【2023年4月】3分でわかる日本と世界の環境ニュース
この投稿を読むとわかること

4月27日に、原発回帰へと舵を切る「GX法案」が衆議院で可決されました。世界に目を向けてみると、どのようなことが起こっているでしょうか。
グリーンピースは誰もが心身ともに健康でいられる未来の暮らしのために脱原発を目指して粘り強く活動を続けています。2023年4月の活動の環境ニュースをお届けします。
▼この記事を読むとわかること > ドイツ:脱原発を達成! 再エネ100%を目指して > 台湾:ファミリーマート含む8つの大手チェーンでリユースカップシステム > EU:化石燃料ガスと原子力を「持続可能」とする決定に抗議の提訴 > グローバル:ヒュンダイがアマゾン違法採掘などの用途への販売を中止 > 被ばく国であり原発事故を経験した国として |
ドイツ:脱原発を達成! 再エネ100%を目指して
稼働していた最後の3基が送電網から切り離され、4月15日、ついにドイツで脱原発が実現しました。

2000年には国内の発電に占める原子力の割合が30%だったドイツ。昨年2022年に6%に、そしてついに2023年4月にゼロを達成しました。また、再エネの割合も2000年の7%から45%へと大幅に伸ばしていて、2035年までに再エネ100%の電力供給を目指しています。

グリーンピース・ドイツは科学的根拠に基づいて、市民とともに長く反核運動を続けてきました。この大きな勝利は、何十年も抗議を続けてきた多くの人々の努力の賜物です。
台湾:ファミリーマート含む8つの大手チェーンでリユースカップシステムがスタート
台湾のファミリーマートが主導して、他7つの有名チェーンが参加した大規模なリユースカップの仕組みが立ち上がりました。
2023年末までに、コンビニ、スーパー、ケータリングなどの加盟チェーン700店舗以上でリユースカップの利用と返却ができるようになる見込みです。

グリーンピース台湾は、2019年よりファミリーマートを含む台湾のコンビニエンスストアやスーパーマーケットを対象に、明確な目標と計画をもってプラスチック消費量を削減するよう求めてきました。
2021年にはプラスチックフリー・アライアンス・プロジェクトを立ち上げ、ファミリーマートを含む18カ所でレンタルカップの実証実験を行っています。
こうした取り組みから大きく動き出したリユースの仕組みに期待が膨らみます。
EU:化石燃料ガスと原子力を「持続可能」とする決定に抗議の提訴
欧州委員会が、持続可能な投資先リスト「タクソノミー」に、化石燃料ガス*と原子力を含むとした決定に対して、グリーンピースが見直しを求めて提訴しました。
グリーンピースは2022年9月9日の時点で欧州委員会に決定の見直しを求めていましたが、2023年2月8日にこれが却下されたことを受けて、4月18日にドイツ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギー、ルクセンブルク、中・東欧のグリーンピース事務所とグリーンピース欧州が共同で提訴へと踏み切りました。

化石燃料ガスや原発を「環境に優しい」と分類することは、化石燃料への依存を強め、核の危険をひろめ、環境破壊へと繋がります。
グリーンピースのほか、ClientEarth、WWF European Policy Office、BUND (Friends of the Earth Germany)、Transport and Environmentが、タクソノミーに化石燃料ガスが含まれていることに異議を唱えています。
*一般に「天然ガス」と呼ばれる炭化水素ガス。「天然」という表現が実体と乖離しているためにグリーンピースは「天然ガス」という言葉を使用していません。
グローバル:ヒュンダイがアマゾン違法採掘などの用途への販売を中止
4月12日、グリーンピース・東アジアとグリーンピース・ブラジルは共同で、韓国企業のHDヒュンダイ建設機械(HD Hyundai Construction Equipment、以下HD HCE)の重機が、アマゾンの先住民族の土地での違法な金採掘に使われていることを報告しました。
グリーンピースが2021年から2023年にかけて行ってきた空中からの偵察と衛星地図の分析で、アマゾンの違法採掘の現場に、HD HCEのブラジル子会社が製造した油圧シャベルが多く使われていることがわかり、グリーンピースは国際的なキャンペーンを開始。ヒュンダイに、製造重機の使用用途に責任を持ち、違法採掘への加担を止めるように求めました。

報告書の発表から約2週間後の4月28日、HD HCEは声明を発表し、アマゾンを保護するために努力することを宣言し、アマゾン採掘などの違法用途への重機の販売を中止しました。
グリーンピースでも初めてとなる東アジアとブラジルとの力強い協力体制が引き出した、HD HCEの歓迎すべき決断です。
被ばく国であり原発事故を経験した国として
福島第一原発の事故を受けて脱原発を決断したドイツで、ついに原発ゼロが達成されました。
その一方で、日本は原発回帰に舵を切る内容の「GX脱炭素電源法案」を可決させています。私たちはこの状況を黙って見ているわけにはいきません。
グリーンピースは広島で行われるG7サミットのホストを務める日本政府に、原子力に頼らず持続可能なエネルギー政策を約束するように求めます。
ぜひ署名に参加してください。
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