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飢えで命を落としたクジラ、実はあるものでお腹がいっぱいだった?

 
こんにちは、海洋生態系担当の岡田です。
まだまだ寒い日が続いていますが、みなさん、如何おすごしでしょうか?

ショッキングなことに、下の写真のアカボウクジラ、飢えにより弱って、命を落としてしまいました。原因は、わたしたちの生活にとても身近なものだったんです。

 

クジラの胃から、なんと30袋以上のビニール袋が見つかる

このかわいそうなクジラは、ノルウェー西部の浅瀬に何度も入り込み、非常に衰弱していたことから安楽死させられたのですが、その胃からなんと30以上のビニール袋やその他のプラスチックゴミが出てきたのです。

解剖分析をしたノルウェー・ベルゲン大学の研究者によると、プラスチックごみによって腸が塞がってしまって、相当な痛みを引き起こしていたと考えられています。

クジラは異常なほど衰弱しており、脂肪もほとんどなく、栄養失調状態だったということです。

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4185038/A-whale-30-PLASTIC-BAGS-stomach.html(英語原文)

 

野生動物を苦しめるプラスチックごみ

クジラをはじめ、多くのウミガメ、イルカ、水鳥などの動物たちもプラスチックを誤って食べてしまうことにより、命を落としています[1]。

親鳥がヒナにプラスチックを誤って餌として与えている例もあり、野生動物にとって、本当の餌とプラスチックごみを識別することは困難なようです[2]。

誤って食べてしまったプラスチックは、生物分解されるものではありませんので、体外に排出されなかったものは、消化ができずに胃腸に溜まっていきます。

胃腸に溜まると、動物は満腹であると錯覚を起こし、このクジラのように、栄養失調の末に死んでしまったりします。

また誤食しなくても、プラスチックごみに絡まって窒息したり、怪我をしてそれが致命傷となって命を落とすケースも多々、報告されています[3]

海に浮遊するごみのほとんどはプラスチックごみで、その犠牲となっている海洋動物の種類は、267種にも及びます[1]。 

プラスチック製のレジ袋、海外と日本の年間使用量の比較

EU加盟国における1人あたりのレジ袋の平均年間使用量は198枚です。
ここで皆さんに質問です。日本に暮らす人の使用量は何枚だと思いますか?

その数、なんと1年間で1人平均約420枚だそうです[4]。EUの2倍以上です。
日本でも、レジ袋が有料化されているスーパーや、レジ袋削減のための政策のある市や県もあります[4]。ですが、2014年までの過去8年間の使用量は、若干減少してきているものの、ほぼ横ばい状態が続いています[5]。
海外で進む、プラスチック製レジ袋の廃止
イタリアでは2010年から[6]フランスでは2016年7月から[7]環境への影響を配慮し、使い捨てプラスチック製レジ袋の使用が法律で全面禁止となりました[6]
2020年の1月からは、フランスの規制はレジ袋だけでなく、プラスチック製の使い捨て食器にも拡大されます[8]。これは世界初の動きです。
早くから規制を開始したデンマークやフィンランドでは、年間使用量、なんとたったの4枚だそうです[9]
アジアに目を向けると、お隣の中国韓国台湾でも国の法律レベルでの規制が設けられています[10]。その内容は国により差異がありますが、国民のほとんどがレジ袋規制を支持しているという調査結果があります[10]

これ、本当にすぐ変えられます。

日本で今の形に開発され特許が取られたこのレジ袋、たくさんのスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどで日々、惜しげも無く使用されています。ガムやチョコレートなどの小さい商品ひとつでもレジ袋に入れないと、かえってサービスが悪いと受け止められる風潮も、まだ残っているように見受けられます。

でもこれ、本当に必要なサービスなのでしょうか? 

お菓子一つ、薬箱一つくらい、手持ちのカバンに直接入れても良いのではないでしょうか?

ランチ用にお弁当やパンを買いにいくのにも、会社にマイバッグを常備してそれを持って行けば、レジ袋を使用せずにすみます。仕事帰りにスーパーに寄る時も、通勤カバンにマイバックを忍ばせておくことで解決できますよね。


確かに、慣れないうちはマイバックを忘れてしまったり、少し面倒臭いと感じるかもしれません。それに、自分だけがしても・・・と思う人もいるかもしれません。
私も習慣になる前はマイバックを忘れてしまったこともありました。
でも今では、使用済みのレジ袋で狭いキッチンの棚や引き出しが占領されることもなく、空いたスペースを有効活用でき、とてもポジティブな気持ちにもなれます。
小さな努力でも、みんなですればとても大きな力になります。そして一人ひとりが続けていくことで、生態系を守る、資源を守るための大きな力となります。
今日から一緒にレジ袋要りません、始めてみませんか?

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引用文献:

1. Laist, D. W., (1997). Impacts of marine debris: entanglement of marine life in marine debris including a comprehensive list of species with entanglement and ingestion records. In: Coe, J. M. and D. B. Rogers (Eds.), Marine Debris — Sources, Impacts and Solutions. Springer-Verlag, New York, pp. 99-139

2. California Coastal Commision

https://www.coastal.ca.gov/publiced/marinedebris.html

3. 一般社団法人 Japan Environment Action Network

http://www.jean.jp/m-litter/matter02.html

4. Japan For Sustainability

http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id027411.html

5. 経済産業省 平成27年度地球温暖化問題等対策調査

https://www.greenpeace.org/japan/wp/wp-content/uploads/2018/12/17bb053a-17bb053a-000694.pdf

6. CNN Online News

http://edition.cnn.com/2010/WORLD/europe/12/31/italy.plastic.bags/

7. 日本貿易振興機構(JETRO)

https://www.jetro.go.jp/biznews/2016/04/d5e9eacf8467d701.html

8. CNN Online News http://www.cnn.co.jp/world/35089279.html

9. Earth Policy Institute

https://www.greenpeace.org/japan/wp/wp-content/uploads/2018/12/38a52bdd-38a52bdd-plastic_bags.pdf

10. Earth Policy Institute

http://www.earth-policy.org/plan_b_updates/2014/update123