全国のスーパー60店舗を実態調査! 身近なスーパーでどれくらいオーガニックの野菜やお米が買える?
この投稿を読むとわかること
調査したのは、去年「オーガニックの取り扱いを増やす」と方針を示してくれたイオン、コープネット事業連合、ライフの3社のスーパー。
総勢32名が、近所にある対象のスーパーに買い物に行き、オーガニックの野菜、果物、米を各一点ずつ購入。その品目数を記録しました。
調査結果、スーパーの売り場で4つの発見がありました。
オーガニックコーナーがあると買える品目数が6倍!
あなたが普段お買い物するスーパーには、「オーガニックコーナー」がありますか?オーガニックの野菜やくだものがまとめて置いてある場所です。
今回の調査では、60店舗中47店舗、全体の78%のお店がオーガニックコーナーを設置していました。 特に、ライフは20店舗中18店舗でオーガニックコーナーを設置。そのうち14店舗が10品目以上のオーガニック野菜を販売しており、他のスーパーに比べて店舗ごとの差が少ない結果でした。 また、店舗により差はありますが、オーガニックコーナーのある店舗のオーガニックの平均品目数は、コーナーのない店舗より6倍多いことがわかりました。 「青果売り場ほぼ正面にオーガニック野菜コーナーが設けられており、とても買い易い雰囲気でした」 調査に参加した神奈川県Aさん オーガニックコーナーがあるお店は品揃えが豊富で、消費者が身近にオーガニックの野菜・果物を買うためにも、オーガニックコーナーが大事だということがわかりました。オーガニックの地域格差
写真上:イオンスタイル碑文谷(東京都目黒区、29品目)
写真下:イオン大和店(神奈川県大和市、2品目※もやし類は1品目としてカウント)
一方、20品目以上販売している店舗もあれば、ほとんど販売されていない店舗もあり、店舗間の差が大きいことがわかりました。
例えば、イオンでは、東京や名古屋にある店舗の品揃えは最大29品目と豊富でしたが、京都、神奈川(新百合ヶ丘を除く)、兵庫、長野の店舗は5品目以下。
それも、もやし、かいわれ大根、ブロッコリースプラウトなど、消費者が満足する品揃えではありません。
調査に参加した人からは、豊富な品揃えへの驚きと、全く無かったという落胆の両方の感想がありました。
「オーガニックコーナーが充実していて良いと思いました」
調査に参加した東京都Bさん
「オーガニック商品が少なくて残念でした」
調査に参加した神奈川県Cさん
スーパーには、地域による品揃えの差を抑え、全国の消費者がオーガニックを購入できるように、オーガニックコーナーの強化などを改善してもらいたいと思います。
オーガニックのお米はなかった
3社とも有機JAS認証を取得した米の販売はありませんでした。しかし、ライフでは、ミツバチや野生動物に毒性の強いネオニコチノイド系農薬を使わない「コウノトリ育むお米」の取り扱いが大阪の店舗で見られました。
日本では、水田でネオニコチノイド系農薬などが散布されることによりミツバチなど生態系への被害が指摘されており、環境の側面からもスーパーは、オーガニックの米を積極的に販売する必要があります。
鮮度や店員の知識にも課題
他にも、調査に参加したボランティアのみなさんの感想から、傷んだ商品があることや、店員の有機農産物の理解力が乏しいなどのコメントが多く寄せられ、店舗側の課題がわかりました。 「水菜と玉ねぎは傷んでいた」千葉県Dさん 「一部を取り除かないと食べられないものがあった」神奈川県Eさん 高価格かつ鮮度が悪い商品を消費者は買いたいとは思えません。スーパーは「オーガニックは鮮度が良くない」と言われないように対応すべきです。 「オーガニックコーナーを聞いたらお店の人が地元野菜コーナーを教えてくれるなど、売る人がわかっていない感じがした」千葉県Fさん 「有機野菜がどういったものか認識が曖昧だった」東京都Gさん 各店舗のオーガニックコーナーには、説明のPOPも設置されていますが、全ての店員が理解しているわけではないようでした。 消費者に有機農産物の魅力を伝えるためには、店員の理解の向上はとても大事。スーパーは、店員に勉強会などを積極的に開催するなどして、売り手側にもオーガニックの良さを知ってもらうことを期待します。
今回の結果からわかったのは、オーガニックの野菜やくだものは一部の地域で少しずつ広がり始めているものの、まだ全国の消費者が身近に購入できる状況ではない、ということ。
2人に1人の農家が条件が整えばオーガニックにしたい!というデータ*からもわかるように、日本でも多くの農家がオーガニックにしたいと思っています。
日本の有機農業が広がる鍵となるのは、スーパーや生協などの小売店が、積極的に国産オーガニックの商品をとりいれることです。
企業の取り組みを早めるためには、消費者が農家と一緒に声をあげ、オーガニックの野菜や米の取り扱いを強化するように、スーパーに伝えることが重要です。