子どものための環境問題<イラストと図解>第1回 地球温暖化ってなに?
この投稿を読むとわかること

<子どもが環境問題について自分で考えて自分で学べる学習教材記事のシリーズが始まります。第1回は地球温暖化についてです>
地球が、おどろくようなはやさで、どんどんあたたかくなっているのを知っているかな? 地球の温度が上がることを、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)という。
きみもおとなたちが「地球温暖化だ!」ってさわいでいるのを聞いたことがあるかもしれない。
だけど、地球温暖化はどうしておきるんだろう?
地球温暖化がすすむといったいなにがおきるんだろう?
いっしょにしらべてみよう。
気候を不安定にする地球温暖化(ちきゅうおんだんか)
地球の気温は平均(へいきん)して、この200年のあいだに、1.2度上がっている*。
地球が宇宙(うちゅう)に生まれてから、約45億年がたっているけれど、そのうちの200年はとてもとても短い。その間に気温が平均で1.2度上がってしまったということは大きな問題(もんだい)なんだ。
1度くらいの気温の変化はたいしたことではないように聞こえるかもしれない。
だけど、1度気温が上がるごとに1日にふる雨のりょうは約7%増えるといわれていて、それは地球にとって本当に大きな変化になる。
こうして地球の気温がどんどん上がっていることを地球温暖化(ちきゅうおんだんか)という。
ところで、天気がどんなものか知っているよね。

そう、外で遊んだり運動したりできなくなる雨や、太陽がまぶしい晴れ、びゅうびゅうふく強い風や、白くて冷たい雪などの気象(きしょう)のこと*。
じゃあ、気候(きこう)がなにか、わかるかな?
気候というのは、あるひとつの場所で長いあいだくりかえしておこる天気のことをいう。

気候を調べるために、研究者ががんばって調査をしている。
そのおかげで「この場所の気候は暖かい」とか「ここにはよく雪がたくさん積もる」とか、地域(ちいき)によっての気候の違いがわかるんだ。

今、地球の気候はとても不安定になっている。
日本でも、夏には熱波(ねっぱ)とよばれる、いつもの夏の日と比べて、とても暑い日が何日も続く現象(げんしょう)がおこっているし、台風(たいふう)が強い風と雨をつれてやってくることも増えている。
自然災害(さいがい)のニュースをテレビで見ることもあるかもしれない。
これは地球温暖化のえいきょうだといわれているんだ。
地球温暖化がおこるしくみ
世界中で気候を不安定にする地球温暖化が大きな問題になっている。
人間を悩ませる地球温暖化はなぜおこるのだろう。しくみをみてみよう。
まず、太陽が出す太陽光エネルギーが地上を温める。
そしてあたたまった地上から放たれた熱を「温室効果(おんしつこうか)ガス」がすいこんで、はきだして、地球の上の空気を温めている*。
温室効果ガスが少なかったときには、宇宙(うちゅう)に出ていくはずだった太陽の熱が、温室効果ガスがふえることによって出ていかなくなってしまっているということだ。
温室効果ガスのりょうが増えると、地球の上の空気を温める効果もどんどん強くなる。

温室効果ガスが多くなったせいで、地球が太陽の熱をためこむこうかが強くなって、気温が上がる。これが温暖化のしくみ。
どうやら、温室効果ガスというものが原因で地球温暖化が進んでいるみたいだ。
温室効果(おんしつこうか)ガスのひみつ
「温室効果ガス」とは、二酸化炭素やメタンなどのいろんな種類の気体(きたい)のこと。
温室効果ガスは完ぜんに悪者というわけじゃない。
なぜなら、温室効果ガスが地球にそんざいしなければ、地球の平きん気温は−19℃くらいになってしまうからだ*。それでは寒すぎる!
だから、ちょうどいいりょうの温室効果ガスがひつようなんだけど、今は温室効果ガスがあまりにも増えすぎて困っているというわけ。
温室効果ガスのなかでも、一番りょうが多いのは二酸化炭素だ。それがどうしてふえているのかというと、人間が、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料(かせきねんりょう)をたくさん燃やすようになったことがさい大の理由といわれている。
二酸化炭素などの温室効果ガスが太陽の熱が宇宙にもどるのをじゃましているから、太陽の熱が地上にたまって、地球を温めているということがわかった。
え? それなら、地球温暖化が起きる原因(げんいん)は人間がつくっているのかって?
そのぎもんはとてもするどい。
そう、じつは地球温暖化をひきおこしているのは人間の活動だということがわかっている。
IPCC(アイピーシーシー)という世界の科学者たちのグループ*が、地球温暖化についてのいろいろな研究の結果をまとめた2021年のほうこく書には、地球温暖化が人間の活動のせいでおきているとはっきり書かれていた*。
どんなことをすると温室効果ガスが出るの?
もっとくわしく、どんなことをすると温室効果ガスが増えて、地球温暖化をすすめてしまうのかをみてみよう。
あまりに多くの人間の活動が温室効果ガスを出していることにきっとおどろくだろう。

電気をつくること
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃やして電気をつくるとちゅうにたくさん二酸化炭素が出ている。風の力や太陽の光などから電気をつくるときには、ほとんど温室効果ガスが発生しないけれど、ざんねんながら日本ではまだあまりつかわれていないんだ。

森林のばっさい
お金をもうけるためなどに、土地を使おうとして木を切りたおしたり、森を燃やしたりすることで、それまで森林がたくわえてくれていた温室効果ガスをはき出させてしまうし、よけいな温室効果ガスまでうみ出している。

工場でものをつくる
売るためのたくさんのものを工場でつくるとちゅうに温室効果ガスがいっしょにうみ出されている。たくさんつくってたくさん使うことが原因(げんいん)だ。

交通と輸送(ゆそう)
ひこうきや船や自動車を動かして、人やものを運ぶとちゅうにも温室効果ガスが多く発生している。石油からつくられるガソリンのように、化石燃料で動く乗りものが温室効果ガスを出す。交通の中でも、もっとも多く温室効果ガスを出しているのは自動車だ。

食べものつくること、肉食
食べものをつくるとちゅうにも温室効果ガスが出てしまう。特にお肉にするための動物たちを育てるにはエサのために多くの作物がひつよう。だからそれを育てるためにも温室効果ガスがたくさん出てしまっている。そうしてつくられた食べものを、食べのこしたり、お店などで売れのこったものを捨ててしまったりすることも、温室効果ガスを出すことにつながっている*。

地球が温暖化するとなにが起きる?
地球温暖化は、どんなことをひきおこすんだろう。
地球温暖化は気温を上げるだけじゃなく、地球全体の気候を大きく変えてしまう。気候が変わることは人にも動物にも植物にもたくさんのえいきょうをあたえるんだ。

そのえいきょうは世界でも日本でも、すでにあらわれはじめている。
そして、地球温暖化がすすめば、ひがいはもっと大きく、ひどくなっていってしまう。
一つずつみていくよ。
熱波(ねっぱ)や干(かん)ばつ
いつもの夏よりも、なみはずれて暑い日が何日も続く熱波が発生する回数が多くなる。長いあいだ雨が降らなかったり、雨が少なかったりすることで、土地がかわく干ばつも多くなってしまう。干ばつは農作物のしゅうかくを減らすし、ひどくなると土地をさばくにしてしまうんだ*。

海面水位(かいめんすいい)の上昇(じょうしょう)
海の水の温度が上がることで、氷河(ひょうが)がとけたり、海の水のたいせきがふえたりして、海面が上昇する。海面が上昇すると、りく地が少なくなり、人が安全に住める場所が足りなくなってしまう。そして、大きな波で海面がいつもよりすごく高くなる高潮(たかしお)やこう水による被害も増える。海の水が道路や家に流れこむと、そこに住む人が病気になりやすくなってしまう。島国のなかには、海に沈んでしまうところもでてくる*。

熱中症(ねっちゅうしょう)や感染症(かんせんしょう)のきけんがふえる
気温が上がるせいで、いのちにかかわる熱中症や感染症にかかる人が多くなるかのうせいがある。熱中症のきけんが高まると、夏に外で遊んだり運動したりできる時間が大きくへってしまう。

台風(たいふう)などの自然災害(しぜんさいがい)がひどくなる
ひどい雨、きょくたんな暑さ、大きな被害(ひがい)をもたらす台風などの自然災害が増える。日本でも、すでに温暖化のえいきょうと考えられる自然災害が増えている*。

森林火災(しんりんかさい)がふえる
温暖化によって、気温が高くなったりかんそうしたりすることで、森や山での火事がふえる。温暖化は森林火災を増やすだけじゃなくて、火事のはんいをひろくしたり、火が消えるまでの時間を長くしてしまう*。森や山にすむ動物たち、そしてそこで暮らしている人々が苦しんでいる。

氷河(ひょうが)がとける
北きょくや南きょくの氷がとけている。科学者たちはこのまま地球温暖化が進んでしまえば、2030年代の夏には北きょくの海に氷がなくなってしまうかもしれないと注意をよびかけている。北きょくの氷の上で生活するホッキョクグマはすむ場所がなくなってしまう。氷河がとけることが、海面の上昇にもつながっている*。

こんなふうに温暖化によって気候が変わって、私たちの生活や安全に大きな影響が出てくることは、「気候変動(きこうへんどう)」「気候危機(きこうきき)」と呼ばれているんだ。
環境(かんきょう)について知ろう
これ以上地球の温度が上がり続けたら、世界中の人も動物も自然も危険だということがわかったと思う。
こわいな、と思ったんじゃないかな?
だけど、不安にならないで。
地球温暖化をひきおこしているのが人間なら、地球温暖化を止める力を持っているのも人間なんだ。
私たち一人ひとり、みんなが地球温暖化を止める力を持っているということだよ。
地球温暖化を止めるために、環境について知ること、今おきていることを勉強することはとても大切なことだ。
だから、今日は地球のために温暖化について学んでくれて本当にありがとう!
今日知ったことをお友達や家族と話してみてくれたらとてもうれしい。
「温暖化を止めるためにできること」や「世界の動物たちに今どんなことが起こっているのか」を知ることができる記事をこれからも掲載(けいさい)するよていだから、この先もいっしょに環境について知っていこうね。
参照:『気温が1度上がると、どうなるの? 気候変動のしくみ: 地球の未来を考える』
竹内薫 (監修), 松永美穂 (翻訳), クリスティーナ・シャルマッハー・シュライバー (著)