排外主義に抗い、科学と公平を国会にーー臨時国会開会にあたりグリーンピース声明

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、8月1日から臨時国会が召集されることを受け、以下の声明を発表しました。
グリーンピース・ジャパン 事務局長 サム・アネスリー
「本日より国会が開会します。参議院選挙で横行したあらゆる差別的主張および事実に基づかない言説をグリーンピースは強く非難します。このような発言や態度を、国会は許してはなりません。排外的なスローガンに支持が集まり、勢力が拡大した背景には、現行政治の停滞や社会の閉塞感、暮らしへの不安に対して、変化を求める民意があったと考えます。しかし、そうした変化への渇望が示されたとしても、決して差別や排外主義が容認される社会であってはなりません。分断や差別、排除や不寛容がどのような社会に行き着くかは、歴史を振り返れば明らかです。グリーンピースは50年以上にわたり、生態系豊かで、多様な命が育まれる平和な地球を目指して活動してきました。引き続き、どのような違いがあっても、すべての命が尊重される社会を目指していきます。
今後の国会では、暮らしの不安の解消が進むことを期待します。ただしそのためには分断ではなく、包摂性を高めていく方針や政策を取るべきです。その意味からも、グリーンピースは、市民の意見が適切に反映される民主主義を前提に、健康や快適性の増進につながる形での省エネと、地域や自然と調和する形での再生可能エネルギーの主力電源化など、国民生活を豊かにする気候政策の実現を求めます。
今や、再生可能エネルギーは最も安い電力となりつつある一方で、化石燃料の輸入は年間30兆円を超え、貿易赤字の主たる要因となっています。再生可能エネルギーの利用拡大で、「燃料費」として国外に流出する資金が国内に留まって私達の暮らしの中で循環します。同時に、年々深刻化する気候危機の影響の根本的な緩和策ともなります。そして所得の公平な分配は、すべての命が大切にされる公正な社会への投資を可能にし、雇用を増やし、地域経済を助けます。気候変動の主な要因が人間の活動であるという科学的事実に疑義を唱える国会議員ならびに政党の議席が大幅に増えた今、改めて国会においては、科学に基づいた冷静な議論を求めます」