【COP30】COP30閉幕、気候変動対策と森林保護のロードマップ盛り込まずーー気候行動求める声との乖離浮き彫りに

国際環境NGOグリーンピース(本部・アムステルダム)は11月23日(現地時間22日)、ブラジル・ベレンで開催されていた第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)が、森林破壊と化石燃料の燃焼を止めるための実行可能なロードマップを示さないまま閉幕したことを受け、以下の声明を発表しました。アマゾン熱帯雨林で開催された初のCOPは、2030年までに森林破壊を終わらせる行動計画を提示し、1.5度目標達成に向けたギャップを埋めるグローバル計画を提示すべきでしたが、いずれも実現せず、気候資金の有意義な増額も達成されませんでした。
グリーンピース・ブラジル エグゼクティブ・ディレクター、カロリナ・パスクアリ
「ブラジルのルラ大統領は、化石燃料と森林破壊を終わらせるロードマップを求めて高い目標を掲げましたが、分断された多国間の枠組みでは、そのハードルを乗り越えることができませんでした。これは、1.5度目標に向けた十分な資金が確保された道を選ぶのか、それとも気候被害をさらに進めてしまうのかの分岐点でしたが、多くの政府は行動する意思がある一方、強力な少数派がその行動を阻んでいました。この不十分な成果とは対照的に、ベレンでは大きな前進もありました。COP史上最大の先住民族参加に加え、外部で組織されたデモ行進や抗議活動が、14の土地の境界画定につながりました。そのうち4件は手続きの最終段階にあり、ブラジル先住民のために240万ヘクタール以上の土地を確保しました。先住民族と地域コミュニティーの権利・土地所有権・知識に加え、アフリカ系住民の権利も正式に承認されました。これは今後の議論の方向性を転換しうるものです。2つのロードマップと強力な資金調達合意があれば歴史的成果となっていたはずでしたが、これらの取り組みは今後も継続されることになります」
グリーンピース・インターナショナル 気候政策エキスパート、トレイシー・カーティ
「世界が排出量削減に向けた大胆かつ緊急の行動を必要とする中、気候資金の不十分さやG20諸国(特に先進国)の弱いリーダーシップ、化石燃料業界の強い圧力によって、COP30での交渉は脱線しました。化石燃料産業は段階的廃止ロードマップを回避しましたが、一方で過去最多の国々がこれを支持し、勢いと圧力が強まっていることが明らかになりました。今回のCOPでは、激化する気候変動の影響に対処するための強固な資金目標を求め、2週間にわたる激しい交渉が行われましたが、先進国が合意したのは驚くほど弱い目標だけでした。COP30は気候資金全体を前進させることも、先進国の今後数年間の公的資金拠出を促すこともほとんどできませんでした。最大の化石燃料企業や超富裕層の汚染者に課税すれば、数兆ドル規模の公的資金が解放されるにもかかわらず、先進国は再び財布の紐を固く締めることとなりました」
以上