【世界の事例】リユース&リフィルで使い捨てプラスチックから脱却できる
この投稿を読むとわかること
リユース(再利用)やリフィル(詰め替え)のビジネスモデルが世界各地で徐々に広まってきていますが、政策や法律を通じてこうしたモデルを産業界や地域社会全体で迅速に拡大する時期に来ています。世界各地で報告されている、使い捨てからリユースへの移行の流れを作る政策変更や法改正の事例を紹介します。 |
世界中の何百万もの人々が声を届け続けた成果が世界中で出てきています。
プラスチック汚染の危機に対処する唯一の方法は、使い捨てない「リユース」システムへの移行であることを、各国政府はようやく認め始め、動き始めているのです。
リユース(再利用)やリフィル(詰め替え)のビジネスモデルが世界各地で徐々に広まってきていますが、政策を通じてこうしたモデルを産業界や地域社会全体で迅速に拡大する時期に来ています。
世界各地で報告されている、使い捨てからリユースへの移行の流れを作る政策事例を紹介します。
オーストリア:欧州初!飲料パッケージのリユース率を25%へ
2021年11月、オーストリアは、廃棄物管理法*1の中で、2025年までに飲料のリユース率を25%とすることを義務付け、法的拘束力のあるリユース目標を実施した欧州初の国となりました。
この法律は、特定の飲料カテゴリーに対して、10%から15%の範囲でリユース可能なパッケージの最低割当量を設けることを義務付けています。
つまり、スーパーマーケットはビールや水の15%以上をリユース可能なパッケージで提供することが義務付けられているのです。さらにノンアルコール飲料、ジュース、牛乳のパッケージのリユース率を10%としています。
25年前までのオーストリアでは、飲料パッケージのリユース率は約80%でしたが、便利な使い捨てのペットボトルなどに切り替わったことで、リユース率は19%と大幅に低くなりました*2。
フランス: リユース容器の導入で脱プラを達成することを法令に盛り込む
フランスではすでに、2027年までに市場に流通するパッケージの10%をリユース可能にすることを義務付けるリユース包装材目標法*3があり、最近では3R(Reduction, Reuse & Recycling)政令*4を発表しています。
3R政令は2025年までの使い捨て削減とリユースの目標を定めており、使い捨てプラスチックパッケージを20%削減し、そのうち50%はリユース容器の導入によって達成されるべきであると強調しています。
また、フランスは循環型経済基金の一環として、2021年から2022年にかけてリユースのための投資に4,000万ユーロ(約52億円)を割り当てていることも注目に値します。
ポルトガル:すべてのパッケージの30%をリユース素材に
隣国のポルトガルは、2030年までに市場に流通するすべてのパッケージの30%をリユース可能なものにしなければならないと法律改正*5をしました。
ルーマニア:リユースパッケージを毎年5%増やす
同様に、ルーマニアでは、2025年までリユース可能なパッケージを毎年5%増加させる(2025年までに最低25%に達する)ことを条例*6に盛り込みました。
スペイン:ホテルやレストラン、家庭の飲料パッケージをリユースへ
またスペインでは、大きな前進をもたらす可能性のあるリユースシステムの提案が含まれた国令の草案が、現在作成されています*7。
そのひとつが、ホテル、レストラン、カフェなどのホスピタリティ部門における、水、ビール、ジュース、ソフトドリンクの飲料ボトルのリユース率と、家庭で消費される飲料ボトル全般のリユース目標です。
注目すべきは、スペインのナバラ地方*8とバレアレス諸島*9では、2018年から飲料パッケージのリユースに関する先進的な法整備が進んでいることです。
グローバル・サウスの先進的事例
ヨーロッパ以外の国々がリユースモデルを実践していないわけではありません。
アメリカ大陸ではチリが最も進んでおり、2021年8月にリユース可能な飲料容器の販売を促進するプラスチック規制法案*10を導入しました。
サプライヤーはリユース可能な飲料ボトルの提供や販売を促進し、返却可能なボトルを引き取らなければならないとしています。
また、同法施行後3年目以降は、スーパーマーケットで販売するボトルの30%以上を返却可能にしてリユースすることが義務付けられています。
インドでは、2022年6月1日から、皿、コップ、カトラリー(およびその他の不要な使い捨てプラスチック製品)の使用を禁止する*11と政府が発表しています。
このような禁止令は確かに必要ですが、グローバルサウスの多くの国々には、インドの「ダバワラ」システム*12のように、そもそも使い捨てプラスチックを必要としない伝統的なリユースシステムが残っていることを忘れてはなりません。
政策とは別に、インドネシアなどの国々では、KoinPack*13やQyos by Algramo*14などのアプリを通じて、詰め替えの利便性を再定義するような革新的なリユースサービスを提供するベンチャーが数多く存在します*15。
リユースの拡大には多くのメリットがある
プラスチックの生産と使用の削減を義務付けながら、リユースシステムの導入を奨励する政策を進めることで、リユースのより早い拡大が可能です。そして、リユースシステムは、地域それぞれの状況や、低所得者層も購入しやすい価格やシステムへのアクセスのし易さを考慮して設計されることが重要です。
ご紹介したような世界で報告されている事例は、すべていい方向への一歩ですが、時間は刻々と過ぎています。私たちは、プラスチックの削減と並んで、リユースやリフィルを優先するよう、世界規模で各国政府に働きかけていかなければなりません。
エレン・マッカーサー財団*16は最近、消費財業界が発表しているプラスチック削減に向けたコミットメントに関する取り組みが、どの程度進んでいるかについて年次進捗報告書を発表しました。その中で財団は、「リユースに対する意欲と行動について、懸念すべき欠如がある 」と述べています。
リユースの規模を拡大することで、環境面や経済面で多くのメリットがあり、2021年に発表されたレポート『Realising Reuse (リユースの実現)』*17で示されている通り、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の目標に貢献できるポテンシャルがあります。
例えば、2030年までに食品・飲料セクターのリユースを50%拡大することで、2,710万トンの資源使用量を削減できる機会となります。
「脱使い捨て」を目指す」
製造から廃棄まで、プラスチックが海や気候変動、地域コミュニティーに与える影響は深刻です。だからこそ、世界規模で「脱使い捨て」を目指しリユース可能なシステムチェンジをしていかなければなりません。
グリーンピースでは、大量の使い捨てプラスチックや紙のカップを排出しているスターバックス コーヒー ジャパンに、「脱使い捨て」を日本で先導していく立場になってもらうためにキャンペーン活動を行っています。使い捨てカップへの依存から脱して、日本のリユースリーダーになってもらいましょう。
すでに9,000人近くが参加しているこの署名に、あなたも参加しませんか?
「リユース革命」を、市民一人ひとりのアクションから起こしていきましょう。