全国の大学生やユース6団体は4月10日に、4月23日からカナダ・オタワで開催される国際プラスチック条約の第4回政府間交渉委員会(以下、INC-4)の開催を前に、世界共通の法的拘束力のあるルールを同条約に盛り込むことを求める共同声明を、八木哲也環境副大臣および国定勇人環境大臣政務官に提出しました。今回の共同声明提出にあたっては、国際環境NGO グリーンピース・ジャパン(東京都港区)、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(同、以下 WWF ジャパン)も協力しました。

<提言内容>

プラスチック汚染のない地球を将来に残すため、INC-4の開催に際して日本政府に以下5つの分野において、世界共通の法的拘束力のあるルールを条約に盛り込むことを要請します。

<プラスチックの総量削減>

  • 流出するプラスチックの量を減らし、プラスチックが地球温暖化の主要な要因となることを防ぐために、条約にプラスチックの総量を減らすための措置を盛り込むべき

<問題のあるプラスチックの禁止・段階的削減>

  • 使い捨てプラスチックなど流出や被害のリスクの高いプラスチックを特定し、技術的に可能なものから禁止や段階的禁止を義務付けるべき

<リユース・リサイクルを可能とし、マイクロプラスチック発生を抑制する製品設計>

  • 設計段階での対応(エコデザイン)を国際的に統一することを、それを推進するのための社会インフラ構築と併せて、条約に義務として盛り込むべき

<拡大生産者責任(EPR)>

  • 低所得国に過大な廃棄物処理負担や汚染をもたらす不均衡を是正し、エコデザインに実効性を持たせるために、条約で生産者企業に相応の負担を求めるEPRの導入を各国に義務付けるべき

<漁具のライフサイクルにおけるゴーストギア対策>

  • 漁具の廃棄物の適正管理に加え、循環可能な製品設計や漁具マーキングなど、漁具ライフサイクルを通じた流出漁具(ゴーストギア)対策を、条約で法的拘束力のある措置とすべき

提言全文はこちら

国際プラスチック条約 ユース共同声明 参画団体(五十音順)

岐阜大学環境サークル G-amet(読み:ガーメット)

青年環境NGO Climate Youth Japan

Green Sophia(読み:グリーンソフィア)

特定非営利活動法人 国際ボランティア学生協会(IVUSA)(読み:イビューサ)

実行力ある国際プラスチック条約を求めるユースイニシアチブ(GPTY) (読み:ジプティ)

日本若者協議会(JYC)

  • 提言書提出 参加者のコメント

国際ボランティア学生協会、小熊日花

今までは、学生だからこそできる大規模な海岸清掃活動などに注力してきましたが、今回提言をしてみて、ユースの力と国の力を掛け合わせていくことが重要だと感じました。今後、プラスチック汚染のない地球を残していくために国際交渉でより野心的なルールの構築に向けて政府にはイニシアティブを発揮してもらいたいと思っています。また、私たち若者からも、当事者としてアクションを起こしていきます。

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当 小池 宏隆

グリーンピースが4月4日に発表した国際意識調査の結果で、日本は他国と比較すると割合は低いものの、それでも64%がプラスチック生産の削減に合意する国際プラスチック条約を支持しています。若者世代からの声は重要です。プラ廃棄物の大幅削減を可能にする脱使い捨て社会構築に向けて、政府もしっかり次世代の声を聞くべきです。

WWFジャパン プラスチック政策マネージャー 三沢 行弘

日本最大級の学生ボランティア団体IVUSAを含め、日本の将来を担う国内の6つの学生•ユース団体が、今後の世界のプラスチック管理のあり方を決める国際条約交渉INC-4に際し、野心的な条約を求める声明を日本政府に届けた意義は大きいです。世界で早期に汚染根絶を実現するために、日本政府は当事者として、問題あるプラスチックの国際的禁止など、実効性のある規制導入に向けて国際社会をリードしていく必要があります。