ケニア・ホマベイ郡の洪水
ケニア・ホマベイ郡の洪水。ホマベイでは1,700世帯以上が避難している(2024年5月)

壊滅的な洪水が東アフリカを襲い、インドネシアでも大規模な洪水が起きました。カナダ西部では森林火災が発生し、数千人が避難生活を余儀なくされています。気候のSOSが鳴り響く中、世界中で共存のために社会を変えようとする人が力を合わせています。2024年5月に世界中の仲間、そしてサポーターとともに達成した明るい環境ニュースをお知らせします。

グローバル:温室効果ガス排出を海洋汚染と認定

気候正義にとって、画期的な瞬間が訪れました。ドイツ、ハンブルクに位置する国際海洋法裁判所(以下、ITLOS)が、5月21日、温室効果ガスの排出は海洋環境汚染にあたると認めました。

アークティック・サンライズ号が訪れたサルガッソー海
アークティック・サンライズ号が訪れたサルガッソー海。グリーンピースはサルガッソー海を国際海洋条約の下で新たな保護区にするため働きかける(2024年5月)

ITLOSは、海面上昇の危機に直面するツバルなどの南太平洋島しょ国からの「海洋に吸収される温室効果ガスは海洋法上の汚染物質に該当する」との訴えを認め、その上で、先進国は発展途上国よりも早く排出量を削減する必要があると勧告しました*

日本を含む国連海洋法条約の批准国には、温室効果ガス排出の削減のために、必要なあらゆる措置を講じる義務があるというのがITLOSの見解です。

グリーンピースの海洋保護キャンペーンリーダーはITLOSの発表を「気候危機に直面するいま、各国に対し、気候温暖化の原因となる排出をゼロにし、海洋保護条約を批准し、海洋生物多様性を保護するよう行動を促す呼びかけとなるはず」と歓迎しています*

チリ:アンデスネコ発見される

アンデスネコ同盟(AGA)とグリーンピース・チリによって設置されたカメラが、イエルバ・ロカ自然保護区で初めて絶滅危惧種のアンデスネコを捉えました。

アンデスネコ
アンデスネコ Photo by Jim Sanderson

アンデスネコは、アルゼンチン、ボリビア、チリ、ペルーのアンデス山脈に生息するネコ科の動物です。夜行性であること、高い岩山などを生息地とすることもあって、人に目撃されることがほとんどなく、「アンデスの幽霊」といわれます。発見が難しいのも当然で、アンデスネコはわずか1,400頭ほどしかいないと推定されているのです。

グリーンピースとアンデスネコ同盟の共同調査で、生息が予測されていなかったイエルバ・ロカ自然公園にアンデスネコが生息していることがわかりました。アンデスネコの姿が確認されたのは2014年以来となります。グリーンピースは、アンデスネコを保護するため、採掘プロジェクトを阻止するためのキャンペーンを展開しています*

エクアドル :シュモクザメの赤ちゃんの保育所

エクアドルのガラパゴス諸島の島沖で、グリーンピースの研究チームがシロシュモクザメの繁殖地となる可能性のある場所を発見しました。シロシュモクザメは9種のシュモクザメの一種で、絶滅危惧種リストに分類されています。

ガラパゴスで目撃されたシュモクザメの幼魚
ガラパゴスで目撃されたシュモクザメの幼魚(2024年3月)

グリーンピースの科学者探検隊は数週間前にガラパゴス海洋保護区を視察し、ガラパゴス諸島最大の島であるイサベラ島沖で若いメスのシロシュモクザメを発見。調査に参加した海洋大使の俳優のアルバ・フローレスにちなんで、このサメは「アルバ」と名付けられました。

育成地として認定されるためには、周辺地域よりも多くのサメの子どもが生息していること、サメが長期間その場所に生息していること、その場所が次の繁殖で産まれた子サメが生息していることを確認する必要があり、研究チームは引き続き追跡調査を行います*。エクアドル国立公園は、「非常に珍しい」目撃例であることを発表しています*

オーストラリア:牛肉産業の森林破壊への影響を評価

グリーンピース・オーストラリアは、5月13日に森林破壊スコアカードを発表しました。

オーストラリアでは、主に牛肉産業による大規模な森林破壊が問題となっていて、約2分ごとに、サッカー場ほどの広さの森林が失われています。その規模は、アマゾン、コンゴ、ボルネオなどの地域と並び、何千万もの在来動物、コアラなどの絶滅危惧種が絶滅の危機にさらされています。

オーストラリア、スノーイーマウンテンズの山火事から救助されたフクロギツネ
オーストラリア、スノーイーマウンテンズの山火事から救助されたフクロギツネ(2020年1月)

グリーンピースは、 オーストラリアで牛肉を最も購入するマクドナルドなどの大手10社について、2025年までに土地利用の転換と森林破壊をゼロにする目標への取り組みを評価し、ランキング形式で発表。その結果から、企業に対して、環境パフォーマンスの改善と、森林破壊に寄与しないサプライチェーンの確保を呼びかけています*

自然は「待つ」ことはできない

5月20日は世界ミツバチの日でした。ミツバチは民主的なコミュニティを構築することで知られる昆虫です。人間が好んで食べる蜂蜜1キログラムを集めるために、働きバチは4万回の飛行を繰り返さなければなりません。

リンゴの花から花粉を集めるミツバチ
リンゴの花から花粉を集めるミツバチ。ドイツ(2007年4月)

現在、世界中に2万種いるとされるミツバチ(花に集まるハナバチ類)ですが、実は現在、そのうちの4割以上が絶滅の危機に瀕しています。この小さな働き者たちは、敏感な気候の指針でもあります。ミツバチのように声を持たない生き物たちが、悪化する気候変動によって居場所を奪われ続けています。

美しいミツバチたちとともに生きられる地球のために、私たち一人ひとりの行動が必要です。ぜひグリーンピースがグローバルに展開する、緑豊かな環境を取り戻す活動を寄付で応援してください。