基準では、原発の電気ケーブルは難燃性ケーブルにすることを求めています。ところが、高浜原発1、2号機について、原子力規制委員会は、難燃性ケーブルへの交換ではなく、「防火シート」などによる対策を認めたのです。これは、実験での検証も行なわれておらず、違法であると言わざるをえません。最後に、4人の原告が、この裁判を起こした思いを裁判官に伝えました。(原告の意見陳述より抜粋)阪上さん:規制は電力会社のいいなりやめて、事故収束を再優先に「1995年から「福島老朽原発を考える会」を結成し、東京電力福島原発事故以降は「原子力規制を監視する市民の会」を作って原発の危険性を訴え、規制行政の監視活動を続けてきました。危険性を訴えてきながら、事故を許してしまい、非常に残念であり、悔しい思いです。原子力規制委員会を傍聴する中で、規制が電力会社の言いなりになっていることを目のあたりにしてきました。福島原発事故は収束していません。それどころが、溶融炉心の処理、汚染水対策、汚染廃棄物の取り扱い、被害者への賠償と生活支援等々、どれをとっても問題は山積で、ある意味で、事故は拡大の過程にあるともいえます。収束作業にこそ時間と人材を割いて、犠牲者が増えることを防いで欲しいと強く思います。それらも済まないままで再稼働をするというのは、余りにも反省を欠く行為だと思います。」 小野さん:福島から岐阜に避難、同じ被害を出さないで「福島県にいたときは、実家で作ったお米や野菜、近所からもらう山菜で日々食事をしており、スーパーで買うのはお肉などごく限られたものだけ、お水も庭先の井戸水でした。その幸せな暮らしが東京電力福島原発事故で一変しました。避難先で娘はいじめにあい、故郷の親戚とも軋轢が生まれ、ストレスで前歯が一度に5〜6本抜け落ちました。同じ被害を二度と出さぬよう、老朽原発の廃炉を裁判所から命令を出してもらうことを心から願います。」 東山さん:声出せぬ原発依存の地元、廃炉で明日が開ける「私は、高浜原発から4キロのところに住んでいます。50年前、関西電力が高浜に原発をつくるという話がでたとき、原発の寿命は20年、長くて30年と言い、事故は起きないと宣伝しました。その宣伝に対し不安や疑問だと声を出した人の家に大勢の人が押し掛け怒号をあげ吊るし上げをする、商売をしている人はあらぬ噂を広げられ倒産寸前にまで追いやられる。その様な状況の中、建設が始まったのです。そして町は、原発に頼らなければ暮らしていけない町へと変えられてしまいました。今、老朽原発の高浜1、2号を廃炉することで明日の見通しが立つ時だと確信しています。」草地さん:原発130キロの風下の名古屋で知った守るべき日常の大切さ「私は、原発から130キロ、偏西風の風下の名古屋に住む、娘と息子を持つ母親です。東京電力福島原発事故で、守るべき日常の大切さを思い知り、目が覚めました。たった一度の事故で、誰もが望む当たり前の幸せを奪うことは、到底許されることではありません。原発を稼働させないでほしい、廃炉にしてほしいというのは、主義や理念ではありません。私たちの心の底からの切実な願いです。」 なお、今回、提訴時には、運転期間延長が認可されていなかったので、認可禁止を求めましたが、現在では、すでに認可されていることから、訴えを「認可取り消し」に変更します。国からの反論は、その変更がなされた後から始まります。「応援!フェイスプロジェクト」、大歓迎を受ける第1回口頭弁論の後の報告会で、グリーンピースが呼びかけ、1607人からの応援をいただいた「応援!フェイスプロジェクト」をあらためてご紹介し、たくさんの拍手をいただきました。原告に加わっているグリーンピース・ジャパンのケンドラも「アメリカでも、草の根市民と優秀な弁護士がタッグを組んで原発をとめた。日本でもきっと止めることができます!」と挨拶しました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。原告は76人だけれど、横断幕つくりを呼びかけたことで、たくさんの人にこの裁判を知っていただくことができました。 次回は10月、引き続き応援を次回の口頭弁論は、10月26日となりました。今後とも、どうぞ、この訴訟にご注目、ご支援ください。この裁判を支える会が発足しています。支える会では、会員も募集しています。全国どこからでも応募できます→こちらからグリーンピース・ジャパンでは、老朽原発を止めるために裁判がとても有効と考え、原告となってこの裁判に協力しています。…
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『2030年エネルギーミックスの現実度チェック: 破綻する⽇本の原⼦⼒発電』
本ブリーフィングペーパーは、⽇本が 2030 年に達成しようとしている、⾮常に⾼い原発⽐率と、20…原子力規制庁に聞きました。老朽原発の審査、どうなっているの?編 その1
こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。…
虹の戦士号、福島のいまを世界へ
2月上旬に日本にやってきたグリーンピースのキャンペーン船、虹の戦士号。約2カ月の活動を終えて、次の活動地・韓国…