皆さんは、海とどんなつながりがありますか?
美味しい魚の恵み、心とからだを癒す真っ青なビーチ、気持ちを落ち着けてくれる波音、サーフィンやカヤックなど海と一体となるスポーツ。
皆さん一人ひとりが、大切にしている海とのつながりがあると思います。
しかしいま海では、普段は見えてこない変化があちこちで起きています。
今回は、2月22日に開催された、世田谷の環境を考える市民連絡会の学習会でお話した、海のプラスチックごみについて2回に分けてお伝えしていきます。
青い空、白い砂浜が広がる地上の楽園。
これは、どこの島だかわかりますか?(島マニアの人にはわかるかも?)
ハネムーンなどで日本人にも人気の、モルジブです。
その海岸が……プラスチック製品で埋め尽くされています。埋立地から流れ出したり、ポイ捨てされたものが、流れ着いています。
また、海の中で多くの命を育むサンゴ礁。
サンゴにも、プラスチックごみが引っかかっているケースが見つかっています。
波の力がプラスチックごみに加わり、サンゴが引っ張られときには折れてしまったりすることもあるそうです。
ドイツのヘルゴラント島には、シロカツオドリの一大営巣地があります。
巣をよく見ると、自然のものではなくて、海底をズズっと引っ張って漁をする、底引き網が岩などに引っかかって破損しないようにつけるプラスチック製のロープが混ざっていました。
ちぎれたロープが海を漂い、巣作りの素材を探す海鳥は、枝などと勘違いし巣に持ち帰ってしまうのです。ロープに絡まって命を落とすシロカツオドリが多く確認されています。
海の動物のなかでは、ウミガメ、アザラシ、アシカといった、好奇心が強く遊ぶのが大好きな動物たちが、プラスチックごみにからまってしまい、命を落としたり、ケガをするなどの影響を特に受けているといわれています。
2050年に海の中は「プラスチック>魚」になる?
このままのペースでプラスチックごみを排出していくと、2050年には重量に換算して、海には「魚よりもプラスチックごみの方が多くなる」という衝撃のレポートが昨年発表されました。[1]
同レポートによると、プラスチックの世界総生産は過去50年で20倍に増加し、2014年の世界総生産は3億1,100万トン、海の中ではプラスチックと魚の割合が、1対5だったそうです。
海に流れ出ていくプラスチックごみの約8割が、テイクアウト用のコーヒーカップのフタや、お弁当容器、レジ袋などの使い捨てのプラスチックという調査もあります。[2]
プラスチックごみは水深何千メートルの海底からも見つかっていて、見つからない海域はないと言われています。
プラスチックの生産拡大は、気候変動にも影響
プラスチック製品は、波に揉まれてどんなに細かく砕かれても、自然には還りません。
プラスチックの原料は石油です。石油資源の枯渇がさけばれて久しいですが、2014年は世界で消費される石油のうち、6%がプラスチックに消費されました。このままいけば、2050年にはその割合は20%になります[1]。
炭素収支の割合も、2014年は1%ですが、2050年には最大15%にまでのぼるそうです[1]。
つまり、プラスチック製品の拡大は、石油消費を増大させ、CO2排出量増加による気候変動への大きな影響が懸念されます。
いま私たちが何もしなければ、これは現実になるかもしれないのです。
海をまもるために日々のくらしでできること
使い捨てプラスチックにNO!プラスチック製品の発生を防ぐことからはじめましょう。
具体的には、
・お買い物にはマイバッグ
・お出かけやカフェにはマイボトル
・使い捨てのプラスチックスプーンやフォーク、ストローは貰わない
・過剰包装は断る
・使い捨てのお弁当容器が発生しないようにお弁当を持っていく、レストランで食べる
・ビニール袋の有料化や生物分解できる素材を使うことをスーパーやコンビニ、地域行政にお願いする
一人ひとりの行動が変われば、それは問題解決にむけた大きな力になります。
自分の暮らしと海は、何かしらの形でつながっています。環境への影響を意識して、海のことを心がけた暮らしをしていきたいですね。
参考資料
[1] “The New Plastics Economy-Catalysing action”, World Economic Forum, 2017 https://www.ellenmacarthurfoundation.org/publications/the-new-plastics-economy-rethinking-the-future-of-plastics
[2] http://sustainablecoastlines.org/
海をまもりたい!
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