国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、8月13日〜31日、コーヒーチェーン大手スターバックスコーヒージャパンとタリーズコーヒージャパンの全国計150店舗における店内用グラス・マグカップの利用状況について調査を行いました。調査では計93人の一般利用者に協力してもらい、それぞれ無作為に選んで来店した店舗で「マグカップ・グラスの使用者数」「使い捨てカップ数(プラスチック・紙)」「注文の際にマグカップを使用するか聞かれたか」などの項目について調べました。その結果、2022年に実施した使い捨てカップ消費量に関する調査(注1)で店内リユース率が僅か8%だったスターバックスは、調査手法の違いから単純比較はできないものの、リユース率が約40%に大幅に上昇し、リユースの取り組みが着実に進んでいることが伺えました。一方、タリーズでは店内リユース率は約10%にとどまり、同社が取り組むマイタンブラーやマグカップの推奨策(注2)がほとんど浸透していないことが分かりました。

市民が150店舗で見てきた店内リユースの状況

<主な調査結果>

  • スターバックス:計95店舗で調査し、店内リユース率は41%だった
  • タリーズ:計55店舗で調査し、店内リユース率は12%だった
  • 脱使い捨てに向けて、紙やプラスチックの使い捨てカップを減らす努力をしているように感じたか聞いたところ、「まあまあ感じた」「とても感じた」と答えた人の割合はスターバックスで50.4%、タリーズで16.1%だった

今回の調査結果についてグリーンピースはタリーズと面談し、同社の環境に関する取り組みや方針、本調査結果などに関して意見交換を行いました。昨年グリーンピースが発表した使い捨てカップに関する報告書以降、同社では使い捨てカップ削減への課題意識は高まっており、今回の調査結果を受けて、店内におけるマグカップ・イートイングラスの利用を全国的に強化していくことや、テイクアウトにおいてもタンブラーの利用促進などに前向きに取り組むとのお話をいただきました。

タリーズコーヒージャパン株式会社 環境担当

「今回の調査結果は真摯に受け止めております。リユースにつきましては、創業時からタンブラー利用を推進し、続いてマグカップの導入、2012年にはイートイングラスを導入するなど積極的に取り組んでまいりました。また、イートイングラスはお客様の使いやすさを追求し、今年の6月にリニューアルしています。当社としましては、プラスチックや廃棄物の削減に留まらず、地球が抱える様々な環境課題に積極的に関与し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります」

グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大館弘昌

「長年の課題である店内リユースの推進について(注3)、今年から本格化したスターバックスの取り組みは着実に前進しています。タリーズに関しては現時点では目立った成果は出ておらず、カフェ業界における使い捨てカップ排出量第2位の企業として抜本的な取り組みが求められます。面談では前向きな姿勢が見られたことからも、今後取り組みが大きく前進することを期待しています。

一方、両チェーンとも、具体的な数値目標として、使い捨てカップ削減やリユース目標の設定、店内だけでなくテイクアウト分野における大幅削減などが求められます。プラスチック汚染解決に必要不可欠として、世界で導入が拡大しつつあるテイクアウト分野における返却式リユースカップについて日本でも企業が積極的に推進していくことが重要で、市民の声も確実に高まりつつあります。

スターバックスはリユースの仕組みを今年8月から39店舗に拡大しましたが(注4)、今後は全国的な拡大が早急に求められます。タリーズも、これを機にテイクアウト用返却式リユースカップの仕組み導入の本格的な検討を進めることを改めて求めます。リユース拡大のためには企業間の連携も重要で、カフェ大手の協力が実現すれば、他業界への良い影響も期待できるでしょう」

(注1)グリーンピース・ジャパン調査報告書『日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状』(2022年7月13日発表)

(注2)タリーズコーヒー Tully’s Action
(注3)FoEJapanは2004年よりスターバックスに対して店内リユースの徹底を求めていた(2004年7月発表)

(注4)Re&Go プレスリリース(2023年8月22日発表)

以上