毎日エコバッグを持ち歩いたり、マイボトルを使ったり……自分のできる範囲でエコな行動を続けたいし、できればもっと取り入れたい。でも、ほかにどんな方法があるんだろう?

そんな声をよく耳にします。

日々の衣食住からアウトドアやレジャーまで、私たちの暮らしの中で簡単に取り入れられるエコな行動は、実は思っている以上にたくさんあります。

グリーンピースの「エコなくらし 実践ガイド」は、環境に配慮した選択を日常生活のさまざまなシーンごとに紹介しています。みなさんのエコな行動のヒントとして使っていただけます。

あらゆる物がすぐに手に入り、便利なサービスであふれている現代社会で、どうすれば無理なく、環境に優しい行動ができるのでしょうか。

現代の生活様式がまねく環境問題

人間活動が地球環境に与える負荷を示す指標「エコロジカル・フットプリント」によると、私たちのいまの暮らしは、地球1.8個分の資源を使い果たしていることになります。*このまま資源消費を続ければ、地球の資源はいつか枯渇してしまうのです。

現代の生活の何が問題なのでしょうか。「エコなくらし 実践ガイド」に載せたトピックの背景を見ていきましょう。

Greenpeace Malaysia has been conducting a field investigation on the broken system of recycling and how it impacts Malaysian society. The findings were shocking: a new ‘dump site’ of plastic waste from more than 19 countries -- most of them are developed countries. The investigation found illegal practices, and blatant violations causing environmental pollution as well as harming people’s health conditions.

Since China banned plastic waste imports in January 2018, countries in Southeast Asia - particularly Vietnam, Thailand and Malaysia - have accepted an increased amount of plastic waste. Between January and July 2018 alone, Malaysia imported 754,000 metric tonnes of plastic -- the weight of approximately 100,000 large elephants. It came from countries like the United States, Japan, UK, Australia, New Zealand, Finland, France, Belgium, Germany, Spain, Sweden and Switzerland.
生態学的赤字はどんどん累積している

食肉消費と食品ロスの大きな影響

世界における食料生産は、年間約137億トンの温室効果ガス(二酸化炭素換算)を排出しており、これは世界の温室効果ガス総排出量の26%を占めています。中でも牛肉生産で大量のエサや水を必要とし、メタンを発生する畜産が最も多く、14.5%を占めています。

グリーンピースの研究チームは、日本人1人が1日肉を食べなければ、約1.4キログラムの二酸化炭素(CO2)排出量を減らせると算定しています。日本人全員が1日肉を食べないとすれば、約18万トンものCO2を削減できるのです。これは非常に大きな数字です。

また、誰でも一度は「食べ物を無駄にしてはいけない」と言われたことがあるでしょう。この言葉は生産者への感謝の気持ちを育む以外にも、重要なポイントを秘めています。実際、食品廃棄物は気候変動の一因となっており、異常気象は世界中の人々に影響を与えているのです。

政府による推計では、日本では年に472万トンの食品が廃棄され、その半分は家庭から出たものです(2022年)。*こうした食品ロスによる温室効果ガス排出量は年間1,046万トンに上り、1人当たりでは83キロの温室効果ガス*が食品を捨てることから排出されていることになります。

つまり、肉の消費を減らし、食べ物を無駄にしないことで、地球への負担を大きく減らすことができるということです。

食品ロスはもったいないというだけでなく、地球環境にも悪影響を及ぼします。

交通インフラは化石燃料依存で排出量が多い

世界の石油消費の約6割は、輸送部門で使わ用されています。特に自動車は、エンジンを動かすためにガソリンなどの化石燃料を燃焼し、大量の温室効果ガスを排出しています。世界全体の温室効果ガス排出量のうち、約23%は輸送部門から発生しているのです。

ガソリンを使わない電気自動車の普及は進みつつあるものの、充電に必要な電力は依然として石炭や石油、天然ガスを燃焼する火力発電所で発電されています。交通システムの脱炭素化を実現するために、持続可能な再生可能エネルギーの推進は喫緊の課題です。

もちろん、私たちが暮らしの中に手軽に取り入れられるエコな選択もあります。

・短い距離の場合は徒歩もしくは自転車を使い、長距離の場合は電車などの公共交通機関を優先する

・車移動が必要な場合はライドシェアサービスの利用や知人同士での相乗りを検討する

・輸送の必要があるオンラインショッピングや食品の配達サービスは最低限の利用に抑える

移動手段を選ぶ際、「環境」という視点をぜひ追加してみてください。

暮らしの中で取り入れやすいエコな移動手段には、短距離の場合は徒歩や自転車、長距離の場合は公共交通を優先することがあげられます。車での移動では、相乗りやライドシェアを活用し、配達サービスの利用は必要最小限に抑えるなど、いろいろ工夫してみましょう。

Various shots of traffic in Birmingham city center, including details of car exhaust pipes in stationary traffic around the city.
日本国内の二酸化炭素総排出量の約2割を占めるのが運輸部門。そのうち約半分は自家用車からの排出です。

自然界と生きものに悪影響をもたらすプラスチック

世界のプラスチック汚染もまた大きな問題です。統計によれば、毎年約1,200万トンのプラスチックが海に流入し、これは毎分ゴミ収集車1台分が流れ込んでいる計算になります。プラスチックは分解されず、紫外線や波、風などの影響で小さな粒子(マイクロプラスチック)に砕けていきます。そして水や大気中に拡散し、海の生きものや私たちの体内にも取り込まれるため、健康への影響が懸念されています。

そうは言っても、いまの社会でプラスチックを使わないことは難しいと思われるかもしれません。日常生活の中で使い捨てプラをできるだけ避けたり、容器のリユースサービスをしているお店を選んだりすることも、プラスチックフリー社会に向けて私たちができることの一つです。

A tourist walks along a beach covered in piles of debris and plastic waste in Canggu, Bali, Indonesia.
日本のカフェ、ファーストフードチェーン、コンビニエンスストアでは年間39 億個のプラスチックカップを消費しています。

捨てられやすいファストファッションの環境汚染問題

新しい服を買う前にほんの数分留まって、考えてみてください。

その服は本当に必要ですか? 似たようなアイテムをすでに持っていませんか? 広告や割引惑わされていませんか?

ファストファッションが普及し、低価格の服が増えたことで、現代人は服を捨てることへの抵抗が少なくなっています。しかし資源の浪費や環境汚染は、目に見えないコストとなっているのです。

・ジーンズ1本を生産するには7,000リットルの水が必要
・Tシャツ1枚を生産するには約2,700リットルの水が必要
・毎年、世界中で800 億点以上の衣類が生産され、最終的にその4分の3が廃棄されている

アパレルおよびフットウェア業界は、世界の温室効果ガス排出量の8%を占めており、増加し続けています。次に買い物をするときはぜひ、その商品が本当に必要かどうか考えてみましょう。

不要な買い物をしないこと以外にも、モノを長く使い続ける、服を捨てずに寄付する、リサイクルショップを活用するなど、できることはたくさんあります。

Freddy, a man who lives in a nearby squat looks for used clothes discarded in the Atacama desert, in Alto Hospicio, Iquique. Chile.
買う量を減らし、より良いものを選び、長く使うことが大切です。

「エコなくらし 実践ガイド」暮らしの小さな変化から始めてみよう!

世界で起きている環境問題の深刻さに直面すると、その規模の大きさに圧倒されてしまうかもしれません。けれども私たちが日常の小さな行動を積み重ね、その行動が多くの人に広がっていくことで、必ず未来を変えることができます。

エコな暮らしのヒントがたくさん詰まったガイドブックは、以下からダウンロードできます。ぜひこのガイドブックを見て、エコな選択肢について家族や友だちなど周りの人と共有し、地球環境を守るための行動を共にしていきましょう!