2025年夏の第27回参議院議員選挙は、7月3日公示、7月20日投開票。今回の選挙で決まる議員の任期は6年。 つまり、気候危機を回避するために決定的に重要な2030年までのラストスパートを託すことになります。

夏の国政選挙で選ぶ、参議院議員にできる5つのこと

1. 長期ビジョンで動ける

6年の任期だからこそ、2030・2050年を見据えた政策にじっくり取り組めます。 政権が変わっても、気候政策の継続を支える存在に。

2. 予算も法案もチェックできる

「良識の府」として、政策の中身を精査できるのが参議院。 お金の使い方や法律の案がほんとうに良いかどうかをチェックます。

3. 衆議院にブレーキをかけられる

参議院は“見直し・修正”の舞台。 衆議院で通った法案に欠陥があれば審議のやり直しを求め、実効性ある形へ。

4. 多様な声をつなげる力がある

参議院には無所属や専門家出身の議員が多く、視点が多様。若者や、人権団体、環境団体など多様な市民社会とつながりやすい。

5. 国際約束を見張る役割も

パリ協定やG7での公約など、国際的な約束を国会から監視。 「約束を守れ」と声を届ける立場にもなれます。

気候公約に本気な候補者「チェックリスト×5」を投票前に確認

写真:Shutterstock.com

候補者のSNSや演説、政策をチェックしよう! 全部クリアじゃなくても、「3つ以上」なら注目候補!ですよ。

気候変動、地球温暖化対策強化に言及している?

猛暑や台風の激甚化や水害などに触れ、気候変動について説明していたり、屋根置き太陽光や風力発電などの再エネ拡大や、建築物の断熱強化などの対策強化が書かれているかをチェック

「持続可能な」やり方での再生可能エネルギーを推進している?

再生可能エネルギーの推進をしている場合、その開発・利用は、地域の生物多様性や景観、地元の農業・漁業などに配慮し、住民の合意を得られる「持続可能」性を重視しているかチェック

気候危機の被害をより受ける若者の声に耳を傾けている?

現在「若者」である人たちは、50年先の、気候危機が深刻化した地球を生きる「当事者」になります。そうした若者の声を聞く姿勢を示しているかチェック

脱原発・脱化石燃料を進めている?

事故の危険性があるだけでなく、コストも高くつく原発や、二酸化炭素を大量に排出する化石燃料による発電からの脱却を明確にしているかチェック

あなたの声を聞いてくれる?

いま、完璧な政策を示していなくても、あなたの声を聞いてくれる候補なら、これから、気候対策の強化や、脱原発・脱化石燃料を進めてくれるかもしれません。

各政党・候補者の政策内容を確認してみよう

現在、参院選が行われる全国各地で「選挙公報」が配られ始めています。選挙公報には、候補者の氏名や経歴、そして「これに取り組みます」「これを重視します」という、その候補者や政党の意見や見解が掲載されています。

各家庭の郵便受けにも届けられますが、期日前投票所や市区町村の施設、駅の広報スタンドなどにも置かれていますので、まずは手に取ってみましょう。

選挙公報以外にも、各分野・テーマにおいて各政党・候補者がどう考えているかをチェックすることができるまとめサイトなどがあります。

以下に、政党や候補者の政策比較などができるサイトをいくつかご紹介します(順不同)。
その中で「環境」や「エネルギー」などの項目が、特に気候変動対策と関わる部分です。もちろんそれ以外の項目にも目を通してみましょう。

政党や候補者一人ひとりの考えを知りたい方は:

どの政党や候補者が自分にマッチするか知りたい方は:

その他、政治・選挙全般について学びたい方は:

まとめサイトはとても便利ですが、これらのアンケートやマッチングでは「気候変動対策についてどう考えているのか」を詳細に把握するのは難しいと思います。そこで、グリーンピースをはじめ、複数の環境NGOや専門家のみなさんと一緒に作ったチェックポイントをご紹介します!

気候変動対策の重要項目 チェックポイント×4

福島県三春町のコミュニティショップ「エスペリ」の屋上にソーラーパネルを設置する作業員(2016年)

候補者や政党が、どのような気候変動対策を考えているか、下記のポイントを踏まえて調べてみましょう。もし調べてもわからない場合は、選挙事務所に電話して聞いてみたり、街頭で演説している時などに、本人やスタッフの方に質問してみたりしましょう。

以下のチェックポイントが「難しい!」と思ったら、「気候変動対策についてどのようにお考えですか?」「再生可能エネルギーの拡充については、どうお考えですか?」「1.5度目標に向けてどのような対策をしていきますか?」など、シンプルな問いかけでももちろん大丈夫です。

1)再生可能エネルギーの拡充は推進する?

日本の化石燃料の輸入金額は2022年に34兆円*にまで上昇しており、経済合理性やエネルギー安全保障などの観点から国産エネルギーの重要性が高まっています。気候変動対策においても、国産エネルギーにおいても期待の高い再生可能エネルギーの拡充について、将来に向けてどのようなビジョンを描いているのか、調べたり質問してみたりしてみましょう。

質問例文:
「日本政府が定めている第6次エネルギー基本計画における再エネ目標(つまり2030年度の再生可能エネルギー電源構成比率「36%〜38%」*)が達成されない恐れが指摘されています。将来に向けて、再生可能エネルギーの普及を加速させるべきだと思いますか?」 

2)新築の建物の太陽光パネルの設置標準化は推進する?

再生可能エネルギーのうち、太陽光発電の推進にあたっては、住宅やその他建築物の屋根への設置はポテンシャルが高く、今ある技術で進めることができます。そのため一部の地域では、「設置標準化」が先行しています。屋根置き太陽光発電は、電気を各家庭や地域で地産地消でき、地域でお金を循環させることにつながります。設置標準化を日本全国に展開していく必要がありますが、その是非を質問してみましょう。

質問例文:
「東京都や神奈川県川崎市などの自治体では、新築建築物への太陽光パネル設置標準化が進んでいますが、日本政府としても全国で新築建築物への太陽光パネル設置標準化を推進すべきだと思いますか?」 

屋根置き太陽光発電について詳しく知りたい方はこちら↓

3)省エネの要! 建築物の断熱は推進する?

再生可能エネルギーの推進と同時に、エネルギーの需要そのものを減らす省エネルギーの推進も急務です。日本では特に、建築物の断熱が先進諸国の中で遅れており、新築・既設ともに断熱を進める必要があります。さらなる断熱等級の基準引き上げや省エネルギーの推進について、質問してみましょう。

質問例文:
「建築物省エネ法の改正により、2025年4月以降に着工する原則すべての住宅・建築物に省エネ基準適合が義務付けられます*。さらなる建築物の断熱等級の基準引き上げなど、省エネルギーの推進に賛成しますか?」 

なぜ断熱を推進する必要があるの?詳しくはこちら↓

4)温室効果ガス削減目標(2030年・2035年・2040年)はどう考えてる?

急速に進行する地球温暖化を食いとめるためには、2050年カーボンニュートラルの達成だけでなく、より早期に温室効果ガスの削減を進めることが急がれます。

昨年開催された気候変動に関する国際会議「COP28」において、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて1.5度未満に抑えるためには、世界全体で2035年までに温室効果ガスを60%削減する必要性が認識されました* 。日本は、世界第5位のCO2排出国* であることや、省エネ再エネの技術を持っている点、気候正義(注1)の観点などを踏まえても、この60%より高く、野心的な目標を掲げる必要があります。

注1:気候正義…すべてのステークホルダーにとって公正かつ平等な方法により、気候変動の被害や対策による負担・利益を、歴史的な排出量なども踏まえて共有し、持続可能な社会への移行を目指す考え方。

政府は2030年の削減目標を公表していますが、この目標についてどう考えているか、そして現在議論されている次期目標(2035年、2040年の目標)について日本政府はどのようなビジョンを示すべきかについて、質問してみましょう。

なお、1.5度目標のためには、日本は​​2030年までに60%以上削減する必要がありますが、詳しくは「【解説】なぜ、2030年までにCO2を60%以上削減しなければならないのか」をご覧ください。

質問例文:
「日本政府は、『2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けること*』を定めていますが、これを十分だと評価しますか?」 
「現在、次期目標として議論されている2035年や2040年の温室効果ガス削減目標について、何%を目標に掲げるべきだと考えますか?」

7月投票日までにできるアクション、いくつ知ってる?

チェックリスト確認したら(してなくても)ダイレクトアクション!候補者に直接コミュニケーションしてみましょう。

まず候補者と公約について調べてみよう

候補者選びはスマホひとつでできます。まずウェブサイトを見てチェック。気候変動についての言及があれば要注目です。身近な地域で、未来を一緒に考えてくれそうな人を見つける第一歩です。

見るべきポイントは…

  • 候補者がどんな人なのか
  • これまでの取り組み
  • 当選したら何をしてくれそうか
  • 気候に関することが書かれていたらその内容

    自分の地域にはどんな政策を考えている候補者がいるかを知るきっかけにもなります。気になる候補者が見つかるかもしれません。

  

候補者に会って話しかけてみよう

気候変動についてウェブに何も書いてない……そんなときは直接聞いてみるのもアリ。駅前などで候補者に出会ったら、「気候変動についてどう考えていますか?」と一言。SNSのDMやWEBの問い合わせフォームでもOKです。それまで気候変動について考えたことのなかった候補者でも、有権者の声で関心を持ってもらえます

  

選挙について話題にしてみよう

選挙や投票のこと、気候の話を友達や家族と話してみるだけでもアクションになります。SNSでちょっとつぶやくだけでも、同じ気持ちの人とつながったり、誰かの背中を押すかもしれません。誰だって誰かのインフルエンサーですから。まずは「話す」ことからはじめてみましょう。

  

候補者の応援をしてみよう

応援したい人が見つかったら、ちょっとだけ勇気を出して応援してみませんか?ポスター貼りやチラシ配り、SNSでの投稿など、できることはたくさん。仲間もできるし、気候危機対策に本気な人を当選に近づける一歩になります。

選挙ボランティアの内容例…

  • ポスター貼り
  • 証紙貼り
  • チラシ配り
  • はがきの送付
  • 電話かけ

応援するに際して、できないこともあるので注意!
・電子メールで特定の候補者への投票を依頼する(ただし候補者本人はOK)
・投票日当日に、特定の候補者への投票を依頼する
※18歳未満は特定の候補者への投票依頼はできません(「投票に行こう」などの呼びかけはOK)。

  

夏の国政選挙、投票に行こう

候補者について調べた結果、理想通りの候補者が見つからなかったとしても、何よりも投票することが大事です。ベストではなくても、ベターを選ぶようにしましょう。棄権したり白票を投じるより断然いいです。

あなたの1票が、気候変動をとめる大きな一歩になるかもしれません。今回当選した候補者は、4年もの間議員を務めることになります。その長い期間で気候変動に対して何か行動してくれる候補者を見つけましょう。

また投票したあとは家族や友人に投票を促したり、ぜひSNSなどで投票したことを発信しましょう。#選挙でとめる気候危機#投票したよ というハッシュタグをつけて投稿する、または #投票したよ と発信しているインフルエンサーのSNS投稿をシェアしてみてください。
あなたのフォロワーさんに「そういえば選挙だったな、投票してこよう」と思ってもらえるきっかけになります。(投票当日は特定候補者への投票依頼はできません)

選挙後にできるアクション

当選した議員は、気候対策を形にしていく役割を持っています。思いや要望を伝えて、本気の気候危機政策を求めましょう。やり方がわからなくても大丈夫。ゼロエミッションを実現する会に参加すれば、思いを共にする仲間と一緒に行動できます。

ゼロエミッションを実現する会

毎週土曜9:00〜9:45、Zoomでオリエンテーション実施中。お気軽に参加してみてください!

議員への要望と並行して、SNSで継続的に発信することが、より多くの人の気候変動への関心を高めることにつながります。ぜひ、以下のようなアクションもトライしてみてください!

  • 政策の監視:当選した議員の気候政策への取り組みをSNSで発信・シェアする
  • 仲間との連携:「#選挙でとめる気候危機」で継続的につながり、情報交換する
  • 次の選挙に向けて@zeroemi2050の投稿をシェアして、気候対策の重要性を広め続ける
  • 地域の取り組みを発信:自分の住んでいる地域での気候対策の進捗や課題をSNSで発信する

おわりに

選挙は、大人たちだけのものじゃない。

未来を生きる若者の声、声を出せない動物たち、一票を投じる権利を持たないすべてのひとたちのもの。

この夏、未来世代のために、 “気候対策に本気な参議院”を一緒につくりましょう。

あなたのアクションが、未来を守る力になります。