国際環境NGOグリーンピース・ドイツは、ウクライナ・チェルノービリ(チェルノブイリ)原発から30キロ以内の立入禁止区域内にある、ロシア軍の占領地域跡の放射能汚染調査を開始しました。占領地域には約600人の兵士が配置されており、グリーンピースの放射線・原子力専門家の国際チームは、兵士たちが浴びた可能性のある放射線を測定する予定です。調査は、ウクライナ政府の承認を得て、ウクライナ立入禁止区域管理局(SAUEZM)の協力のもとで実施されています。

今回の調査の主な目的の一つは、ロシアのチョルノービリ占拠の影響、危険性、起こりうる結果について、ウクライナ政府に独立した証拠を提供することです。ロシアの侵攻が始まって以来、独立した調査が行われるのは初めてで、4月28日の国際原子力機関(IAEA)の声明が検証されることになります。IAEAは、同地域の放射線量は増加しているものの、環境や人々に大きな危険をもたらすレベルではないとしています。


グリーンピース・ドイツ 核問題スペシャリスト、ショーン・バーニー

「IAEAのこれまでの情報は不十分で、我々は現地で何が起きたのか知りたい。ウクライナ当局は、この地域の放射線の安全性について、グリーンピースの調査チームが独自の情報を収集することを認めています。これには、1986年にチョルノービリ原発の原子炉が爆発した際、周辺地域に降り注いだ微小な放射性粒子の調査も含まれます。当時の爆発では、7〜9トンの核燃料が大気中に放出されました。

現在、チョルノービリ周辺では、地面を掘れば掘るほど放射性粒子が出てくる状態です。ロシア軍は、塹壕を掘る際に放射性廃棄物を掘り返してしまったのです。欧州委員会が原子力をEUタクソノミーに含めることを積極的に進めている(注1)一方で、世界最悪の原子力災害が環境に与える影響を記録することはこれまで以上に重要です」

以上


(注1)プレスリリース(7月6日):EUタクソノミー:欧州議会 天然ガスと原子力阻止できず、グリーンピース 法的措置を表明