2022年も日本を含め世界中で猛暑や記録的な干ばつ、世界各地で水害や土砂災害が起きました。今では、猛暑や豪雨、台風の被害は、当たり前になってしまいました。気候変動は、これから生きていく子どもの未来に大きな影響を与えます。

私たちの世代では当たり前だった食や水、そして自然災害からの命の安全が保障されません。気候変動の原因となっている温室効果ガス排出量をできる限り早く、大幅に削減しつつ自然エネルギーへ転換するなど長期的な視点にたった気候危機対策が不可欠です。

今年、世界を襲っている異常気象と被害を改めて振り返りながら、気候変動がこれ以上悪化しないように、私たちにできることを今日から始めましょう。

▼この記事を読むとわかること

> 2月:日本各地で記録的大雪
> 3月:北インドの熱波
> 4月:南アフリカ 土砂崩れと洪水
> 5月:ブラジル 大洪水と地滑りによる被害
> 6月:日本 147年ぶりの猛暑を観測
> 7月:オーストラリア シドニーの洪水で5万人が避難
> 8月:アメリカ1200年ぶりの干ばつで作物に被害
> 9月:フィリピン 台風16号の影響により、約32億円相当の農業被害発生
> 9月:パキスタン 国土の3分の1が水没する深刻な洪水被害
> 12月:アメリカ ニューヨークで大雪、24時間の降雪量の観測記録を更新
> 温暖化を抑えられれば気候危機をくいとめられる

2月:日本各地で記録的大雪

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ここ数年、日本の冬は異例の大雪や全国的な寒波に見舞われています。

2021年の末から2022年2月にかけて、日本上空に強い寒気が入り、北日本や日本海側を中心に記録的な大雪に見舞われました。

滋賀県から岐阜県にかけてと札幌市の周辺では記録的な大雪に見舞われ、岐阜県関ケ原町の積雪は観測史上1位を更新*し、長野県の山沿いでは、積雪がこの数年で最も多くなりました*

この大雪の影響により、除雪作業中の死亡事故などが相次ぎました*

3月:北インドの熱波

インドの砂漠地帯ラジャスタン州で熱波に苦しむ人々に貴重な水を運ぶ特別列車を、毎日、女性や子どもを中心に
数十人の村人が給水タンクを抱えて待っている
インドの砂漠地帯ラジャスタン州で熱波に苦しむ人々に貴重な水を運ぶ特別列車を、毎日、女性や子どもを中心に
数十人の村人が給水タンクを抱えて待っている(2022年5月11日)© PRAKASH SINGH/AFP via Getty Images

インドでは3月中旬から熱波に見舞われました。5月中旬頃は、50度近い気温を観測し*、インド全体の平均気温は、1901年の統計開始以来3月としてはもっとも高くなりました。*

今年のインドの平均降雨量は3番目に少なくなり、地元当局は何度も熱波警報を発しました*

4月:南アフリカ 土砂崩れと洪水

大雨の後、南アフリカの港湾都市ダーバンで洪水と土砂崩れにより少なくとも5人が死亡。数日間の雨がいくつかの
地域を襲い、市内の何十もの道路を閉鎖した。
大雨の後、南アフリカの港湾都市ダーバンで洪水と土砂崩れにより少なくとも5人が死亡。数日間の雨がいくつかの
地域を襲い、市内の何十もの道路を閉鎖した。(2022年4月12日)©PHILL MAGAKOE / AFP via Getty Images

南アフリカのクワズール・ナタール州では、60年ぶりとなる豪雨による洪水や土砂崩れによって広範囲にわたり街が破壊されました。

何百人もの人々が命を落とし、無数の家が破壊され、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、「気候変動の影響からコミュニティをより安全に守るために、気候適応策への投資を増やす必要があります」とコメントしました*

5月:ブラジル 大洪水と地滑りによる被害

ブラジル、ペルナンブコ州で、集中豪雨によって引き起こされた洪水と地滑りにより、ブラジル北東部で少なくとも106人が死亡した
ブラジル、ペルナンブコ州で、集中豪雨によって引き起こされた洪水と地滑りにより、ブラジル北東部で少なくとも106人が死亡した(2022年5月31日)© SERGIO MARANHAO/AFP via Getty Images

豪雨によって引き起こされた洪水と地滑りにより、ブラジル北東部で少なくとも106人が死亡しました。

ブラジル北東部では、集中豪雨によって洪水が発生し、押し寄せた水で家は破壊され、車が流されるなどしました。各地で避難指示や非常事態を宣言するまでになりました*

6月:日本 147年ぶりの猛暑を観測

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日本でも、今年の夏は連日猛暑が続きました。

東京では6月下旬に6月25日から9日連続で35度を超す猛暑日を記録しました。これは、統計開始以来、観測史上最長となりました*

また、東京以外にも高知県、愛知県、岐阜県でも35度以上の猛暑日が続き*、気象庁は、温暖化の影響によって、地球全体で大気の温度が高くなっているのが原因と指摘しています*

7月:オーストラリア シドニーの洪水で5万人が避難

2021年ニューサウスウェールズ州の洪水 数日間の集中豪雨の後、川が大洪水となり
水位は1988年4月と1990年7月の洪水時の水位に匹敵するものとなった。
2021年ニューサウスウェールズ州の洪水 数日間の集中豪雨の後、川が大洪水となり
水位は1988年4月と1990年7月の洪水時の水位に匹敵するものとなった。

シドニーでは、4日間で800ミリの雨が降り、今年3度目の洪水が発生し、当局は約5万人に避難を呼びかけました*

また、冠水した道路を走行しようとして車の中に閉じ込められたり、孤立したり、一部の食料生産地域が浸水し、野菜や果物などにも深刻な被害を及ぼしました*

8月:アメリカ1200年ぶりの干ばつで作物に被害

カリフォルニア州イサベラ湖付近
カリフォルニア州イサベラ湖付近

今年の夏は、アメリカで深刻な干ばつが問題になりました。

カリフォルニア州は全58郡で干ばつ緊急事態宣言を出すなど、2020年度と比べて15%の節水を呼びかけました*

2022年8月時点で、1億3,000万人以上の人々が干ばつの影響を受けており、2億2,900万エーカー分(北海道14個分以上の面積)の作物に被害が生じました*

国連によると、米国経済は、干ばつと関連する作物の不作により、推定2億4,900万ポンド(406億3,300万円)の損失を被りました*

9月:フィリピン 台風16号の影響により、約32億円相当の農業被害発生

フィリピン 台風によって流された家の残骸の近くに座る住民(2022年10月)
フィリピン 台風によって流された家の残骸の近くに座る住民(2022年10月)

台風16号がフィリピンのルソン島中部を襲い、住宅や道路など豪災害被害が発生し、およそ8万人が一時避難しました*

台風の発生数には、現時点では大きな変化がありません。しかし、東アジア・東南アジア地域での猛烈な台風と超大型台風の割合も2倍になっています。

9月:パキスタン 国土の3分の1が水没する深刻な洪水被害

パキスタン、シンド州ハイデラバード。モンスーンの大雨で洪水が発生し、下水道が破壊された水の中を歩く人々。
パキスタン、シンド州ハイデラバード。モンスーンの大雨で洪水が発生し、下水道が破壊された水の中を歩く人々。
(2022年7月26日) Asianet-Pakistan / Shutterstock.com

パキスタンで、国土の3分の1が水没する深刻な洪水被害が発生。食料や医薬品不足が続き、悪化する衛生環境の中で感染症まん延のリスクも悪化しました*

パキスタン政府は、被害は気候変動によるものであるとし、地球を温暖化させてきた温室効果ガスの全体の1%しか排出していないパキスタンがこのような被害に見舞われている不平等な現状を訴えました。

12月:アメリカ ニューヨークで大雪、24時間の降雪量の観測記録を更新

ニューヨーク ブロンクスで道路から雪を取り除く衛生局の車両
ニューヨーク ブロンクスで道路から雪を取り除く衛生局の車両 (2021年2月1日)
lev radin/Shutterstock.com

ニューヨーク州では、数日間にわたり雪が降り続き、180センチ以上もの積雪となりました。*一部の地区では一日で54センチ積もるなど、24時間の降雪量の観測記録を更新しました。

この記録的な大雪で事故が発生したり車は動けなくなり、各地で大渋滞が発生するなどして、ニューヨーク州知事は非常事態を宣言しました。

日本でも記録的な大雪が観測されています*。新潟県では大雪により渋滞*が発生したり2万600戸で停電*が発生しました。

温暖化を抑えられれば気候危機をくいとめられる

  

2022年も多くの命を奪い、コミュニティを破壊した異常気象。

私たちは今、1.5℃温暖化した世界にも備えることができていない状態で、2.7℃温暖化した世界に突入しようとしています。2030年までに温室効果ガスの排出量を半減できれば、気候変動のこれ以上の悪化をくいとめることができるかもしれません。

危機的な状況が自分の身にも迫っているということを一人でも多くの人が知り、行動するときです。時間はあと7年しか残されていません。

省エネとエネルギーの効率化を進めつつ化石燃料から再生可能エネルギーへシフトし、温室効果ガス排出量の多い食物消費システムを見直し、森林を保護し、少数の人々の私欲ではなくすべての人々のニーズを満たす未来のために、すべての人に果たせる役割があります。

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