第2回国際プラスチック条約シンポジウムに100人以上が参加ーー環境省、学識者、企業、若者代表らがプラ汚染の解決策となる条約について議論
今年11月に韓国・釜山で開かれる、プラスチックの環境汚染規制をめぐる国際条約策定を議論する5回目の政府間会合(INC5)を前に、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)と持続可能な都市と地域を目指す自治体協議会のイクレイ日本は10月2日、同区の虎ノ門ヒルズで、国際プラスチック条約シンポジウムを開催しました。国際プラスチック条約についてのシンポジウムの開催は昨年9月に続き2回目で、環境省のプラスチック条約交渉官やプラ削減事業を行う企業人などの産学官民のステークホルダー10人が参加し、問題解決の糸口について議論しました。
シンポジウムでは、はじめにイクレイ日本の内田東吾事務局長が「国際課題に対してさまざまな立場の関係者がお互いの取り組みをより深く理解することを目的としている」と挨拶。続いて国立環境研究所・資源循環社会システム研究室の田崎智宏室長とグリーンピース・ジャパン・シニア政策渉外担当の小池宏隆が、それぞれライフサイクル全体のおけるプラスチック汚染の解決方法やプラスチック条約交渉の現状について解説しました。その後行われたパネルディスカッションには、環境省海洋環境課プラスチック汚染国際交渉チーム長の小林豪氏、リユースプラットフォームLOOPを展開するテラサイクル・ジャパン代表のエリック・カワバタ氏、プラスチック若者会議メンバーの松倉杏奈氏が登壇し、気候変動の1.5度目標と整合する日本のプラスチック政策のあり方について議論しました。
登壇者を入れ替えて行われた2回目のパネルディスカッションでは、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)でアソシエイトディレクターを務める榎堀都氏、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)の中村健太郎事務局主幹、東京都資源循環計画担当課長の荒井和誠氏が、環境情報開示が進む社会において進む脱プラスチック経済に向けた取り組みを通じて、国レベルで求められる施策について意見を交わしました。「日本独自ではなく国際共通の基準設定を求めたい」「現場に寄り添った制度を期待する」などの声があがり、プラスチックと気候変動という難しい課題への取り組みについて意見が交わされました。シンポジウム後に開かれたレセプションパーティーには、登壇者を含む多くの参加者が会場に残り、プラスチック問題について熱のこもった議論が続きました。
プラスチック条約をめぐる国際交渉では、増加の一途をたどるプラスチック生産量を規制するかどうかが争点となり、産油国らとEU、アフリカ諸国などが対立し、議論が難航しています。なんらかの規制が決まれば、使い捨てプラスチック製品であふれている私たちの生活にも影響があると予測されます。INC5でどのような形で条約が形成されるのか、注目が集まっています。