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元原発作業員の方からの声を受けて・・・   誤解を招く表現をお詫びいたします

写真:2007年7月26日配信のグリーンピース・メールマガジン

みなさん、こんにちは。エネルギー担当関口です。

今日はグリーンピース・ジャパンが以前発表したメールマガジンの表題に誤解を招く表現がされていたことに関しての、お詫びをさせてください。

 

きっかけは今年3月のはじめ

グリーンピース・ジャパンのサポーターさんの窓口宛に、とある方からメールが届きました。2007年の新潟県中越沖地震の直後に、東京電力の柏崎刈羽原発で下請け労働者として働いていらした方からでした。

地震発生直後、柏崎刈羽原発では放射能に汚染された水が漏出するという事故が発生しており、この方も被ばくを余儀なくされるような環境での作業を求められ、健康を害されたこと、結果として仕事を失ったことなどが綴られていました。 

写真:柏崎刈羽原発全景

 

[Greenpeace]臨時増刊号 柏崎刈羽原発での放射能測定調査〜

人体への深刻な影響がないことを確認』(2007年7月 26日)

このようなタイトルで配信されたグリーンピース・ジャパン発行のメールマガジンを目にされて、この元作業員の方は、あたかも放射能漏れによる人体への影響が皆無であるかのような印象を与える表現にとても心を痛めていらっしゃいました。

記事自体は、原発敷地外の限られた周辺地点で測定した放射線濃度調査の結果、この調査実施時点では周辺住民へ強い影響が出るレベルにないことを伝えたものでした。

 
写真:柏崎刈羽原発敷地外での放射線量調査の様子

タイトルを見る限り、そこには敷地内・外の区別や対象者、時期の限定はありません。図らずも放射能漏れによって人体への影響が全くないかのように受け取られる可能性がある表現であったことは否めません。

また、「現時点で周辺住民には深刻な影響はない」という時、そこに原発で作業する方々への配慮が欠けてしまっていたことも、触れずに終えることはできないことでしょう。

 

今回ご連絡くださった元作業員の方が過ごしていらした日々の苦しさには、想像もつかない痛みがあることでしょう。実際、当時の現場には、深刻な影響が懸念されるような環境での作業に従事せざるを得ないような現実があったそうなのです。

写真:フェンスに隔てられた柏崎刈羽原発

 

柏崎刈羽原発事故当時

2007年の中越沖地震の際、柏崎刈羽原発では原子炉緊急停止、火災、放射性物質の空気中への放出などが続き、使用済み核燃料プールから放射能に汚染された水があふれ出たことなどが報じられています。 

元作業員の方は、原発敷地内ではあっても、「放射線管理区域外」とされる地下のトンネルのようなところで、防護マスクも無しに、どこからともなくあふれ出して溜まった得体のしれない水を、素手でバケツに汲んでは撒くよう指示されたと言います。当時詳しい説明はなく、今でもその水が何だったのかは分からないままだそうです。漏出した放射性物質を含む水であったかどうかも不明なままです。

もし仮に、放射性物質が水に含まれていたのだとしたら、撒いた水が蒸発して無くなっても、放射性物質はそのまま地面に残り、送風機の風などで巻き上げられて作業員の体内に直接取り込まれていった可能性もあるでしょう。

そして今、この方は心臓疾患や片目の完全失明といった症状に見舞われているという現状を訴えています。

 

写真:原発のない明日へ

 

 原発のない明日へ

今回いただいたご指摘を通して、私どもの不適切な表現を正す機会をいただきましたこと、またうかがったお話を通して改めて原発が強いる犠牲の大きさについて考え、そして感じ直す機会をいただきましたことを、感謝いたします。

改めて、私たち自身、自らの姿勢を問いなおす思いで、お送りいただいたメール、お話をうかがった時の受話器からのお声を想い起こしています。

 

今回のことは、8年前の2007年の発行物について2015年3月に頂戴したご指摘でしたが、当時の誤解を招く表現を心からお詫びいたします。

事故時はもとより、通常運転時でも、原発は常に労働者に被ばくを強います。原発のない明日を実現するために、みんなでともに力を合わせていきましょう。

放射能の恐れのない世界を実現する一歩としてグリーンピースでは、「とめよう再稼働オンライン署名」に取り組んでいます。ぜひご署名、そして拡散をお願いします。