種(たね)をまもることは、みんなの未来をまもること〜映画「シード」公開中
この投稿を読むとわかること
私たちの食を支えている種(たね)の多様性がいま世界で急速に失われつつあることを警告する映画『シード〜生命の糧』(配給:ユナイテッドピープル)。6月末に東京で公開され、いま各地での上映が始まっています。
細っていく食の豊かさ
映画は、今、人類史上で最も急速に 種子の多様性が失われていることを警告します。
20世紀の間に、私たちにおなじみの野菜や果物の種類の94%が消滅してしまいまいました。
例えば544種もあったキャベツの品種が、現存するのは28種に、158品種のカリフラワーは9品種に、46品種のアスパラガスはたったの1品種に。(かつてそれほどの種類があったことさえ想像しがたいくらいです)
より「商品としての価値」のあるものをもとめて人工的に交配と選別が進み、そうでないものがどんどん淘汰されていった結果です。
限られた種類の作物に世界中の人々が依存する構造は、とても危ういものです。
各地の上映館情報はこちら。映画の公式サイトは以下のバナーをクリックしてください。
(c)Collective Eye Films
多様性は強さ
単一の品種だけが広範囲に栽培されるようになると、作物の病気の流行や害虫の大発生が起きたときに壊滅的な被害や不作が襲うリスクが高くなります。
農産物が多様性を失うと、害虫が大発生しやすくなったり、全体として特定の病気に抵抗する力が弱くなったりして、農薬への依存が高まることにもつながります。
また、私たちの食卓にのぼる食品の種類や栄養素も多様性を失っていきます。
(c)グリーンピース・インターナショナル『生態系農業』2016 より
映画は、巨大な企業が、特許のある遺伝子組み換え種子を、農民にとって不平等な契約のもとで農民に売り、その結果、借金で農家の生計が破綻し、農地を維持できなくなるといった構造が広がっていることも告発しています。
一方、映画は種子の多様性を守るために人生をかけて種を保存する農民たちやたたかう研究者たちの姿も映し出しています。
(c)Collective Eye Films
種は農民のいのちであり、人びとの未来
大地にトウモロコシを植えて、交配し、何世紀もかけて様々な品種を開発してきたネイティブ・アメリカンのある農家は、様々な色や形のトウモロコシを手に、
「いつかこのトウモロコシが人類が生きのびるために貴重な役割を果たすはずだ」
と語ります。
大地に種をまき、みのりをいただくという、生命の多様性に根ざした農と食がもつ力を描き出してくれる映画です。ぜひ見てみてください。
生き物の多様性がささえる農地と作物
稲が青々と育つ田んぼにも、無数の生きもののネットワークが張り巡らされています。そして、そのバランスが、ある害虫だけが大発生しやすくならないような条件をつくっています。
お米に黒っぽい筋の入る「斑点米」の原因となるカメムシも、生きものの多様性ゆたかなところでは極端な大発生を起こすことはまずありません。少々の斑点米はいまや機械で取り除くことができ、田んぼに大量に農薬をまく必要はありません。
でも今の制度では、出荷時の斑点米の基準が厳しすぎるため、ネオニコチノイド系農薬の空中散布をせざるを得ない、といいます。
生きものの豊かな多様性をまもり、私たちのお米を安全にするために、署名であなたの思いをとどけてください。