【世界の事例】日本でもできる!プラスチックや使い捨てごみ問題を解決する「リユース」の仕組みとは?
プラスチックごみの問題は、さまざまなところで聞くようになりましたよね。このブログでは、そもそもの問題は何なのか、解決に向かうためには、どんな取り組みが必要なのか、世界の事例をご紹介しながら、解説します!
どうして「削減」が必要なのか?
1. 海に流れるプラスチックごみが2倍に
1分間にトラック1杯分のプラスチックごみが海に流れ出ている、と言われています。海洋に流れ出てしまったほとんどのプラスチックごみは、一度しか使われない「使い捨て」プラスチックのごみと言われています。今、プラごみ問題への意識の高まりを受けて、世界の企業や政府がさまざまな取り組みを進めていますが、仮にそうしたリサイクルなどの「対策」が上手くいったとしても、2040年には今の2倍以上のプラごみが海へ流れ出てしまうという衝撃的な報告があります*1。
2.リサイクルは解決策じゃない
これまで、世界で生産されたプラスチックの90%以上はリサイクルされていません。日本では、プラごみの「リサイクル率」は85%と発表されていますが、約6割は燃やされています*2。燃やして熱を回収することを「リサイクル」としているのですが、これは多くの国ではリサイクルとはされていません。回収されてもほとんどが燃やされています。しかも、そもそもごみの総量が多すぎて、リサイクルを向上させていくだけではプラスチックごみ問題解決への効果はとても限定的。根本的な解決にはなりません。
3.プラごみは輸出されている
日本は世界トップ3に入るプラごみの輸出国です。2017年末までは中国に送られていましたが、中国がプラごみの輸入を禁止からは、マレーシアなどの東南アジアを中心に輸出されています。2019年に日本からマレーシアへ送られたプラごみは、26万トンにも及びます。これら先進国から輸出されるプラごみは「リサイクル名目」で送られていますが、実際にはリサイクルに適さない「汚れたプラスチック」が多く含まれており、違法業者などによって投棄されたり、野焼きや管理の行き届かない焼却されていることがわかっています(詳しくは下記のプレスリリースをご覧ください)。これによって、深刻な環境汚染や健康被害を引き起こしています。プラごみ問題は、輸出大国に住む私たちが、解決しなければいけない問題です。
そもそもの問題は「使い捨て」
私たちは今、買う・使う・捨てる・また買う…という「使い捨て社会」の中で暮らしています。この「使い捨て」を減らし、繰り返し何度も使用できるリユース・リフィルの仕組みを整えることで、本当の意味でプラスチック問題を解決させていくことができるのです!
解決策、リユース・リフィルとは?
リユース・リフィルとは、新しいものではありません。例えば、牛乳瓶やビール瓶は、回収・洗浄して何度も繰り返し使われていますよね(リユース)。それから、ラーメン、お寿司なども店内用の容器で自宅まで届けてくれて、使用後はさっと洗って、家の前に出しておくとお店の方が回収してくれるサービスがありました。今でもこのサービスが残っている地域もあります(リユース)。それから、酒やお味噌なども、自分の容器を持っていって、中身だけ購入(リフィル)することができるお店もあります。
こうしたすでにある仕組みに、IoT(Internet of Things)と呼ばれる、モノのインターネット(様々な「モノ(物)」がインターネットに繋がれ、モノ自体がインターネットのように情報交換することにより相互に制御する仕組み)などを活用して、さらに便利に、かつ、サステナブルに暮らせる社会にしていくことができるんです!
世界、日本の事例をご紹介!
1.自分の家でリフィル(詰め替え)するモデル
米国のBlueland(ブルーランド)は、石鹸や洗剤などを固形タブレットで販売。自宅にある容器にタブレットと水を入れて使用するタイプのものや、そのまま洗濯機に投入して使用するタイプのものなどがあります。中身だけをリフィルでき、プラスチックの容器ごみが出ません。しかも、固形タブレットは小さく、家での保管もスペースを取らないのは嬉しいですね。
米国のBevi(ベビ)は、オフィスなどで、好きな飲み物をマイボトル(自分の容器)で中身だけ購入することができます。自動販売機の代わりにBeviの販売機があったら、容器を使い捨てずにいろいろな飲み物が楽しめます。
2.外出先でリフィル(詰め替え)するモデル
チリのAlgramo(アルグラモ)は、お店や移動販売で洗剤や食品などを量り売りで販売。自分の好きな容器や、RFIDチップが入った専用の容器(容器で支払いができる!)で中身を必要な分だけ購入することができます。使い捨て容器の削減になりますし、必要な分だけ買えるのがいいですね。
イギリスのWaitrose(ウェイトローズ)では、UNPACKEDと銘打ったプラパッケージなしのコーナーがあり、洗剤、お酒、小麦などを量り売りしています。もちろん、野菜・果物などもプラパッケージなし。家でご飯を楽しむことが増えて、ごみが増えてしまった…なんて悩みもなくなります。
3.自宅で返却できるモデル
米国のLoop(ループ)は、リユースできる容器を使用して、食料品、化粧水やシャンプーなどのセルフケア用品、洗剤などのホームケア用品を購入できるプラットフォームで、牛乳瓶配達の仕組みをもとにつくられました。そして、なんと3月から東京でもより本格的な実証実験を開始します!
イギリスのDabbaDrop(ダッバードロップ)は、リユースの容器で食事を配送してくれる、登録式のサービス。定期登録をすると、自分で設定した日時に食事を配達してくれて、次回の配達の時に容器を回収してくれます。ウーバーイーツのような便利さと環境配慮を兼ね備えていますね。日本、特に都市部では、すぐにでもできそうな仕組みです。
4.外出先で返却できるモデル
米国のVessel Works(ベッセルワークス)の仕組みを導入したカフェでは、返却式のステンレスタンブラーでコーヒーやラテが購入できます。手ぶらでカフェに行き、カフェで好きな飲み物を注文。利用者は飲み終えたタンブラーを回収ボックスにそのまま返却し、タンブラーは回収・洗浄され、再使用されます。グリーンピースでは、スターバックスコーヒーへ、この「返却式リユースカップの取り組みを、日本でも広く導入して欲しい」という声を届けるキャンペーンを行っています。詳しくは、このブログの末尾をご覧ください。
イギリスのRePack(リパック)は、返却式の包装で、開封後は包装をポストへ入れて返却。以前よりもオンラインでの購入が増えて、部屋にパッケージのごみが山積み…なんてことがなくなります!
参考レポート『Reusabls are Doable 2020』(グリーンピースUSA発行)
一人ひとりができること
世界では、こんなに多くの使い捨てない「リユース」の仕組みづくりが始まっています。ごみを出さないだけではなく、私たちの暮らしがよりスマートになるようなものばかりで、とっても魅力的だと思いませんか?
もっとたくさんの方がこんな取り組みがあることを知って、企業に伝えることで、使い捨てない社会をつくっていくことができます!