国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、東日本大震災並びに東京電力福島第一原発事故の発生から15年となった本日3月11日、以下の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン事務局長、サム・アネスリー

東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の発生から、今日で15年が経ちました。亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表しますとともに、大切な方を亡くされた皆様、すべての被災者の皆様の15年の月日に思いを致し、心よりお見舞いを申し上げます。

初春の金曜日の午後を襲った巨大地震と大津波、そして原発事故。誰もが自身と大切な人の安否を案じ、報道が伝える凄惨な現実に打ちひしがれました。大量の放射性物質が放出され、未曾有の困難に拍車をかけた原発事故は、被災地での避難や救助・捜索活動を阻み、豊かな土地と水系を広範に汚染し、今も多くの人々の人生を翻弄し続けています。世界の歴史に刻まれたこの過酷事故の発災から現在まで、事故の収束や地域の復興のために懸命な努力を続ける方々へ心からの敬意を表します。

一方で、電気を作り、使うことが、このような苦しみや犠牲を生み出す構造は、根本から変えていかねばなりません。政府は近年、原発回帰の方針を明確にし、再稼働の認可が増えています。しかし、原発事故の発生と同日に政府が発令した原子力緊急事態宣言は、現在も解除されておらず、解除の見通しも示されていません。政府のめざす、エネルギー安全保障、カーボンニュートラル(脱炭素)の達成、電力の安定供給とコスト安定のためには、原発からの脱却が不可欠です。徹底的な省エネルギーの推進と、再生可能エネルギー(以下再エネ)100%社会の構築こそが、私たちが進むべき道です。

燃料であるウランの100%輸入依存や、関係施設への物理的あるいは電子的な攻撃リスクを抱える原発は、安全保障上の脆弱性を孕んでいます。脱炭素の推進は喫緊の課題ですが、原発の新設・稼働には長い年月を要し、気候危機回避には間に合いません。既存原発の再稼働は、施設自体の安全性だけでなく、地震や津波等との複合災害の発生時に周辺住民の被ばくを防ぐ避難経路や、収束作業を行う方々の安全確保など、解決が非常に困難な課題が山積したままです。稼働によって発生し続ける放射性廃棄物の処理方法についても目処が立っていません。原発の利用は無責任の極みです。

原発はコストの面でも選択肢から外れます。現在、日本でもっともコスト競争力のある発電方法は、エネルギー源が国内調達できるうえに、枯渇しない太陽光発電です(注1)。太陽電池モジュールは現在海外製が中心ですが、コスト全体の7割を占める系統接続や施工などは、主に国内企業が実施し日本経済に貢献しています(注2)。

今後、電気自動車(EV)やAI利用拡大によって増加が予想される電力消費量を、大規模集中型の原発や火力発電の増設で賄おうという考えは、1.5度目標に整合しない短絡的かつ旧来型の発想です。時代遅れとなった思考から脱し、燃料の輸入が不要で、放射性物質や温室効果ガスを排出せず、安価で安定した国産電源である再エネを、いかにして産業競争力や地域のために活用することができるかを起点にしなければなりません(注3)。太陽光や風力、水力など、幸いにも日本は多くの再エネに恵まれており、快適さの向上とコスト削減になる省エネを追求する可能性も豊富です。グリーンピースはこれからも政府に対し、原発ではなく、効果的な省エネと、持続可能な再エネが適切に広がる制度の整備を求めます。

以上

(注1)原子力 11.2円/kWh、太陽光(事業用)10.0円/kWh 経済産業省 発電コスト検証ワーキンググループ、「発電コスト検証に関するとりまとめ」(2025年2月)

(注2)自然エネルギー財団、2026年2月2日 (引用データは、Figure 3.4, RENEWABLE  POWER GENERATION  COSTS IN 2024, IRENA)

(注3)グリーンピース・ジャパン、プレスリリース「脱炭素の名の下の乱開発に強い懸念ーーグリーンピース提言、地域社会・自然と共生する再エネの推進を」(2025年9月5日発表)