プラスチック容器入り食品の加熱で数十万個のマイクロプラや化学物質放出、健康へのリスク懸念ーー文献調査報告書『Are We Cooked?』発表

国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル(本部・アムステルダム)は2月24日、プラスチック容器に入っている調理済み食品に潜む健康リスクに関して、査読付き論文24本を検証した文献調査報告書『Are We Cooked? The Hidden Health Risks of Plastic-Packaged Ready Meals』を発表しました。本報告書では、2021年以降にプラスチック容器や健康に関して発表された科学文献24本を検証し、プラスチック容器に入った調理済み食品やテイクアウト食品を電子レンジやオーブンで加熱すると、数十万個のマイクロ・ナノプラスチック粒子および化学物質が食品に放出される可能性があることを明らかにしました。
調理済み食品は、世界的な食料システムにおいて急成長している分野の一つで、その市場規模は約1,900億米ドルに達しています(注1)。2024年の調理済み食品の生産量は世界全体で7,100万トン、1人あたりの消費量は平均12.6kgを記録し、今後も増加が見込まれます(注2)。一方で、プラスチック生産量のうち約36%をプラスチック容器包装が占めており、生産量全体は2050年までに倍増すると予測されています。食品のプラスチック包装に伴う健康リスクを示す研究が増えるなか、使い捨てプラスチック容器包装の規制は、環境問題だけではなく、私たちの健康を守る公衆衛生上の急務として取り組むべき課題です。
>>文献調査報告書全文(英語)はこちら
>>文献調査報告書要旨(日本語)はこちら
<主なポイント>
- プラスチック容器に入った食品を電子レンジで加熱すると、数分間で数十万個ものマイクロプラスチックやナノプラスチックが放出される可能性がある。ある研究では、5分間の電子レンジ加熱により、32万6000個から53万4000個の粒子が食品模擬物質(注3)に溶け出すことが判明した。オーブン加熱と比較して最大7倍の量にのぼる。
- 複数の研究において、ポリプロピレンやポリスチレンといった一般的なプラスチック製食品容器に入った食品を電子レンジで加熱したサンプルから、可塑剤や酸化防止剤などの化学添加物が食品または食品模擬物質の中に溶け出していることが確認された。
- プラスチックに含まれる有害な化学物質は4,200種類を超えるが、そのほとんどは食品包装において規制されていない。ビスフェノール類、フタル酸エステル類、PFAS、アンチモンなどの有害金属の一部はがん、不妊症、ホルモン異常、代謝性疾患との関連が指摘されている。
- 食品包装のプラスチック由来の化学物質のうち、少なくとも1,396種類が人体から検出されており、これら化学物質への曝露が神経発達障害、心血管疾患、肥満、2型糖尿病に関連していることを示す証拠も増え続けている。
- 古くなったり繰り返し利用された容器は、曝露のリスクを増大させる。摩耗したプラスチック容器は、新品の容器包装と比較して約2倍のマイクロプラスチック粒子を放出する。
グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチック・キャンペーン・リード、グラハム・フォーブス
「プラスチック容器に入った食品を加熱して食べるとき、本来食品に含まれるべきではないマイクロプラスチックや有害な化学添加物を、体内に取り込んでいる可能性が高いことが分かりました。健康リスクは明白で、電子レンジ対応可能という企業の主張は実態を伴わないことを本報告書は示しています。国際プラスチック条約の策定に向けた交渉が進むなか、グリーンピースは交渉に参加する各国政府に対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがあるとして予防原則(注4)に基づいた判断を優先し、プラスチックや化学添加物に対する規制を含む条約の実現を求めます」
以上
(注1)食品業界を専門とする国際コンサルティング会社Towards FnB社による調査(2026年1月更新)
(注2)DaaSを提供するグローバル企業Statista社による調査(2025年8月更新)
(注3)容器や包装材から食品へ化学物質が溶け出す移行を試験する際に、食品の代わりとして使われる物質。試験では実際の食品の性質に合わせて模擬物質を選び、安全基準への適合性を評価する。
(注4)化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方。