避けては通れない「プラスチックと温暖化」の話をしよう
この投稿を読むとわかること
ストローが鼻に刺さったウミガメや、プラスチックでお腹がいっぱいになったクジラのニュースが世界中に広がったことをきっかけに、海のプラスチック問題が一気に注目を集めました。
使い捨てプラスチックを減らそうと、エコバッグやマイボトルを持ち歩いている人の中にも、海のプラスチック汚染にショックを受けたという人が多いのではないでしょうか。
実は、世界が脱プラスチックに向かっているのには、もう1つ重大な理由があります。それは、気候変動です。
フィリピン・マニラ湾台風で打ち上げられたプラスチックごみ 2018年8月
気候変動ってなに?
地球温暖化という言葉でピンとくる人が多いかもしれません。私が子どものころ学校で教わった地球温暖化は、北極の氷が溶けてシロクマが絶滅する、といったイメージでしたが、皆さんはどうでしょうか?
いま、北極よりもずっと身近なところでも影響が出ています。
日本やアメリカ、フィリピンなどで台風やハリケーンなどの異常気象が激化して、多くの人の家や地域全体が壊されたしています。また、酷暑や寒波が深刻化していることも、CO2の増加による気候変動が影響していると国連の研究者も強く警告しています。
プラスチックと気候変動
なぜプラスチックが気候変動と関係しているのでしょう?
1)プラスチックは石油でできている
サーキュラーエコノミーを推進するエレンマッカーサー財団の報告書によると、2014年には、石油生産の6%がプラスチックに使われました。このまま行けば、2050年までには、20%にもなります。もしそうなれば、2014年には1%だったプラスチックが原因の温室効果ガス排出は、2050年には最大15%にまで増えることになります。
石油産業の利益は、プラスチックの継続的使用にも依存しています。気候変動対策が世界中で叫ばれ石油の需要が減るなか、石油業界は石油性プラスチックの生産規模の拡大を狙っています。
石油会社が意図するまま、私たちが使い捨てプラスチックを使い続ければ、それだけ気候変動を推し進めることにつながってしまいます。
2) プラスチックは燃やされている
武蔵野クリーンセンターでグリーンピース撮影 2018年12月
プラスチックが燃やされると、温室効果ガスが発生します(そして有害物質も)。
少々古いデータですが(現在最新のデータの算出方法を問い合わせ中…)、2007年には廃プラスチックの燃焼で2,000万トンのCO2が排出されています。これは、1年間のCO2排出の1.5%に当たります。
3) 植物性プラスチックでもCO2排出
トウモロコシやサツマイモなどを原料とした植物性のプラスチックが増えています。日本政府も、2030年までに使い捨てプラスチックを25%削減するという(低くて遅い)目標を立てようとしていますが、その代わり植物性のプラスチックの開発に投資して普及させようとしています。
しかし、こうした代替プラスチックにも、気候変動を推し進める危険があります。
植物性プラスチックの需要が増えたら、原生林を破壊してそこにプラスチックのための畑を作るかもしれません。そうすると、森や土が蓄えていたCO2が空気中に放出されることになります。
例えばインドネシアでは、(プラスチックではありませんが)パーム油を生産するためのアブラヤシのプランテーションのために、熱帯雨林が燃やされ、破壊されています。そのせいで、インドネシアはアメリカ、中国に続く第3の温室効果ガス排出国になっています。プラスチック用の植物の需要が高まれば、このようなことがおきかねません。
使い捨て製品を石油由来から植物由来に切り替えることではなく、繰り返し使えるものを普及させていくことこそが、プラスチック汚染と気候変動への解決策になります。
4)プラスチックからメタン発生
プラスチックが劣化する過程で、メタンなどの温室効果ガスが発生することが、今年新たにハワイ大学の研究で発覚しました。
研究では、最もよく使われる7つのプラスチック素材が調べられ、数日海水に浸した後に日光に当てたところ、7つ全てのプラスチックからメタンとエチレンが発生しました。
自然界では、ビーチや土壌などで太陽光にさらされたりして劣化が進む過程で、ガスが発生していることが考えられます。特に、レジ袋を代表として最もよく使われているプラスチック素材である低密度ポリエチレンは、温室効果ガスを最も多く放出する素材であることがわかりました。
こうして排出された温室効果ガスが、実際にどれくらい温暖化に影響しているのかはまだ研究途中ですが、使い捨てプラスチックが私たちの予想を超えて、地球に大きなインパクトを与えていることをこの研究は教えてくれています。
切っても切り離せない使い捨てと気候変動
使い捨て文化と気候変動は、切っても切り離せません。ごみを出さないサステナブルな暮らしと、私たちが安全に暮らせる未来はつながっているのです。
昔の知恵を借りながら、もっといい暮らしに変えていく。そうすることで私たちの暮らしはもっと豊かになり、安全に暮らせる未来を守ることができます。
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