国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は、本日5日、
報告書『未来を捨てるまやかしの解決策〜企業のプラスチック汚染問題への対応』(日本語版)を発表しました(注1)。多国籍企業がプラスチック汚染危機への対応策として発表するいわゆる「解決策」について、もっと懐疑的になるよう消費者に警告しています。 紙製品やバイオプラスチックへの切り替え、ケミカルリサイクルの採用といった「まやかしの解決策」は、使い捨ての商品包装からの脱却、リユース(再利用)とリフィル(詰め替え)の優先といった、より重要な取り組みから私たちの注意を逸らしてしまいます。

 

「まやかしの解決策」

  • 紙への切り替え:限られた森林資源にすでに与えている環境的な影響をさらに悪化させる可能性がある
  • バイオプラスチックへの切り替え:森林減少や生息地破壊、そして新たなマイクロプラスチック汚染などに繋がる恐れがある
  • リサイクルシステム:バージンプラスチックの需要を縮小するのに十分な量の材料回収、あるいは適切な廃棄の保証のいずれについても実現できておらず、大量に発生する廃プラスチックには対応できない。

 

大企業が優先すべきこと

  • 削減を優先:使い捨て包装で販売される製品数の削減
  • 革新的な代替配送販売システムへの投資:リユースやリフィルができる、使い捨てに依存しないシステムに注力した解決策への投資
  • 透明性の確保:使い捨てプラスチックを含む製品数、組成、重量などプラスチックの使用状況を追跡し、毎年開示する

 

◼️危険なケミカルリサイクル技術や代替品への投資

本報告書は、企業がまやかしの希望を提供し、プラスチック包装の需要を安定化させてしまう危険な「ケミカルリサイクル」技術に投資していることを明らかにしています。企業は、紛らわしいマーケティング用語、持続可能という言葉、業界提携などを隠れみのにして、商品包装の真の影響を曖昧にし、消費者がプラスチックは改良されるというまやかしの約束を信じ続けることを願っています。コンポスト化(堆肥化)可能、生分解性、または植物などから作られているという主張は、その製品が環境に良いことやプラスチック汚染を減らすという意味ではありません。

 

◼️一時しのぎの解決策は別の環境問題に

2019年末までに、世界中でプラスチックの生産と焼却により、189基の石炭火力発電所に相当する二酸化炭素が排出されます。 また、2050年までに、自然環境に120億トンの廃プラスチックが排出されると推定されています。企業はプラスチックの脅威を認識しているはずです。グリーンピースは、企業が、地球環境の別の場所に害を与えるような一時しのぎの解決案に安易に手を出さないよう求めます。

 

◼️グリーンピースUSAシニア・リサーチ・スペシャリストのアイビー・シュレーゲル(本報告書著者)

「プラスチックが私たちの環境や社会に与える不可逆的な損害について、科学的な理解が深まっているにもかかわらず、今後数年でプラスチックの生産は劇的に増加すると予測されています。 多国籍消費財企業は、すでに過剰利用されている森林や農地などの天然資源にさらなる負荷をかける持続不可能な代替案を推進し続けています。 プラスチック汚染危機を解決するために、企業は製品がどのように消費者のもとに届けられるのかを再考し、再利用や詰め替え可能な配送(販売)システムに大幅な投資をしてほしいと思います」

 

◼️グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大舘弘昌

「ここ1年で、日本でのプラスチック問題に対する意識は飛躍的に高まってきたと感じますが、まずは取り組むべき方向性をより大きな視野で企業に考えてもらいたいです(注2)。いま世界は、使い捨てを基本としたビジネスモデル自体を見直す時期にきています。プラスチック問題解決策として、バイオマスや生分解性プラ、またはリサイクルに安易に頼る事が、実は大きな問題を抱えているにも関わらず、日本の大企業の間ではほとんど重要視されていません。本レポートは現状のプラスチック対策の何が問題なのかを明らかにし、なぜリユース・リフィルへの取り組みを優先的に行わなければいけないのかを示しています」

 

注1)報告書『未来を捨てる まやかしの解決策〜企業のプラスチック汚染問題への対応』

注2)「リユース・レボリューション–プラスチック汚染をとめよう」大企業や政府に「いっしょに、プラスチック汚染をとめて」と働きかけるウェブページを本日リリースしました。